ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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閑話

〈閑話〉メネクセス王国 27

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 銀ランク上級〔土竜の盾〕リーダー:テリュー視点


 ヴィオの生存が確認された。
 まだ本人確認は出来てないけど、多分おそらく本人だろう。
 勿論俺たちの希望的観測と言えなくもないが、まずは本人がいるらしい王都を目指すことにした。

 丁度ギルマス会議の為にサマニア村のギルマスたちは不在だったが、俺たちのランクとパーティー名、ヘイジョーが拠点である事、目的を書いた手紙をギルドに預けてきた。

 サマニア村はリズモーニの最北部で、王都は海に近い南部にある。かなりの距離があるけど、隣の領地から船が出ているという事だったので、とりあえずルパインという町を目指すことにした。
 一か月ほどでルパインに到着し、ここでヘイジョーにも手紙を送っておいた。

 海の船とは全然違って揺れないし、魔魚も然程来ないという安心感は驚きだった。一泊二日で王都の北部に到着、乗合馬車で5日かけて首都に到着した。

「うわぁ、大きいのね」
「懐かしい」
「うん、学生時代を思い出すね」

 初めて首都に来た俺たちと、学園に通っていた2人は感想が違った。
 俺たちが王都だと思った町は『サバーブ』と呼ばれる町で、まだ中心ではなかった。オトマンたち曰くここは城壁の中に収まりきらなくなった農地、住宅、工房などを王様が整備しながら作った町らしい。

「まじかよ、この町だけでも故郷の栄えてた町よりデカいぞ……」

 オトマンたちはここで学生時代を過ごしていただけあって慣れているが、俺達4人は同じ気持ちだったらしく、ちょっと安心したぞ。
 まずはヘイジョーからの手紙が届いてる可能性があるので冒険者ギルドに向かった。外縁部の冒険者ギルドは支部であり、依頼を受けたり素材の売買は出来るが、手紙などは中のギルドでしか受け付けていないらしい。

「メネクセス王国所属の銀ランクパーティー〔土竜の盾〕という。俺たち宛にヘイジョーのギルドから手紙が来ていないだろうか」

 受付で目的を告げギルドカードを見せれば、少々お待ちくださいと言われ待つ。これだけ大きな街だと手紙の仕分けも大変なんだろうなぁと思っていれば、たった2~3分程で受付嬢が戻ってきた。

「お待たせいたしました。〔土竜の盾〕宛のお手紙は二通です。ヘイジョーとサマニア村、両方ギルドからですね。お心当たりはございますか?」

 サマニアからは驚いたが、会議から戻ったギルマスたちが伝言を見てくれたのだろう。受付嬢に頷けば、受領書にサインをして手紙を受け取る。
 すぐに読みたいがここでは人が多い。ギルドの外で待っていたメンバーと合流して、まずは宿屋に向かった。

「サマニア村からも? まあ取り敢えず見てみようよ」

 宿の一室に集まり二通の手紙を前に車座になる。
 どちらから読むかという話し合いの元、馴染のヘイジョーから読むことにした。


《サマニア村のギルマスから連絡をもらった、やり取りして、まあヴィオだとお互いに確信した。
 んでお前らすれ違いになったみたいだ。王都の会議が終わってギルマスたちと一緒に村に帰ってきたとこだとよ。けど、風の季節にまた王都方面に行くらしいから、お前らはそのままそこにいたらいい。
 でだ、ここからが本題。
 あっちのギルマスたちからすれば、お前らは得体のしれない冒険者、てことでお前らの為人を確認するためにある人のところに行って欲しいとよ。俺からは 普段通りのお前たちを見せた方が良いとしか言えねえ。とりあえずまだフィルには連絡してねえから、本人確認出来たら連絡して来い》

「「「「…………」」」」
「まじか」
「もうちょっと居たら良かった?」
「ま、まあ、風の季節に来るって書いてるし」

 何とも言えない空気になるものの、ギルマスからのある人のところに行けという内容も気になる。『どこに』という記載がないという事は、それはこちらの手紙に書いてあるのだろう。
 緊張しながらもう一通の手紙を開ければ、そこには一言だけあった。

《私の恩師、ダンブーリ・ドゥーア先生に会いに行ってください 
 ~サマニア村 サブギルドマスター アスラン~》

「誰だよ……」
「ドゥーア先生? 魔導学園の先生だよ。私もお世話になったんだよ。エルフの先生でね、魔法に凄く詳しくて魔道具にも精通している先生なんだ。先生を恩師って、ちょっと見せてね。
――ええっ!? サマニア村のサブマスってアスラン様なの!?」
「え? ネリア知ってるのか?」
「俺も知ってる。というか学園では有名。
俺たちの8つ年上だから、学園では被ってないけど、凄い魔法使いだったってことで有名だったよ。確か貴族の長男だったのに魔法に夢中になって冒険者になった筈」

 まさかの情報だったけど、これってあと数日サマニア村に残っていたらもっと話は早かったのでは? 多分皆もそう思っただろうけど口には出さない。

「よっし、ネリアとオトマンも知ってる人が相手なら大分気が楽になった。けどよ、学園って平日やってんだろ? 聖の日まで待った方がいいのか?」
「いや、多分この内容だと、先生のところにも俺たちが来たら見定めて欲しいと連絡が入ってるはず。となれば今日手紙を受け取った事が先生の所に連絡が入ってると思った方がいい。
 であれば明日の日中に行って予定をすり合わせた方が良いと思う。貴族の家だから、先生が居なくても必ず使用人がいるからね」
「えっ、先生って貴族なのか?」
「テリュー、学園の生徒は9割が貴族。それを教える人が貴族なのは当り前」

 ネリアの呆れた目が刺さる。
 そういうものなの? まあそうか、そうだよな。


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