ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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上級ダンジョンの旅

第327話 同行者との打ち合わせ?

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 お父さんたちがギルドの手続きにかかったのは2時間程。
 結構時間がかかったと思ったんだけど、どうやら先生たちの護衛役の冒険者パーティーとの打ち合わせをしてたみたい。

「今回先生たちの護衛は〔土竜の盾〕っちゅうパーティーが受け持つから、儂らは護衛役ではないと思ってええ。ギルドにも確認して、ヴィオには先生と同じように1階層だけの入場用メダルをもらってきたからな」

 そう言って渡されたのはグーダンで一般市民が持っていたのと同じ木製の大きな板だった。タグに付ける様なメダルは邪魔にならないように、タグと同じくらいの大きさだけど、これは自衛力のない人だから1階もしくは2階以上に行かないように気付いたら止めてね! という印のためそれなりに大きい。

「とりあえず4日間は確実に視察をするつもりみたいだから、その間は先生が泊まっている宿に移動してほしいんだって」

 え、なんで!? 
 先生たちがダンジョン内で野営をしないだろうことは分かってるけど、それと同じ宿にする理由が分からん。

「新しい発見を一緒に考察したいんじゃろうな。護衛が守りやすいように宿の最上階を貸し切っておるらしくてな、その護衛らも同じ階の部屋に入るらしい。トンガたちは魔法を見てもらう礼で、儂はヴィオの魔道具の礼を兼ねて、そいつらと交代で宿の護衛をする予定じゃ」

 なんと。ということはお貴族様も泊まれるレベルのお宿に移動ですか? 
 まあ確かに新しい文字が出てきた時には私が翻訳した方が早いよね。
 あちらのパーティーは6名と大所帯だから2人と4人に分かれて、宿に残る組と、ダンジョンについていく組を交代でやるらしい。
 なのでお父さんたちは2人ずつ昼に仮眠をして、寝ずの番で見張りをするのを交代でするんだって。

「俺らは1日見れば十分だからな。 おもしれえけどヴィオたちみたいにその意味をいちいち考えたりしようとは思わねえし、宿にいれば魔力操作の訓練もできるし気にすんな」

 クシャっとクルトさんに頭をかき回されるけど、なんか私が遺跡を見たいと言ったことが随分大変なことになってきてて恐縮しまくりですよ。

 そんな訳で翌朝、朝食を宿で済ませたらチェックアウトをして、迎えに来てくれていたオットマールさんと一緒に先生の宿泊するお宿へ移動。

「う、わ~。そっか、あんまりにも気さくだったからうっかりしてたけど、ドゥーア先生貴族って言ってたね」

 お宿を見上げてトンガお兄ちゃんたちが固まってます。私とお父さんが首都で泊った〖鹿恍亭《ろっこうてい》〗は同じくらいの大きさだったし、先生のお屋敷はもっと大きかったので大丈夫でした。

「〔土竜の盾〕も上で待っていますので顔合わせをしていただければと思います」

 おぉ、例の銀ランク上級パーティーだね。まともなうえ全員が上級なんて、お兄ちゃんたちの〔サマニアンズ〕しか知らないからちょっと楽しみ。お兄ちゃんたちも若干緊張気味なのは、やっぱり他のパーティーを意識するからなのだろうか。

「お父さんは昨日会ったんでしょ? 強そうだった?」
「おお、そうじゃな、バランスがええパーティーじゃと思ったぞ。男女3人ずつで、其々結婚しとるらしい。所帯を持つと落ち着くことも多いが、こうやって全員で動けるのは信頼しあえておる証拠じゃろうな」

 おぉ、お父さんから見ても合格な感じの人たちなんだね?
 スチーラーズなんて視界にも入れてなかったレベルだったのにね。

 オットマールさんの案内で3階へ。この階までは両側に階段があってどちらからでも移動が出来るようになってたんだけど、先生が宿泊する4階へは3階の中央にある階段からしか上がれないらしい。この階段をしっかり警備しておけば下からの敵は大丈夫って事だね。

 階段のところにはガチっとした厳つめの男性が立っている。
 格好からして冒険者だし、多分例の銀ランクの人ぽいんだけど、私たちの姿を見た瞬間目を見開いてビクリと固まってしまった。
 お父さんたちには昨日会ってるはずだし、まさか幼女がいると思ってなかった感じかな? また子供がいるとか迷惑がられたらどうしよう。思わずお父さんの手を握ってしまったら、ポンポンと指で手の甲を叩かれた。

「ヴィオの事も伝えとるから大丈夫じゃ」

 本当? チラリと男性を見上げれば、頭を掻きながら階段を下りてきてくれた。

「おお、昨日そっちの父ちゃんから話を聞いてたから知ってたんだけどな、思ってたより大きかったからびっくりしたんだ。
 俺は〔土竜の盾〕のリーダーでテリューってんだ。よろしくな」

 握手を求められたのでがっしり握る。

「〔ヨザルの絆〕のヴィオです。テリューさんいい人ですね」

 思わず嬉しすぎて鼻息が荒くなるけどしょうがないよね。何処に行っても小さいと言われるけど、大きいと言ってくれる人は村の人たちだけなんだもん。でも6歳の平均身長からすれば大きい方なんだってリリウムさんに言われたんだよ?
 獣人たちは種族によって大きくなるのが早い人もいるけど、ヒト族としては大きい方だって。

「「ぶふっ!」」
「なんだよヴィオ小せえの気にしてたのか?」
「クルトさん、小さくないから。ヒト族の6歳にしては大きいんだよ?
 それにレディーに小さいとか言ってたらモテないんだからね?」
「くはっ、間違いねえな」

 テリューさんも思わず吹き出してるけど、うんうん、こういうノリにもついて来れる人なんだね。4日間一緒にいるのに疲れない人っぽい。

「では参りましょう」

 オットマールさんの先導で4階へ。上がり切ったところでオットマールさんが手摺の上に設置されている魔道具に魔力を通せば、キィンと階段に壁が作られたことが分かる。

「オットマールさん、結界ですか?」
「ええ、全ての関係者が入った後にこうして魔道具を起動させれば階段からの侵入は出来なくなります。この階に泊るには従者の中に伝達魔法が使える者がいるのが必須となります」
「ああ、従業員さんが何かお届けに来た時は伝達魔法でって事なんですね?」
「その通りです。ですので今回は私が同伴しております。
 まあ、そうでなくても、ダンジョンから出てこないであろう旦那様を引きずり出すために付いてくるつもりでしたがね」

 フルシェの件があるもんね。そんな事を言いながら大きな扉をノックすれば中から先生の声がする。
 テリューさんのお仲間はお部屋で待ってるんだって。よく考えればリーダーが階段で待機って、珍しいパーティーだよね。
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