338 / 584
はじめての上級ダンジョン
第299話 ゲルシイの森ダンジョン その5
しおりを挟む
~〔サマニアンズ〕クルト視点~
※残酷表現あり。人死があります お読みになる時はご注意ください※
ヴィオがルンガに連れられてテントに入った後、アルクさんが狩りに行った。
いつものヴィオに甘い雰囲気は全くなく、獲物を狩る猛獣にしか見えなかった。
ヤベエ 尻尾が股に挟まって出てこねえ。
「父さんやばかったね。俺 今の父さんに勝てる気が1ミリもない」
軽口を叩いていた筈のトンガも よく見れば顔色がちょっと悪い。熊獣人は耳と尻尾に出にくいからズルいと思う。
俺も猫に比べれば耳は出にくいけど 尻尾は無理だ。いい加減腰に巻く練習するか。
あいつらのヴィオ曰く “優しそうに見せかけた方” が俺らに絡んで来た奴らだった。だから最初からイメージは最悪。
大体高値で買うっていくらで買うつもりだったんだ?
時間遅延あり以上だったら オークションにかければ相当額になるのに あそこで頷く奴がいるのか?
「そういえばさ、俺たちあいつらがウザくてすぐ町出たじゃん? 普通の奴らはさ 武器修理で嫌でも町にいないといけない期間があるからさ 面倒過ぎて売っちゃうのかもね」
トンガの言葉になるほどと納得した。
あのウザさで四六時中付きまとわれたら 売ろうと思ってるやつだったら折れるかもしれない。相当迷惑すぎる奴らだな。
「あ、消えたね。早いなぁ」
トンガの言葉にマップを確認すれば 確かに一人分の魔力反応が消えた。
しばらくその場に留まっていたと思えば 凄いスピードで行き止まりの道へ向かって行く。
「なあ、これ走ってんだよな? アルクさん飛んでねえよな?」
「クルト何言ってんの。父さん熊だから、飛べないよ」
いや、それは分かってるけど 何この速さ、おかしくねえか?
この部屋に向かってくる奴らはまだいないから アルクさんの行動をマップ上で確認している現在。次は向き合った状態でしばらく居たようだ。話し合いをしたとは思えないけど 聞くのも怖いな。
「あ、やっと来そうだよ」
マップ上に数名が集まっているのが見える。確かに手前にある部屋を確認しながら来てたから 最後のここに当たりを付けたんだろうな。めちゃ時間かかってるけど。
だけど最初のメンバーは5人ずつの10人だった。
既にアルクさんが二人片付けていて 後二人も結構離れてるからこれはアルクさんが殺るだろう。
俺たちのところに来るのは6人か。
「遅くない?」
トンガが腕組みしながら足をトントンしている。こいつが苛ついている時にする癖だ。まあ確かに集まってから来るのに随分時間がかかっている。
「何らかの方法で集合かけて待ってんじゃね?もう来ねえけど」
俺たちはどこに何人いるのか分かっているから良いけど 普通は分からないからもう来るのか、来れない場所にいるのか分からないのかもしれない。
しばらく待てば諦めたのか6人組が動き出した。3人ずつに分かれたけど どういうことだ?
「こいつら本気? 多分ヴィオが言ってたことやるんじゃない?
どうする?ここで待ってたら殺る気満々ってバレちゃうね。のってあげる?」
コイツ、普段は優しいのに 意外とこういうところあるよな。
まあ俺も今回は許せねえし のってやるか。
普通に休憩をしているふりをするために 火を焚いて鍋に入れた水を沸かし始める。
肉串は 汚れそうだしやめとこ。
5分ほど待っていれば セフティーゾーンの扉が開いた。
「おい、先客がいるぞ」
「マジかよ うぜえな。放り出せよ」
《こいつら馬鹿なの? 喧嘩の売り方間違えてない? このやり方でよく生きてたね》
《ちょ、お前ちょっと黙ってろ》
入ってきて早々の喧嘩口調に思わず呆れる。狭い部屋で 階に一つしかないセフティーゾーンならまだしも、この階には別に個室が2つあるし、この部屋もまだテントは3つ張れるほどの広さがある。
「おい、お前らだよ聞いてんのか?」
ヤベエ アホすぎると思ってたら続いてた。
ヴィオによると この後優しいのが来るんだろ?
え?待つ必要ある?
どう見てもヒト族と獣人もいるけどネズミか?尻尾震えてんぞ?
ヒト族は感覚が鋭くないから あんまり分かんねえんだろうな。
おいネズミの小僧 お前その感覚を大事にしてたら生き残れたのにな、もう遅いけど。
《ねえ待つ必要ないよね》
《だな》
「おい、聞いてんのか?」
「さっきからうるせえよ。お前の目は節穴か?この部屋がどんだけ狭く見えてんだ?巨人族にも見えねえけどテントじゃなくて宮殿でもこれから建てるつもりなのか?」
「なっ、ふし、この野郎!」
「いや、うるせえんだけど。ダンジョンで他の冒険者に絡むなって知らねえのか?下手に喧嘩売ったら やられても文句言えねえって事 分かってやってる?」
「ひっ‼」
ネズミの小僧はその場で蹲りブルブル震え出しているけど、言い出した男は後に引けないのかうるせえだけを繰り返している。もういいか?
「揉め事か……、ってどうした?」
もう一組がタイミングを計って入ってきたけど どういう状況が正解だったんだろうな。
一人は蹲って震えてるし、1人は短剣を突き出してプルプルしてるし、1人は俺たちにすごんでるけどその場に直立不動だし。
ああ、両方のリーダーがこっち側で参加なのか。その時点で計画破綻してねえか?
「あ、あいつらヤベエよ」
「お、お、おれもう無理です。あいつらに勝てるはずないです」
「てめえ今更何言ってんだ?んなこたぁどうでもいいんだよ。
つーかガキが居ねえな。後二人が居ねえのは丁度良いけどガキはどこだ?」
すでに戦意喪失したネズミの小僧が撤退を促すけど 優しい振りのリーダーが一蹴した。まあ逃がさないけどな。
アルクさんとルンガの姿が見えないと分かり 人数差で押せると思ったんだろう、態度を豹変させた男がこちらに問いかけてくる。
「ガキってうちの可愛い妹の事?」
「あぁん?妹だ? ああ、可愛いガキだったな。阿呆な家族のせいでこんなダンジョンに連れてこられて可哀想に。俺らが た~っぷり可愛がってやるから安心しな。
ついでにお前らの鞄も全部俺らが有効活用してやるよ。お前ら行くぞ!
ん?おま……は?」
先頭に立って腕を振り上げた男。
その声に続く声はいない。振り返った男の目の前には 血の海と 仲間だった筈の奴らの首を持った虎と熊。
「で?うちの妹をどうするって?」
俺に2個の首を投げてくるトンガ。まあそいつはお前が殺った方が スッキリするならそれでいい。
「は?おま……冒険者殺しは……」
「はぁ?聞こえないんだけど? 冒険者?お前らが?
冒険者モドキだろ? 1階層で戻ってくる奴らを見つけたら 言い寄って魔道具安い値段で買い取って 高値で売買?
何その差額のいくらかをギルドに収めてんの?
ああ、でもあのギルマスたちがそれを認める筈ないから、何人かの職員を買収してんのかな?」
「な、なんでそれ……」
「知る必要ある?もう死ぬのに」
「お、おれを殺したら 捜索が入るぞ」
「ふぅ~ん」
「お前らが疑われるぞ」
「そうなんだ~」
「俺を助けたらおまペ……」
「ダンジョンでは自己責任だしね。っていうかオマペって何? ちゃんと聞けばよかったかな」
命乞いというか 腰を抜かした男がズリズリと後ろに下がりながら言い訳をしていたけど、最後は面倒になったんだろう 首を蹴り飛ばして終了だった。
俺もこいつも部屋も血みどろだ。
戻ってきたアルクさんがその現状を見て呆れながら【クリーン】をかけてくれて臭いもスッキリした。
持ってた首は心なしか軽くなったな。
「この部屋じゃとスライムが片付けられん。外に持っていくぞ」
「わかった~」
2体ずつ遺体を担いで外に出る。
多分最後にアルクさんがやった奴が居たらしい場所に大量のスライムが集まってた。既にヒトの姿はなくタグだけが転がっている。
「これも頼むぞ」
そう言ってスライムの中央にドサドサと遺体を投げるアルクさん、トンガも同じように置くからおれも積み上げる。首はどうすんだ?
ふと見れば目はないけどじっとこちらを見ているようなスライムが居たので そいつの目の前に置けば 即頭を包み込んで消化を始めた。
飯食ってるみたいだな。
その後セフティーゾーンに戻って 話し合いをした結果 タグはそのままでいいだろうという事になった。
7体分がまとまって見つかるのはおかしくないかと思ったんだけどな。
「あいつらは常習犯じゃ。誰に恨みを買っておるか分からんじゃろう。何なら1階に置いておいても良いと思うくらいじゃが それは直ぐに見つかって面白くない。まあ3階も皆が通るじゃろうし 見つかるのは時間の問題じゃろうがな」
とのこと。
いや、けどあいつら放置した場所って 通らないでも良い場所だったよな。通常の個室を探しながら歩くなら通らない道、あの道でタグを見つけたやつらはびっくりするだろうな。
まあこれはこれで仕方ないことだな。
さて、腹減ったな。飯作るか!
※残酷表現あり。人死があります お読みになる時はご注意ください※
ヴィオがルンガに連れられてテントに入った後、アルクさんが狩りに行った。
いつものヴィオに甘い雰囲気は全くなく、獲物を狩る猛獣にしか見えなかった。
ヤベエ 尻尾が股に挟まって出てこねえ。
「父さんやばかったね。俺 今の父さんに勝てる気が1ミリもない」
軽口を叩いていた筈のトンガも よく見れば顔色がちょっと悪い。熊獣人は耳と尻尾に出にくいからズルいと思う。
俺も猫に比べれば耳は出にくいけど 尻尾は無理だ。いい加減腰に巻く練習するか。
あいつらのヴィオ曰く “優しそうに見せかけた方” が俺らに絡んで来た奴らだった。だから最初からイメージは最悪。
大体高値で買うっていくらで買うつもりだったんだ?
時間遅延あり以上だったら オークションにかければ相当額になるのに あそこで頷く奴がいるのか?
「そういえばさ、俺たちあいつらがウザくてすぐ町出たじゃん? 普通の奴らはさ 武器修理で嫌でも町にいないといけない期間があるからさ 面倒過ぎて売っちゃうのかもね」
トンガの言葉になるほどと納得した。
あのウザさで四六時中付きまとわれたら 売ろうと思ってるやつだったら折れるかもしれない。相当迷惑すぎる奴らだな。
「あ、消えたね。早いなぁ」
トンガの言葉にマップを確認すれば 確かに一人分の魔力反応が消えた。
しばらくその場に留まっていたと思えば 凄いスピードで行き止まりの道へ向かって行く。
「なあ、これ走ってんだよな? アルクさん飛んでねえよな?」
「クルト何言ってんの。父さん熊だから、飛べないよ」
いや、それは分かってるけど 何この速さ、おかしくねえか?
この部屋に向かってくる奴らはまだいないから アルクさんの行動をマップ上で確認している現在。次は向き合った状態でしばらく居たようだ。話し合いをしたとは思えないけど 聞くのも怖いな。
「あ、やっと来そうだよ」
マップ上に数名が集まっているのが見える。確かに手前にある部屋を確認しながら来てたから 最後のここに当たりを付けたんだろうな。めちゃ時間かかってるけど。
だけど最初のメンバーは5人ずつの10人だった。
既にアルクさんが二人片付けていて 後二人も結構離れてるからこれはアルクさんが殺るだろう。
俺たちのところに来るのは6人か。
「遅くない?」
トンガが腕組みしながら足をトントンしている。こいつが苛ついている時にする癖だ。まあ確かに集まってから来るのに随分時間がかかっている。
「何らかの方法で集合かけて待ってんじゃね?もう来ねえけど」
俺たちはどこに何人いるのか分かっているから良いけど 普通は分からないからもう来るのか、来れない場所にいるのか分からないのかもしれない。
しばらく待てば諦めたのか6人組が動き出した。3人ずつに分かれたけど どういうことだ?
「こいつら本気? 多分ヴィオが言ってたことやるんじゃない?
どうする?ここで待ってたら殺る気満々ってバレちゃうね。のってあげる?」
コイツ、普段は優しいのに 意外とこういうところあるよな。
まあ俺も今回は許せねえし のってやるか。
普通に休憩をしているふりをするために 火を焚いて鍋に入れた水を沸かし始める。
肉串は 汚れそうだしやめとこ。
5分ほど待っていれば セフティーゾーンの扉が開いた。
「おい、先客がいるぞ」
「マジかよ うぜえな。放り出せよ」
《こいつら馬鹿なの? 喧嘩の売り方間違えてない? このやり方でよく生きてたね》
《ちょ、お前ちょっと黙ってろ》
入ってきて早々の喧嘩口調に思わず呆れる。狭い部屋で 階に一つしかないセフティーゾーンならまだしも、この階には別に個室が2つあるし、この部屋もまだテントは3つ張れるほどの広さがある。
「おい、お前らだよ聞いてんのか?」
ヤベエ アホすぎると思ってたら続いてた。
ヴィオによると この後優しいのが来るんだろ?
え?待つ必要ある?
どう見てもヒト族と獣人もいるけどネズミか?尻尾震えてんぞ?
ヒト族は感覚が鋭くないから あんまり分かんねえんだろうな。
おいネズミの小僧 お前その感覚を大事にしてたら生き残れたのにな、もう遅いけど。
《ねえ待つ必要ないよね》
《だな》
「おい、聞いてんのか?」
「さっきからうるせえよ。お前の目は節穴か?この部屋がどんだけ狭く見えてんだ?巨人族にも見えねえけどテントじゃなくて宮殿でもこれから建てるつもりなのか?」
「なっ、ふし、この野郎!」
「いや、うるせえんだけど。ダンジョンで他の冒険者に絡むなって知らねえのか?下手に喧嘩売ったら やられても文句言えねえって事 分かってやってる?」
「ひっ‼」
ネズミの小僧はその場で蹲りブルブル震え出しているけど、言い出した男は後に引けないのかうるせえだけを繰り返している。もういいか?
「揉め事か……、ってどうした?」
もう一組がタイミングを計って入ってきたけど どういう状況が正解だったんだろうな。
一人は蹲って震えてるし、1人は短剣を突き出してプルプルしてるし、1人は俺たちにすごんでるけどその場に直立不動だし。
ああ、両方のリーダーがこっち側で参加なのか。その時点で計画破綻してねえか?
「あ、あいつらヤベエよ」
「お、お、おれもう無理です。あいつらに勝てるはずないです」
「てめえ今更何言ってんだ?んなこたぁどうでもいいんだよ。
つーかガキが居ねえな。後二人が居ねえのは丁度良いけどガキはどこだ?」
すでに戦意喪失したネズミの小僧が撤退を促すけど 優しい振りのリーダーが一蹴した。まあ逃がさないけどな。
アルクさんとルンガの姿が見えないと分かり 人数差で押せると思ったんだろう、態度を豹変させた男がこちらに問いかけてくる。
「ガキってうちの可愛い妹の事?」
「あぁん?妹だ? ああ、可愛いガキだったな。阿呆な家族のせいでこんなダンジョンに連れてこられて可哀想に。俺らが た~っぷり可愛がってやるから安心しな。
ついでにお前らの鞄も全部俺らが有効活用してやるよ。お前ら行くぞ!
ん?おま……は?」
先頭に立って腕を振り上げた男。
その声に続く声はいない。振り返った男の目の前には 血の海と 仲間だった筈の奴らの首を持った虎と熊。
「で?うちの妹をどうするって?」
俺に2個の首を投げてくるトンガ。まあそいつはお前が殺った方が スッキリするならそれでいい。
「は?おま……冒険者殺しは……」
「はぁ?聞こえないんだけど? 冒険者?お前らが?
冒険者モドキだろ? 1階層で戻ってくる奴らを見つけたら 言い寄って魔道具安い値段で買い取って 高値で売買?
何その差額のいくらかをギルドに収めてんの?
ああ、でもあのギルマスたちがそれを認める筈ないから、何人かの職員を買収してんのかな?」
「な、なんでそれ……」
「知る必要ある?もう死ぬのに」
「お、おれを殺したら 捜索が入るぞ」
「ふぅ~ん」
「お前らが疑われるぞ」
「そうなんだ~」
「俺を助けたらおまペ……」
「ダンジョンでは自己責任だしね。っていうかオマペって何? ちゃんと聞けばよかったかな」
命乞いというか 腰を抜かした男がズリズリと後ろに下がりながら言い訳をしていたけど、最後は面倒になったんだろう 首を蹴り飛ばして終了だった。
俺もこいつも部屋も血みどろだ。
戻ってきたアルクさんがその現状を見て呆れながら【クリーン】をかけてくれて臭いもスッキリした。
持ってた首は心なしか軽くなったな。
「この部屋じゃとスライムが片付けられん。外に持っていくぞ」
「わかった~」
2体ずつ遺体を担いで外に出る。
多分最後にアルクさんがやった奴が居たらしい場所に大量のスライムが集まってた。既にヒトの姿はなくタグだけが転がっている。
「これも頼むぞ」
そう言ってスライムの中央にドサドサと遺体を投げるアルクさん、トンガも同じように置くからおれも積み上げる。首はどうすんだ?
ふと見れば目はないけどじっとこちらを見ているようなスライムが居たので そいつの目の前に置けば 即頭を包み込んで消化を始めた。
飯食ってるみたいだな。
その後セフティーゾーンに戻って 話し合いをした結果 タグはそのままでいいだろうという事になった。
7体分がまとまって見つかるのはおかしくないかと思ったんだけどな。
「あいつらは常習犯じゃ。誰に恨みを買っておるか分からんじゃろう。何なら1階に置いておいても良いと思うくらいじゃが それは直ぐに見つかって面白くない。まあ3階も皆が通るじゃろうし 見つかるのは時間の問題じゃろうがな」
とのこと。
いや、けどあいつら放置した場所って 通らないでも良い場所だったよな。通常の個室を探しながら歩くなら通らない道、あの道でタグを見つけたやつらはびっくりするだろうな。
まあこれはこれで仕方ないことだな。
さて、腹減ったな。飯作るか!
513
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる