ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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はじめての上級ダンジョン

第296話 ゲルシイの森ダンジョン その2

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さて、とりあえず風魔法で音漏れしないように包み込んでから お話を聞こうかな? 
大丈夫かな? 冷気が凄いよ? その冷気 気配隠蔽で隠れるのかな?

「ルンガお兄ちゃんは知ってる人だったの?」

とりあえず 聞きやすいところから聞いてみようかな?
2組目の冒険者を見て 何かに気付いた感じだったもんね。

「あいつら前回のダンジョン踏破後 すげえしつこく絡んで来た奴らだ。
ダンジョン踏破したらここに出るだろ? 丁度その時に見られて 『鞄は出たのか、どれくらいの精度のが出たんだ、いいものだったら高値で買い取る』って絡んできたんだ」

ナニソレ超絶面倒じゃない?

「あの時は偶然だと思ったけど、今のやり取りを見てたら 待ってた可能性があるね。
俺たちの工程、ヴィオが赤メダルな事、父さんのランク、あの受付で知ることが出来たとしたら ヴィオのメダルだけだろう?
という事はギルドが絡んでるって事だ。
昨日の感じからして あのギルマスとサブマスが漏らすとは思えない。となれば こっちの受付にいる奴らが情報を漏らしたと考えられる」

「まあそうじゃろうな、じゃが ヴィオが来ること この時間を読んで待っておったことを思えば、あっちのギルドにも漏らしたやつがおるんじゃろうな」

トンガお兄ちゃんが “オレ” のままですよ。激おこですよ。

「ん?ギルドの受付と こっちの受付って一緒じゃないの?出張所的な扱いだから 今日は中、今日はダンジョン受付って感じなんじゃないの?」

「あ~、そういうギルドもあるのか。
普通は町からギルドまでそれなりに距離があるから 担当が別って事は多いんだよ。
一応連絡は取り合ってるけど 本社と支社って感じのところが多いみたいだよ」

そうなんだね、確かにそれなりに距離があれば そうなってもおかしくないのかな。
けど今回は多分あっちとこっちの両方に漏らした人が居そうだよね。

「まあ とりあえず行こうぜ」

「クルトはムカつかないの?」

お兄ちゃんたちがグヌヌとなっているとことで クルトさんが先に進もうと言ってくれた。ありがたい、私もあんな奴らどうでも良いから 早く進みたいですよ。
風の盾を解除して 隠蔽はそのままで歩き出したけど ちょっとトンガお兄ちゃんは不満げです。

「いや ムカつくけど、どう見てもあいつら弱えだろ?
んで 多分これが初めてじゃない。あえて別のパーティーに見せてんのも 人数を少なく見せるためだろうし、上級で行方不明って珍しくもないから 常習犯なんだろうなって」

うんうん、そんな感じだったよね。
雰囲気も 先に入ってきた方はちょっと厳つくて いかにもって感じのチンピラ冒険者風だけど、後から入ってきた方は 見た目も綺麗にしてたし リーダーが優しそうに見えた。
多分 チンピラ冒険者が絡んで 優しい方が助けて 油断させといてからのグサリ!とかやってそう。

「ヴィオは 怖いことを考えるなぁ。けど確かにそういう事はよくある。ああ グサリではないぞ?
絡まれたところを助けられたことで 仲良くなって 臨時パーティーを組んだり という事じゃな」

ああ、びっくりしたよ。
そんな事が頻繁にあるなら マジで魔獣より冒険者コワイになっちゃうところだった。

「プハっ、もう、ヴィオったら、誘拐されそうになったのはヴィオなんだよ?
あんなこと言われて怖くなかった?」

「え?クルトさんも言ってたけど弱そうだったし お兄ちゃんたちがいるのに攫われるはずないもん。
まあ襲ってきたら 正当防衛って言う理由もできるだろうし、ダンジョンは自己責任じゃない?
行方不明も珍しくないみたいだし、帰ってこなくても仕方ないって事ですよ。
ね、お父さん」

「まあそうじゃな。あんまり対人はさせたくないんじゃが、来るなら仕方が無いな」

「あ~~~~、まあそうだね、それは仕方ない」

「あいつらには ご愁傷様って言葉を贈っとくか」

クルトさんが呆れた感じで呟くけど、襲うなら反撃されることも考慮しておかないとね。
という事で 対応策が決まったので 2階へ向かいます。
あれだけ団体で走っていた割に 誰も罠にかかっていないのは このダンジョンの常連という事なんだろうか。

前回ケーテさん達と入った時は 全ての罠を発動させながら歩いたけど、今回は面倒な奴らがいることもあり 避けていくことにしましたよ。
2階に下りる階段で 少々足音が気になったので一旦戻ってもらう。

「あの人たちが気付くとは思わないんだけど、念のために 音消しと重量軽減もするね。戦う時とかには問題ないと思うけど飛び跳ねる時とか 思ってるより高く上がるから気を付けてね」

「え?ナニソレどういう感じ?」

新しい魔法をかけると宣言すれば トンガお兄ちゃんがウキワクで聞いてくる。お兄ちゃんも大概魔法が好きだよね。
サブマスとドゥーア先生とは違うけど、少年みたいに新しい魔法に興味津々になるのは可愛いと思う。

「生活魔法の【サイレント】はお互いに内緒話をするときに使うでしょう?
闇魔法の【サイレント】は 沈黙というよりは静寂なの。かけられた人が出す音を消してしまうから隠蔽をしているうえでかけると 周囲に声も聞こえなくなるの。
最初にかけとけば お兄ちゃんが声を出しても大丈夫だったのに忘れてたの、ごめんね。
それから【ウエイト】は重量変化の魔法で 重くも軽くもできるの。今回は軽くする方ね。
【サイレント】と同時掛けすることで 足音も消えるって訳」

25人もの盗賊を荷車で運べたのは この【ウエイト】をかけていたから。
牢屋に到着する頃には魔法が切れたと思うので、その後25人を荷車に乗せたとしたら壊れたと思う。
大丈夫だったかな?

全員がその魔法をかけることに納得してくれたところで 【サイレント】【ウエイト】の二つを重ね掛けする。
全員にかけているから自分たち同士ではあまり実感は出来ないだろうけど、その場で軽くジャンプしたクルトさんが天井すれすれまで飛んだことで納得したらしい。
その後広いところで剣と槍の素振りをして感覚を確かめてから2階へ下りる。さて、あの人たちはどうしているだろうかね。
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