見つからない願い事と幸せの証明

鳴海

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Side カイル

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 母の葬儀以来、俺とレオは毎晩同じベッドで一緒に眠るようになった。おかげでレオの可愛い寝顔をいつも拝めて、俺としては嬉しいばかりだ。

 レオはとても寝つきがいい。しかも、一度寝るとなかなか目を覚まさない。そのことをレオに教えると、こう返事をされた。

「僕が夜ぐっすりと眠れるようになったのは、カイルと一緒に寝るようになってからだよ。きっと安心できるからだろうね。あ、だからって、あんまり僕の寝顔見ちゃダメだよ? 涎垂らしたりしてたら恥ずかしいから」

 そう言ってはにかむレオは、抱きしめたくなるほど可愛らしい。
 涎? ははっ、そんなもの、もしレオが垂らしていようものなら、こっそり全部舐め取るに決まってる。

 休憩時間に今みたいな雑談を色々と交わして疲れを癒しながら、俺たちは今日も一日、貴族教育に励んでいた。

 ここ最近の俺は以前と違い、自発的に様々なことを学ぶ姿勢を見せている。そのおかげで学ぶことすべてが瞬く間に上達していって、それが自分でも面白い。

 そんな成長著しい俺を見て、レオがキラキラと瞳を輝かせ、ほぅっと感嘆の息を吐く。

「最近のカイルは本当にすごいね。一緒に習い始めたのに、僕とは成長速度が全然違うなぁ。僕も自分なりに一生懸命やってるつもりなんだけど、全然上達しないや」

 ションボリしているレオの頭を、俺はヨシヨシと撫でる。

「レオはよくがんばってるよ。俺はちゃんと分かってる。それに成長速度なんて人それぞれなんだから、俺と比べる必要はないよ」
「カイルは優しいからそう言ってくれるけど、先生には怒られてばっかり。でも、うん、少しずつでも成長できるように頑張るね」
「それでこそレオだ」

 そう褒めると、レオはとても嬉しそうに笑った。褒められて嬉しかったのではなく、俺に褒められたことが嬉しいのだと、その表情から見て取れる。こういうところが本当に可愛くて、俺の心を鷲掴んで離さないんだ。


 そんな風に、俺たちは日中よく学び、夜は仲良く手をつないで二人で眠る。

 レオは本当に寝つきが良くて、おやすみと就寝の挨拶をして目を閉じた次の瞬間、すぐに穏やかな寝息を立てて気持ち良さそうに眠ってしまう。
 俺はそんなレオの寝顔をしばらく見つめた後、こっそり額にキスし、自分も夢の世界の住人になるために目を閉じる…………なんて毎日を送っていたのは、一体どれくらい前までのことだったか。

 もう忘れてしまったけれど、確かレオと同じベッドで寝るようになってから、三ヵ月ほど経ったくらいのことだったと思う。

 ある晩、気持ち良く眠っていた俺は、ふいに腹部に軽い衝撃を感じ、目を覚まして体を起こした。見ると、俺の腹の上にレオの腕があった。寝返りを打った時、勢いでぶつかってしまったらしい。
 微笑ましく思いながら、レオの手を俺の腹の上からそっとのかした。

 その夜は満月だったのか、月光がとても明るく室内に差し込んでいて、真夜中だというのにレオの様子がよく見えた。
 その青白い月明かりの中で、俺は衝撃的なものを目にして固まってしまった。レオの寝衣がめくれ上がり、可愛らしい乳首が丸見えになっていたのだ。

 気が付くと、俺は無我夢中でレオの乳首を舐めまわしていた。
 最初ふわふわで柔らかかったレオの乳首は、俺が舐めている内に少しずつ硬くなっていった。やがてはカチカチに尖って口の中で飴玉のように転がった。

 なんだろう、これ。味なんてついている筈ないのに、すごく甘い。いつまでだって舐めていられる。

 ちゅっちゅっと何度も乳首にキスをして舐めまわした。吸いながら口の中で転がし、たまに我慢できなくなって歯を軽く立ててしまう。

「ん……あ……」

 レオが時々上げる小さな声が色っぽい。まるで愛撫を喜んでくれているように思えて、俺は大喜びで両方の乳首を舐めしゃぶり続けた。

 ああ、レオの乳首、すごくかわいい。口内に含んで転がすと、触れる舌先が気持ち良くてたまらない。ちろちろと先っぽをくすぐるように舐めてやると、レオは体をよじるようにして声を上げた。
 興奮して頭がおかしくなりそうだった。

 俺はその晩、二時間ほどずっとレオの乳首を舐めまわし続けた。口と指を使って、あらゆる愛撫を乳首に加えまくった。

 本当はもっと続けたかったけど、レオの乳首が腫れぼったくなってしまったし、翌日のことを考えたら睡眠もしっかりと取らなくてはならない。それで、渋々レオの乳首から口を離したんだけど、本心を言えば朝までずっと吸い付いていたかった。


 その時以来、寝静まったレオの乳首をこっそり愛撫するという、そんな楽しくてたまらない夜を俺は過ごしている。もう二年以上そんなことを続けているけれど、飽きるということがない。

 月明かりのない夜にもレオの体をよく見たいという願望から、ライトの魔法を覚えた。
 一度強く乳首を噛み過ぎて、レオが目を覚ましそうになってヒヤリとした経験から、スリープの魔法も覚えた。今は事前に必ずスリープをかけ、レオを深い眠りに誘ってから、その愛くるしい乳首を堪能することにしている。
 舐め終わった後は、愛撫のしすぎで赤く腫れてしまった乳首に治癒魔法をかけている。アフターケアも万全だ。

 そんなことを毎晩しているため、俺のここ数年の日々は充実しまくっている。毎日が幸せで仕方なく、俺が世界に愛される存在であることを、ますます実感させられるばかりだ。


 そして、勿論、今夜も俺はレオの乳首を可愛がる。
 スリープをかけて眠りを深くしてやり、ライトの魔法でレオの体がよく見える明るさを作った。光の中に浮かび上がるレオの乳首は、もうなにものにも形容できないほどに可愛くていやらしい。
 片方の乳首に何度も軽いキスをしながら、もう片方は指の腹で円を描くように撫でまわす。やがて我慢できなくなると、俺は強くジュッと吸い付いた。

 その頃には既にレオの乳首は硬くシコっていて、俺は自分の舌でタシタシと叩きつけるように愛撫した。

「あっ、ああ……や……んんっ」

 レオが目を閉じたまま、苦しそうな顔で体をビクビクと震わせる。
 時々上がるレオの喘ぎ声を耳にするたび、俺の体は熱くなり、どうしようもないくらいに興奮してしまうんだ。

「かわいい、レオ、すごくかわいいよ。はぁはぁ、もっと……もっといっぱい乳首舐めてあげるね」

 いつの間にか、俺のペニスは勃起していた。
 今までにもレオの乳首にイタズラをしていて勃起したことがあるけれど、あまり気にすることなく放っておいた。けれど、今日はなんだかいつもと違ってむずむずする。

 俺はレオの乳首を舐め、指で捏ねり、余った手で自分のペニスを扱き始めた。先っぽから透明の汁が零れてきて滑りが良くなると、ペニスがどんどん気持ち良くなっていく。

「ふっ……う、レオッ……ああ、気持ちいい、はぁ」

 夢中になって自分のペニスを扱き続ける。腰が甘く震えてしまう。舌では変わらずレオの乳首を舐めまわしていて、脳みそが焼き切れそうなほどの快感に体中が支配された。

「ああっ!」

 たまらない気持ち良さに、下半身がびくびくと震えた。
 途中から息をすることを忘れていたらしく、はぁはぁと荒くなった息を整えながら、自分の汗ばんだ体に戸惑った。

 しばらくして、ああ、と気付く。
 去年から始まった閨の授業。そこで先生が言っていた自慰という行動。おそらく、俺が今やったのがそれだろうと思った。

 まだ精通はしていない。けれど、どうやら空イキしたらしい。驚くほど気持ち良く、これまで感じたことのない快感に体中が満たされた。

 それからは、レオの乳首を舐めながら、必ず自慰をするようになった。毎回たまらなく気持ち良くて、この快感を起きているレオと共有できる日が来ることが楽しみで仕方がない。

 レオと一緒にいやらしいことをして、共に気持ち良くなる日に至るまでに、俺はじっくりと時間をかけるつもりでいる。
 レオは肉体的にも精神的にも、俺と比べるとかなり幼い。いきなり事に及んで驚かせては可哀そうだし、なにより、俺ももう少し無垢なレオを堪能したいという思いがある。

 焦ってはダメだ。少しずつごく自然に、レオが気付かないくらいゆっくりと。俺好みの俺のためだけの体にレオを作り変えていこうと思う。



 十一才を過ぎた頃になると、俺はめでたく精通した。やはり、レオの乳首を舐めしゃぶりながら自慰していた時にそれは起こった。

 初めての射精のせいか、思っていたより量が少なく、俺はレオの腹の上に吐き出した欲望の一部を、自分の指ですくい採ってみた。その指をレオの唇に付けると、レオはパクリとそれをくわえて眉をしかめた。そのまま俺の指をちゅーちゅーと吸い上げる。

 ぞくり、と俺の背中に得も言われぬ快感が走った。吐き出した精子を指ですくうと、俺はそれを全部レオに舐めさせた。

 俺の精子がすべてレオの口の中に消える頃には、俺のペニスはまたガチガチに勃起していた。そのペニスの先端を、指の時と同じようにレオの唇に当ててみた。すると、レオは当たり前のようにそれを口に含み、ちゅくちゅくと吸いながら小さな舌で舐めまわしてきた。

「はぁ……ああ、レオ、すごいよ……あっ」

 あまりの快感に、即座に俺は吐精してしまった。
 口の中に出された俺の精子を、レオはまた眉をしかめながらも全部嚥下した。そして、その後も口の中の俺のペニスを吸い続ける。

 整った綺麗な顔。俺と同じ年齢なのに、幼く無邪気に見える無垢な寝顔が可愛くてたまらない。柔らかな薄茶色の髪を俺は優しく手で梳いた。額や頬に何度もキスを落とす。

 愛しい、愛しい。レオを愛しく思う気持ちが身体の中から溢れ出て止まらない。

 俺はレオを一生愛し続けると心に誓った。




 レオは貴族の子弟とは思えないくらい、日々の生活を質素倹約に務めている。

「この領都で暮らしている限り、贅沢品は必要ないと思わない? 他の貴族との付き合いもないしね。僕のために高価な品を用意するのは、お金の無駄だと思うんだ。贅沢するくらいなら、孤児院に寄付した方がよほど有意義だよ。お金はみんな領民からの税なんだし、少しだって無駄にしたくないんだ」
「領主の息子が安っぽい格好ばかりするのも問題だろう?」
「それはそうかもしれないけど、でも、今の僕にとっては高級なブラウスなんて不必要だよ。それよりも、安くて動きやすい服の方が実用的でありがたい。残ったお金は別のことに使いたいしね」

 そんなことを言って、自分のために割り振られている予算をなるべく使わずに残せるよう、物品購入を管理している侍女長にお願いしているようだ。

 食後のデザートや、おやつとして出される軽食も、高価な材料を使うことを禁じ、ありふれた食材で普通に美味しいものを作ってくれればいいと、館の料理長に申しつけてあるらしい。

「それでもウチの料理長は腕がいいからね、毎日とても美味しいものばかり食べさせてもらえてるよ。カイルもそう思うでしょう? 料理長の作ってくれる料理やデザート、とても美味しいよね」
「ああ、そうだな」

 俺が同意すると、レオはすごく嬉しそうに微笑んでいた。
 可愛いだけじゃなく性格も良い。本当にレオは最高だと思う。今日の夜、またいっぱい乳首を舐めまわそうと、俺は笑顔の裏でそう思った。

 そんな風に、レオはいつも自分に対する無駄使いを禁じている。そして、余った金銭のほとんどを、孤児院への寄付に充てていた。

 そうやって節約した金で買った品物や、他にもいくつかの差し入れを持って、今日も俺たちは町はずれにある孤児院へと馬車で向かっていた。

 今回の寄付品の目玉は、俺とレオが勉強し終わって使わなくなった、貴族教育のために買い与えられていた勉強道具や教科書だ。他にも、俺たちが料理長と一緒に余った食材で作った焼き菓子も、バスケットに入れてレオが自分の手で運んでいる。

 孤児院に着いた俺たちは、寄付品を渡し、子供たちと一緒にしばらく遊んだ。本も一緒に読んだし、少しだけ算術の勉強もした。

 子供たちと触れ合い、一緒に遊ぶレオはとても楽しそうで、見ているだけで俺の心は和んでしまう。たまにレオに対して馴れ馴れしい子がいるけれど、見つけるたびに俺が体術訓練の名の元に叩きのめしている。
 そうやって指導を受けた子は、その後二度とレオに纏わりつかず、俺に絶対服従するようになる。

 手駒はいくらいても邪魔にならない。今後も少しずつ増やしていくつもりだ。いつ、なんの役に立つか分からないからな。


 しばらく孤児院で過ごした後の帰り道、レオが領都の中心街を探索したいと言い出したから、俺たちは馬車を途中で降りることにした。
 護衛には少し離れた後ろから着いてきてもらうことにして、俺とレオは二人でゆっくりと、街の最も賑やかな通りを楽しく歩いて回る。

 興味深そうに店先を覗き、商品を手に取って楽しそうに瞳を輝かせるレオは、俺の贔屓目じゃなく、誰がどう見てもたまらなく可愛いらしい。しかし、そんなレオを見る町の住人たちの目は、馬鹿にするような蔑みの色を浮かべていて、それが俺を不快にさせる。

 今に始まったことじゃない。これはいつものことだ。

 王都の侯爵夫妻と同じで、町の住人たちも未だにレオのことを『見た目が綺麗なだけの出来損ない』と決めつけて馬鹿にしていることを俺は知っている。

 他領の領主子息たちが街で大金を無駄遣いしまくる噂を聞きつけては、少額の品しか購入しないレオのことを、両親から見限られているダメ息子だから小遣いも碌にもらえていないのだろうと勝手に解釈し、店主たちみんなでレオを小馬鹿にして笑っているのだ。

「坊ちゃん、ウチで買い物してくれるのもありがたいですがねぇ、その時間をお勉強に充てた方がいいんじゃないですか?」
「そうそう。じゃないと、立派なお貴族様になれませんよ? 領主様に怒られてしまうんじゃないですか」

 にこにこ笑い、いかにも冗談っぽく言ってはいるものの、明らかにレオを馬鹿にした店員たちのそんな言葉に、俺は今すぐ相手を殺したくなる。
 けれど我慢した。それをしたらレオが悲しむに決まっているからだ。

 人の良いレオは店員の言葉を素直に受け取り、気さくに話しかけてもらえたことを喜んで、笑顔で返事をしている。

「そうだね、父上に叱られないよう、もっと勉強をがんばらないといけないね」

 そんなレオを見る店員の目が、どれだけ頑張ったところでデキの悪さはどうにもならないだろう、と蔑んでいる。

 本当に腹立たしい。俺は必死に怒りを抑えながら、表面上はにこやかな笑顔を作っていた。
 本音を言えば、今すぐ店員の頭を魔法で潰してやりたかったけど、まるで試練のように強く拳を握りしめ、爪で手の平に血を滲ませながらも、冷静に静かに怒りを収めていった。

 ただ俺は、心の中で思っていた。
 見てろよ、お前ら。いつか必ず目に物見せてやるからな、と。
 レオの素晴らしさに気付こうともせず、ただ蔑むばかりの愚かな領都民たち。彼らのレオに対する仕打ちを俺は決して忘れない。

 今の領都でレオのことを正しく理解できているのは、領主館で働く使用人やその子供たちなど、レオに近い場所にいる人間だけだ。それ以外では孤児院の子供たちやシスターくらいのものだろうか。

 あそこの子供たちは慰問の時にレオと直接会って遊んでいるから、レオの人となりをよく分かっている。レオがいかに優しくて、どんなに思いやりに溢れていて親切なのかをきちんと理解できているんだ。だから彼らはレオに対して、素直に好意を向けてくる。

 けれど、他の領民は違う。表ではニコニコしていても、裏では皆でレオを馬鹿にして嘲笑っている。実際、俺が一人で街に出ると、奴らはいつも同情の目を向けてきて、こんなことを言ってくるんだ。

「お前も可哀想になぁ、カイル。あんな馬鹿息子と乳兄弟なばっかりに付き合わされて。相変わらず我儘ばかりなのか? 苦労するなぁ」
「レオは馬鹿でもなければ我儘でもないよ」
「いいんだぞ、そんな庇うこと言わなくても。俺たちはちゃんと分かってるからさ」
「そうよ。あなたは早くあんな馬鹿息子を見限った方がいいわ。なんならウチの娘の婿になればいいわよ。カイルなら大歓迎だわ」

 侯爵領で一番力のある商会の会頭とその奥方の言葉だ。
 この商会は王都にも出店していて、会頭はその用事のために王都に度々出向いている。レオの父親である侯爵ともかなり懇意にしているらしい。

 おそらく会頭は、侯爵本人から次男に対する愚痴を色々と聞かされているのだろう。五才くらいまでのレオの性格の悪さを、今でもそのままだと思い込んでいる。そして、なにをやっても不器用な出来損ないのダメ人間だと領民たちがレオを馬鹿にしているのは、この会頭が悪評を言いふらしていることも原因の一つなんだ。

 レオは確かに不器用で、要領は良い方じゃないかもしれない。けれど、諦めずにコツコツ努力を続ける根性があるし、どんなことも一生懸命に頑張っている。誰にでも親切で思いやりがあり、自分が使うことを許されている小遣いだって、その殆どを孤児院に寄付する優しさを持っているんだ。

 そういったレオの良いところを知ろうともせず、バカにして陰口を言っては嘲笑う。俺はそういった奴らを絶対に許すつもりはない。

 今はまだレオの素晴らしさは磨く前の宝石や、花開く前の地味な蕾でしかなく、人々に認識され辛いものなのかもしれない。けれど、いつかきっとレオの素晴らしさに皆が気付く日が来る。

 世界から愛されているこの俺が、こんなにも心から愛してやまないレオが、うだつの上がらない存在のままである筈がないのだから。

 その時が来て悔い改めても、媚びへつらうようなことをしても、もう遅い。

 心優しいレオが許しても、俺は絶対に許さない。レオをバカにするすべての領都民たちと侯爵一家には、必ず後悔させ、思い知らせてやると心に決めている。

 人当たりの良い笑顔の裏で、俺はいつもそんなことを考えていた。




 俺たちが十二才になってしばらく経った日のことだ。

 ほら、ほらほらほらほらほら見ろ!!
 俺は心の中で勝ち誇ったように拳を高く振り上げた。

 レオの提案で妖精の森に入った俺たちは、これまで数百年もの長きに渡り、ずっと伝説とされてきた妖精の泉に辿り着いた。そこでレオは精霊王から加護を付与され『精霊の愛し子』になったんだ。

 精霊王の加護は自然に愛される力。今後、レオの住まう土地では常に太陽が世界を照らし、雨の恵みに溢れ、風が清廉な空気を運び、大地は豊穣をもたらすとのことだ。

 ああ、なんて素晴らしいんだ。
 レオはこの領にとって、なくてはならない存在となった。 

 この侯爵領は他領と比べ、特にこれといった産業もなく、平凡な収益しか出せていない面白味のない領である。田舎にある分、領地面積だけは広いため、なんとか農作物や木材の販売により金銭を稼いでいるというのが実情だ。

 もっと潤おうと思えばいくらだってやりようはあるのに、それを放ったらかしてきた歴代の領主たちの怠慢と無能さには、呆れを通り越して笑いが出てしまう。

 そんな風に、農作物や林業による収穫に税収を頼っているこの侯爵領にとって、レオほど重要人物は他にない。それほど貴重な存在にレオはなった。

 本人はボンヤリしていて事の重要性に気付いていないみたいだけど、これはすごいことなんだ。

 おそらく、今後この領の税収は右肩上がりに増えていくことになるだろう。精霊王の加護の効果により、なにもせずとも農作物の収穫量は増えていくのだから当然だ。

 それにレオがいるだけで、この地は精霊や妖精たちに愛される土地となるのだから、人々の気持ちは満ち足りてストレスは減り、気力は充実し、常に幸せを感じることができるような、そんな癒しの土地に変化していくに違いなかった。

 けれど、誰にもその理由は分からない。レオの存在がどれほど貴重なものなのか、誰も気付くことはないんだ。

 俺はレオに言った。
 精霊王に会ったことやその加護持ちになったこと、俺が聖獣の契約者になったことは、他の皆には内緒にしておこうと。俺たちの価値は計り知れず、場合によっては国から拉致監禁されてもおかしくないものである、と。
 レオは青褪めた顔で何度も頷いた。

「う、うん、絶対に言わない。僕、絶対に誰にも言わないよ。カイルが酷い目に合ったりしたら大変だもの!」

 ああ、本当にレオは可愛い。
 国にとって価値が有るのは、聖獣の契約者である俺よりも、精霊王の加護持ちのレオの方なのに。捕まってしまうとしたらレオの方なのに。それなのに、レオは自分よりも俺を優先して心配してくれる。

 こんなに愛しい存在が他にいるだろうか。
 愛しているよ、レオ。誰よりも大切に想ってる。



 その夜、レオから俺の精通について質問されたことをきっかけに、俺は目覚めているレオの体に初めて触れ、可愛がり、感じさせる機会を得ることができた。

 俺はこれまでレオの乳首を可愛がってはいたが、ペニスに触れたことはない。そこを見たことすらなかった。それは先の楽しみにと、大切に取っておいたからだ。

 その楽しみが解禁された。
 肌の白いレオのペニスに相応しく、そこはピンクでとても可愛らしかった。扱きまくって少し黒ずんできている俺の物とは、色も形も大きさも全然違う。

 見てしまったら、もう我慢ができなかった。
 精通を促すために自慰を手伝うという、普通だったら考えられない理由を大義名分にして、俺はレオのペニスに柔らかく触れた。

「あ……やめっ、ん…あぁっ」
「触られて気持ちいいか? レオ、すごくかわいい声」

 寝ている時、寝言の様に上げる小さな声とは違い、明らかに感じていることから発せられたレオの喘ぎ声。
 もっと聞きたい、もっと感じさせたいと、俺はレオのペニスを上下に素早く扱いていく。レオの体が快感に震える。喘ぐ口の中に赤い舌がのぞいた。
 ああ、舐めたい。キスして舌を絡ませたい。思い切り吸ってもっともっと感じさせたい。

 レオのペニスが硬さを増していく。俺の愛撫に反応してビクビク震えるレオが可愛くて仕方がない。気持ち良すぎてボロボロと泣きながら感じているレオを見ていると、もう我慢ができなかった。

「はぁ、かわいいレオ……俺も、俺も一緒にいい?」 

 問いはしたが返事は聞かず、俺は自分のモノを下履きの中から取り出すと、レオのペニスと一緒に両手で包み込み、裏筋を擦り合わせるようにして扱きだした。
 途端に得も言われぬ激しい快感が俺を襲った。

 ああっ、すごいっ、なんだこれ。
 信じられないくらい気持ちいい!

 すぐに透明な汁が俺のペニスの鈴口から零れ出した。滑りが良くなったせいで、扱くたびに沸き上がる快感が数倍にも膨れ上がる。
 ニチャニチャといういやらしい水音と、レオの感じる声とに耳が侵されて、勝手に体温が上がっていった。

「あ……やぁっ、カイル……んんっ、カイルッ」
「気持ちいいな、レオ。こんなにビクビク体を震わせて……ああ、すごくかわいい」
「はぁっはぁっ、んんん……カイル……だ、だめっ、だめぇ」
「俺のレオ、かわいい……はぁ、その感じすぎて辛そうな顔、たまらないな」

 気が付くと俺はレオにキスしていて、その口内に俺の舌を滑り込ませていた。二人の舌を絡めると、そこから沸き上がる快感に腰が震えて止まらなくなる。
 夢中になって吸って絡めて舐めまわしている内に、レオも不器用ながらも自分から俺の舌を舐め返してきてくれた。それに応えるように、俺もレオの舌を優しく吸った。心が幸せに満たされていく。

 やがて俺は、これまでにないほど大きな絶頂を迎え、大量の精子を吐き出した。対してレオは精通には至れず、けれども与えられ続けた快感に疲れ果てたのか、しばらく放心していたかと思うと、そのまますぐに眠ってしまった。

 いつものように、俺は指を使って精子をすべてレオに舐めさせ、大きな満足感を得た。

 可愛いレオ、愛しい大切な俺のレオ。


 レオのことを知りもせず、噂話だけで出来損ないだと決めつけるような人間を、俺は絶対に許さない。いつか必ず報復してやると決めている。

 精霊王からの加護の元、この領はしばらく豊かに潤い続けるだろう。
 それがどうしてなのか、自分たちが豊かに暮らせるのが誰のお陰なのか、その理由も知らず、知ろうともせず、愚かになにも考えもせずに日々を怠惰に過ごしていればいい。努力することも忘れ、ただ目の前の楽しさに身をゆだねていればいい。
 その怠慢さが、お前たち自身を滅ぼすことになるとも知らず、呑気に笑っていればいいんだ。

 お前たちにレオは必要ないのだろう? だから馬鹿にするのだろう?
 だったら俺が奪ってやる。そしてその後は掌中の珠として、大切に大切にいつくしんでやる。二度と返してやるつもりはない。


 その時になって、お前らがどれだけ後悔しても、もう遅いんだ。


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