ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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魔導学園へ

第268話 お屋敷でのお勉強 その6

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首都リズモーニに到着して 早1か月が経った。
お屋敷の人たちも、数名が簡単な傷なら治せるくらい回復魔法が上手になり、私とずっと一緒にいたブン先生と エミリンさんは 打撲などの内側の怪我も回復が出来るようになりました。

エミリンさん達が出来るようになったのは お料理をする時も一緒について来てくれたからだと思う。
ココッコではない鳥(鶏のような扱いの鳥)がいることを知り、それを購入してもらったんだよね。
流石に〆られていたし首は落とされ血抜き済み 毛も毟られたツルッパゲの状態だったけど、侯爵のキッチンへ納品する業者が 気を使ってそこまでしてくれたのは仕方がないことだろう。
だけど、ヒトだって見えない程 毛におおわれている訳じゃないからね、身体の解剖を覚えるには良いんじゃない?って事になったんだ。

まあ、エミリンさんよりも ブン先生の方が貧血で倒れそうになったり、数名見学に来ていたメイドが気絶したりしたけど、ちゃんと見ていた人たちはよく理解できたみたい。
もも肉とか胸肉の辺りは 筋肉も発達しているし、血抜きはされてても血管は残ってるから内出血とかの理由も理解できたみたい。

お陰様で 屋敷内の回復得意ランキングを作れば エミリンさんとブン先生を抜いて 料理人たちが上位を占めるようになったのも納得しかないですね。
中身をイメージするのって大事って事がよく分かったよね。

ああ、そうそう、首都リズモーニでは ココッコではない鳥のように、家畜をはじめとした 魔獣ではない生き物が結構いるらしい。
前にお父さんから聞いた兎もメイドさんの中には実家で飼っているという人がいたレベル。
辺境にいると 魔素が濃いから普通の生き物がいないだけで、離れた場所には普通に居た。私はこの世界には魔獣しか存在しないと思ってたし、お父さんも 魔獣以外に用はないから気付かなかったという脳筋親子でした。


それから 魔道具作りは魔法陣作成から錬金術を実際に行う過程に進んでいます。
魔法陣の図形は随分上達したので、今度はこの中に実際古代文字を入れて 使える魔法陣にしていくという勉強です。

魔道具を作るには魔法陣をしっかり理解したうえで書けないと駄目だと先生が言ってた理由が痛いほどよく分かったのは、最終的に魔道具を完成させるための錬成陣も魔法陣が刻まれたものだったからだ。
大きな丸の中に七芒星が入っており、闇、聖、風、火、水、土、木の属性神の印が三角に刻まれていた。
闇と木の間、水と火の間、聖と風の間に丸印があり、そこには魔力を注ぐのだと教えてもらった。

「3つの白い丸ということで、これは創世神を示しているのだろうと言われています。
錬成陣の広い中心部分に 魔法陣を先に置き、その上に付与したい素材を置きます。装飾品などは ここに置く前の時点でカッティングなどの仕上げをしておきましょうね」

手を叩いて「錬成!」とか言うのかと思ってたけど 普通に錬成陣に魔力を流してました。
錬成陣は金属の板で、魔法陣は彫って作られています。
ちなみにこの金属の板ってのが 魔力を通しやすいミスリルで、簡単に手に入る鉱石ではないからこそ高額で、だからこそ魔道具士は貴族か それに準じた人しかなれないんだって。

「錬成陣自体も高額ですが、魔道具を作る為の魔法陣を作るにも インク、用紙、書く為のそれぞれの道具も必要ですし、そもそもの魔法陣を学ぶことができる場所が少ないですからね。
結果として貴族ぐらいしかそれで生計を立てることはできない。という事でしょう」

世知辛いですねぇ。
お母さんは多分自分で作ってたけど、あの知識はどこで学んだんだろうか。まさか本当に貴族だったとか?
いやいや、貴族令嬢があんなに口悪いとかある?
普段はおっとりして 優しい人だったし、ピンク髪のお陰で ちょっと儚げにすら見える人だったけど、私に意地悪する人とか、薬草畑に悪戯する人には容赦なかったからなぁ。
よく考えればお母さんってヒロインポジだよね。ピンク髪だし、聖属性持ちだし、(冒険者の)聖女だったし……。
お母さんが謎過ぎるんだけど、あの宝箱を開けられない限り 何も分かりそうにないよね。
あ、そういえば 私の鞄にはあれがある。現物持ち込みだったら 安価に作ってもらうことはできないだろうか。

「ブン先生、これがあったら 錬成陣を私も買うことができますか?」

「なんでしょう……石ですね? ん? これは。ちょっと待っててください。
エミリン、鑑定眼鏡はオットマールに言えば貸し出ししてもらえましたよね」

「え、ええ。借りてまいりましょうか?」

「ブン先生、鑑定眼鏡ならもってますよ、どうぞ」

鉱山ダンジョンで大量に掘ってきた鉱石、まだあれから帰ってないのでそのまま大量にマジックバッグに入っているのだ。
鑑定眼鏡も持っているからお渡ししたら ちょっとポカンとした後受け取ってくれて、石を鑑定し始めたよ。純ミスリルの延べ棒は あのギルドに卸してきたからね、純ではないけどミスリル鉱石ですよ。

「ヴィオ嬢、これはミスリル鉱石ですよ。どうしたのですか?」

プルプルした手で石と眼鏡を返却されました。
とりあえずノハシムの町にある鉱山ダンジョンで 自分たちの手で掘ってきたものだと説明。

「鉱山ダンジョンというのがあるのは知っていましたが、ああいった町では採掘したものを提出する決まりではありませんでしたか?
採掘量の何分の一かしか持って帰れないという約束があると聞いた覚えがありますが……」

割合は知らなかったけど、自分たちで使う分だけ。という注意はされたね。
でも1袋分の鉱石とボスの宝箱からでた純ミスリルを提出したから 何も言われなかったもんね。というかあれ以上出してたらひっくり返ってしまっていたと思う。

「沢山採れたからね、これは自分たちで持って帰ってきた分なの。
サマニア村に戻ったら武器屋さんに預けて 新しい武器を作る時に使ってもらうつもりだったけど、錬成陣を作るにはどれくらい必要?
武器の新調をする予定はしばらくないから、使って良いかお父さんに聞いてみます」

「え、いや、まあ、え?
ふぅ~。そうですね、このミスリル鉱石であれば 2つあれば十分ですよ。腕のいい工房がありますから そこに……、ヴィオ嬢を連れていくのはまずいですね」

ブン先生は 何かを諦めた感じでミスリル鉱石を受け入れてくれた。
確かに今までは珍しかったかもしれないけど、多分あの【索敵】が当り前になれば 鉱山ダンジョンでは当たり前に採掘できるようになると思うよ?
腕のいい工房を紹介してもらえるのかと思いきや、私みたいな子供や 冒険者にしか見えないお父さんが行ったら疑われる可能性があるし、確実に私の顔は記憶されるという。
そこでブン先生が ドゥーア先生のお使いとしてお店に行ってくれることになってしまった。
なんだか申し訳ないけど、ドゥーア先生からもそうした方がいいと言われたのでお願いします。
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