365 / 584
上級ダンジョンの旅
第324話 お手紙
しおりを挟むお父さんがギルドで受け取った手紙はサマニア村からで、手紙にはドゥーア先生の手紙も同封されていたみたい。
「ドゥーア先生からも? 」
「ああ、なんでも長期休みにウミユ遺跡を見に来るらしいぞ。かなり広いと聞いているから時間もかかるはず。もし会えたら嬉しいじゃと」
マジで!?
まあ考えてみれば フルシェのダンジョンに行った先生たちだもの、王都近郊のダンジョンから攻めていくのは当たり前なのかもしれないね。
「凄いね!ああ それでギルマスたちがお手紙を同封してくれたのかな?
確か今週末で学園は終わりだったよね? だったら来週には来るかな?
先生だもん、終わったらすぐに来そうだよね?
会えるかな、ああ、そしたら錬成陣も持ってくればよかった」
ダンジョン準備期間は 町で過ごすけど、大抵保存食の準備とか ダンジョンの下調べとかで バタバタするから 錬成陣は持ってこなかったんだよね。
魔法陣の練習だけは出来るように ペンとかコンパスは持ってきているけど、実際に使える訳じゃないから高価なインクとかも置いてきてる。
先生たちに会える可能性があるなら チェックしてもらえるチャンスだったのに 勿体ないことをした。
「へえ~、ドゥーア先生って ヴィオが魔法を教えてもらった先生だっけ?
その先生が此処に来るの?」
「そうみたい。お休みになったらすぐに来そうだけど、私たちも来週からダンジョンだし もしかしたらすれ違っちゃうかもだね」
先生たちには会いたかったけど、武器の手入れが終われば ダンジョンに入ることになっているし、流石にお兄ちゃんたちを付き合わせる訳には行かない。
残念だけど、先生たちには感想を聞くだけになるかな。
「いーんじゃねえの?別に俺らは予定が決まってるわけじゃねえし、その先生には俺も会ってみたい。
あれだろ、遺跡も見るんだったら ヴィオも見たいだろうし 一緒に見ればいいんじゃねえの?」
先生たちには会えないかなと思っていたら ルンガお兄ちゃんがそんな事を言ってくれた。
なんて良い男なの!?
思わずキラキラした目で見つめちゃったら 赤い顔して逸らされた。
「あれだな、ヴィオを益々手が付けられない状態にした張本人って事だな」
ちょっとクルトさん、どういう意味ですか?
お兄ちゃんたちも笑ってないで否定してくれないと困りますよ?
「まあ そしたら 先生らが来るまで待機じゃな。
今回の移動中に 下拵えしておいた乾燥野菜も スープも大分使ったし、待つ間にゆっくり補充しようか」
「あ、俺も フリーズドライもうちょっと練習したいから ヴィオ付き合ってくれ」
もう、さっきはあんなこと言っといて 調子いいんだから。
でも 前回別れた後 スープのストックが無くて困ったから、ゲルシイで練習したもんね。
魔力操作の訓練を頑張ってるだけあって失敗は少ないんだけど、まだまだ魔力も結構使ってるから 練習が必要なんだよね。
「あ、だったらさ、ヴィオの回復魔法? あれ僕たちも出来るようになる?
父さんもちょっと出来るようになったんだよね?」
「儂はまだ 小さい傷だけじゃけどな」
「そっか、聖属性持ちじゃなくても出来るんだっけ? 俺もやってみたい」
おお、なんか皆ヤル気マックスじゃないですか?
確かに お兄ちゃんたちも この上級ダンジョンを踏破したら また別行動になるし、その時に回復を使える人が二人いるのは良いよね。
聖属性持ちじゃない人でも使えることが分かってから お父さんも練習をしてたもんね。お兄ちゃんたちも十分使えるようになると思うよ。
クルトさんは料理担当だから分担だね。
「じゃあ 先生たちが来るまで 魔法の練習頑張ろっか」
という事で、先生たちが来るまでは 食材の下拵え、フリーズドライの練習、お父さんとお兄ちゃんたちは回復魔法の練習をすることになったよ。
◆◇◆◇◆◇
ウミユに到着して5日目、週明けに武器の修繕が終わり受け取ることが出来た。
手紙を読んだ翌日に 先生宛の速達便を送ってもらったので 私たちがこの町に来ていることは伝えた。
先生たちが早く来ないか 会えるのが楽しみな反面、大きな街だけあってウザい人も多い。
「ヴィオは一人にならんようにな」
「うん、首都にはいなかったけど、王都とはいえ別の町ではああいう人はいるんだね。街道に盗賊はいないのに スリとか誘拐犯はどこにでもいるんだね」
街道の方が取り締まりは大変な気がするけど、大きな通りに盗賊はいなかった。
街の中の方が犯罪者が多いって大丈夫かと思うよね。
広い街とはいえ 首都ほどではないので 朝市がある。
なので皆で毎朝広場に来ているんだけど、いるのよ、スリが。
全員気配察知能力が凄いし、私は【索敵】を切らさないでいるから避けられるんだけどね。
後は誘拐犯なのか ずっと宿を出るたびに視線を感じる。
見てるだけの人と 近くに来る人は違うんだけど、それがグルなのか 悪者ホイホイの私が引き寄せてしまった単独犯なのか分からない。
「色も変えてるし 眼鏡もしてるから そんなに顔とか分からない筈なのに」
小さければそれでいいという事なのだろうか。本当に面倒くさい。
まあ 町での買い物は 殆ど必要ないので 朝食と昼食で屋台に行くだけだ。夕食は暗くなるのが早いので 宿で頂いている。
お父さんたちもいるし、宿もそれなりにセキュリティ対策がされているところを選んでいるらしいので、宿に変態…じゃない、誘拐犯が現れることはないので安心して過ごすことは出来ている。
そんな風に過ごしていた6日目、待ち人が到着した。
540
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる