390 / 584
ウミユ遺跡ダンジョン 前半
第349話 ウミユ その16
しおりを挟むポアレス探しの為に 広い範囲を満遍なく動き回ったお陰で、4袋分を採集することが出来ました。
そしてこの階からはお肉が増えまして、名前だけは聞いていた乳牛の魔獣カウカウも出現してくれました。
見覚えのある牛よりも一回り大きい牛は 茶色い牛で 突進してくるだけだった。
完全にお肉とお乳を提供するために出てきてくれたんだろうと思ったんだけど、一般の人からするとカウカウの突撃は結構危険なのだそう。
「え?でもボアたちの方がもっと凶悪だよね。カウカウって角もあるけど ボアの牙の方が余程危険じゃない?」
突進してくるカウカウの正面に 水の壁を作り、ぶち当たってめり込んだところを横から鞭で首チョンパしただけだったんだけど、フェイントもないし 角も耳の辺りに小さいのがあるくらいで危険性は感じなかった。
「まあ あの村でヒュージボアを軽々狩る事が出来るヴィオならそう思うかもしれないけど、ヒュージボアは 基本的に 銀ランク白級がパーティーを組んで討伐する魔獣だからな?」
なんですと!?
テリューさんの言葉に驚きすぎたのは仕方がないよね。
だって、あの村では 大抵の人がソロで狩るよ? 魔法が上手じゃない子達はパーティーで頑張ってたみたいだけど、それでも彼らは銅ランクだったはずだ。
「ちなみに サマニア村にいるヒュージボアは 一般のダンジョンや森にいるよりもずっと危険性が高いし大きいな。ダンジョンで会うヒュージボアは 多分ビッグと同じくらいの大きさじゃと思うぞ」
え?私たちがボアと呼んでいた あのビッグボアサイズでヒュージボア?
しかもそれを銀ランクの白級がパーティーで倒すの???
「お父さん、サマニア村の人達ってやばくない?」
「ブハッ!今頃かよ!」
「そうね……。私たちも直接会ったことが無かったから 根拠のない噂だと思ってたんだけど、今回あなた達と一緒に行動してみたことで 真実だったんだなって理解したわ」
「まあ、あの場所は 他の辺境よりも 山と 山からの魔素をふんだんに蓄えた川の水、この両方が合わさった場所じゃから 特殊かもしれんな。
じゃから 若いうちに冒険者をしても 他と比べられることが多くて 人付き合いが面倒になって戻ってくる奴らも多いんじゃがな」
ああ、あの村の常識は非常識ってやつですね。
力があれば頼られるだろうし 毎回応えるのも面倒だろう、力があることで疎まれることもあるだろう。
そうか、サブマスがあの若さで現役を引退したのもそれがあったのかもしれないね。
まあ サマニア村がヤバイという情報は今更でもあるので カウカウのドロップアイテムを確かめましょう。乳牛というだけあって ミルクを頂けたんですけども、何だろうこれ、何かフニャフニャした袋に入ってます。
「お父さん、これどういう状態?」
「おお、これは乳袋というんじゃが 牧場でもミルクを絞る時はこの袋に入れてくれるんじゃ。
ただ尖った物が当たると破れるからな、店で売る時には 大抵瓶詰めにして販売しておるな」
なんと、公式でもこの謎袋は使われているんですか? 村で購入するときは瓶のものしか見た事がないけど、村にカウカウはいないし 他所から運ぶなら瓶に入れた方が安全って事なんだろうか。
たっぷり入った乳袋は結構重い。お父さんのマジックバックに入れてもらって セフティーゾーンに行ってから移し替えよう。
この後もカウカウは2匹討伐することが出来たんだけど、1匹からはお肉もドロップしたんだ。
是非牛丼を作りたいけど それはトンガお兄ちゃんたちが戻ってきてから、なので明日の夕食にしようと思う。
「ヴィオ、ポアレス いっぱい採ってきたぞ!」
「これだけは纏まって生えてくれてたから 採集もしやすくて良かったわ。ここだけ周回しても良いと思うくらいね」
ネリアさん、私もそう思います。
あの鬱陶しいのがいなければ ここを拠点にしてグルグルしても良かったけど、そうもいかなそうなのが面倒過ぎる。
お昼が軽食だったから 夕食は普通に調理したけど、やっぱり三人がいないというのは少し寂しくて、新しい料理や お米のリクエストもなかった。
折角なので 1日目と2日目に作ったお料理で 作れそうなものを作ってもらおうという事になり、ネリアさんはナムルを、アンさんはブロッコリーの胡麻和えを、レスさんは フライングラビットの照り焼きを、テリューさんは具沢山コンソメスープにチャレンジすることになった。
私は女性二人につくけど、茹でて和えるだけだからミスしようがないと思う……。
多少焦げたり ごま油が多めだったり スープの野菜が繋がってたりなんてことはあったけど、それもまた お料理初心者のあるあるだと思う。
お互いにツッコみ合いながら 明日の予定を話し合う。
今のところお兄ちゃんたちからの報告はないけど 破落戸の10人は2つ目のセフティーゾーンに到着したし、その後ろに監視役らしき3人の魔力も感知している。
多分その後ろの方にある 薄っすらと見えるお印がお兄ちゃんたちだと思うので 下手にこの状態で伝達魔法を送らない方がいいだろうという事なので 我慢だ。
翌日は 高原の後半を索敵でマッピング、セフティーゾーンは 残り3つ、このフロアだけで全部で7カ所もあった。流石は上級ダンジョンだ。
ただ、6階に下りることを目的とするのであれば 6つ目と7つ目の中間地点に階段があるので 7つ目のセフティーゾーンは この階での採集をしたい人のためなのかもしれないね。
相談の結果、私たちは6階に進むことを選んだので 昼食休憩は 6階の1つ目のセフティーゾーンにすることにした。
まだ後半には お米も残っている筈だから 他の野菜達は一旦放置することにして、米と肉だけ確保しながら下りることにした。
561
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる