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上級ダンジョンの旅
第323話 ウミユの街
しおりを挟むウミユの街に到着した翌日は 武器をお手入れに出すため 其々武器屋さんへ。
私には馴染の店なんてないので お父さんが案内してくれたお店に行くんだけど、お兄ちゃんたちもこの町は初めてなので まずは同じお店へ。
行ったお店は 短剣や解体ナイフを得意としていて、長剣や槍は別のお店を紹介されてた。
やろうと思えばどんな武器でも扱えるけど、お店によってよく取り扱う武器は違うらしい。聞かれなければ 受け取るけど 聞かれたら答えてくれるのも凄いよね。
私とお父さんはナイフしか出さないので ここでお願いし、お兄ちゃんたちも解体ナイフは依頼してた。
他の武器は紹介されたお店に行くようです。
「このお店で全部預かっちゃえば お金も稼げるのに 優しいよね」
「まあな。けど冒険者にとっての武器は命を預ける大事な道具だからな。
イマイチの仕上げをされたら その店は二度と使わねえし、そんな噂は直ぐに回る。新人で武器の手入れも碌に出来ないやつなら分からねえだろうけど、普段から自分で手入れしてたら 良し悪しは直ぐ気付くからな」
クルトさんに言われて納得。
それなら紹介する店も考えるよね。
初見のお店しかない場合は ギルドにお勧めを聞くのも一つだそうです。
「けど ギルド職員が賄賂をもらって イマイチなお店でも紹介してくることがあるから最初は解体ナイフとかを出して腕を見ることをお勧めするよ」
ナニソレ!?
ギルドには絶対行くし 最初からそれでいいじゃんって思ったら トンガお兄ちゃんから爆弾発言ですよ。
でも つい先日行ってたゲルシイの事があるし、そういうこともあるのか!?
「くくっ、ヴィオ百面相になってんぞ。
まあ 今までリズモーニでそういう事に当たった事はなかったけど 共和国では時々あったな」
えぇ~、もう共和国に行きたい気持ちがどんどん薄れていくんですけど。
でも水のダンジョンには行ってみたいしな。
行くならもう少し大きくなってからの方が良さそうだな。
「お父さん、私 共和国に行くなら10歳くらいになってからの方がいいかも」
今の姿だと難癖すごい付けられそうだもの。
リズモーニだからサマニア村出身ってだけで納得してもらえることも、他国じゃそうもいかないだろうし、ダンジョンだって断られるに決まってる。
「まあそうじゃな、10歳でも まだまだ子供じゃが、今の成長具合を見ておれば 身長も伸びておるじゃろうし ダンジョンに入るのを止められることはなさそうじゃな」
お兄ちゃんたちも笑いながら納得。
10歳になったら 一緒に共和国を回れるように、お兄ちゃんたちはこの後メネクセス王国を回ることに決めたらしい。冒険者はどこにでも行けるから自由だよね。
昼食後の午後にはギルドに情報収集をしに行った。
お兄ちゃんたちもこのダンジョンは初めてという事だったので 一緒に図書室へ。
お父さんは サマニア村から届いている筈の手紙を受け取ってから 来てくれる予定。
「図書室も ヴィオから言われるまでそんなに来ることはなかったけど、これだけ情報があるなら 来るべきだね」
「地図は別として 魔獣の情報は大事だよ。
こうやってまとめておくと 資料には書いてないけど 森だったらこういう魔獣が出るかもって 予想もできるしね。
こないだの茸は資料に書いてなかったから ビックリだったけど、今回は出てきても大丈夫なように ほら!」
「魔茸辞典?」
「うん、魔茸について書いてるって事だったから これもノートに写しておくの。
そしたら 次に別の茸に会っても安心でしょ?」
ノハシムの町では 岩場や 鉱山によく出る魔獣の辞典も読み込んだし、量が多いから 全く関係のない相手の事までは手が回らないし 頭に入らなそうだけど、接触した相手の事なら 想像できる分 記憶しやすい。
お兄ちゃんたちは3人で手分けして写す事にしたらしく 資料を回し読みしている。
絵までは写さず 特徴とか弱点、ドロップアイテムだけを写しているから そんなに時間はかからないだろう。
「ほうほう、ベテランらしい冒険者も こうして資料を読みに来てくれるとは感心ですね。
近頃は下の依頼票だけ見て ダンジョンに向かう者も少なくありません。
この資料ももう少し充実させたいのですが、資料があることを知らない人が多いから 増えないのです」
資料を写し終えて 司書さんに声を掛けたらそんな事を言われた。
確かに 資料を見てなければ どの情報が新しくて 売れるかも分からないもんね。
お兄ちゃんたちもそれに気付いたようで 頷き合っているから 今後は情報料も稼ぐようになるかもね。
「オジサン、ここのダンジョンにはアンテッドが出ると聞いてたんですが、その情報がないのも そのせいですか?」
「そうだね、アンテッドを嫌がるものは多い。特に獣人は臭いが無理だと嫌がるし、そうじゃなくても ドロップアイテムが売れないものだけだからね。
20階でも30階でも魔道具がボスドロップで出るが、人気のある魔道具なら ゲルシイに行けばもっと良いものが見つかるしね。
20階で戻ってくる人が多いから 深層階は 殆ど手つかずと言ってもいいかもしれないね。
スタンピードを起こさせないために ギルド職員が 定期的に潜るくらいじゃないかな」
それは残念過ぎるね。
みんなアンテッドの中身に興味がないのだろうか。
ギルド職員が入るなら資料が充実しそうなものだけど、オジサン曰く冒険者が稼げる可能性がある資料を職員が埋めては駄目だろう。という事で埋めてないらしい。
資料がないからこそ行かない人が多そうだけど、まあ それは言わないお約束なのかもしれないね。
「お父さん、そんなにアンテッドが多いの?」
「いや、時々出るくらいで 基本は普通の森のはずじゃがな。
ああ、このダンジョンの中層階以降は昼夜があるからな、日が落ちるとアンテッドが出てくるんじゃ。日中に行動してるときには出てこんかったはずじゃ。
いや、暗い場所は出るんじゃったかな?まあそんな 墓地とかみたいにアンテッドだらけっちゅうことはないはずじゃ」
おぉ!ついに昼夜があるダンジョンなのですね!?
お兄ちゃんたちは 日中に出ないのであれば 安心して動けそうだと一安心しているけど、私は俄然 見に行きたいと思ってるんですけど 許してもらえるだろうか。
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