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学園の中庭にある噴水はとても綺麗だ。
俺は前世を思い出して以来、この噴水をお気に入りの場所にしている。天気の良い日の昼休みなど、ここでノンビリ寛いでリフレッシュすることも多い。
そうやって俺が休憩していると、いつの間にか友人たちも集まってきて、社交界の噂話を交換したり、時には悩み相談をしたり、日常のくだらないおしゃべりをしたりを楽しむようになった。ここでは皆が仲の良い友人として、身分の垣根を越えて付き合っている。
数か月前まで、俺は学園中の嫌われ者だった。それが今ではなかなかの人気者。こうなるまでにそれなりの苦労はあったけど、その甲斐はあったと思う。
やっぱり友達はいいよな。おかげで毎日とても楽しく過ごせるようになった。
驚くことに、俺は告白なんかもされたりする。婚約者がいるからすべて丁寧に断っているけれど、気持ちは本当にありがたい。好意を向けられると心がとても温かくなる。
おかげでステファンと会わずにいる寂しさも、紛らわすことができている。
そう言えば、ステファンは元気だろうか。俺の束縛を離れて楽しくやっているといいけれど。
あんなにカッコいいんだから、今頃は恋人の一人は二人や三人はいるかもしれない。いや、ステファンは誠実な人だから、きっと相手は一人だろう。
いいな、その人。俺もステファンに愛されたい。
これから俺がもっと頑張れば、メルケンス公爵家の役に立てると立証できれば、いつかはステファンに愛される日がくるだろうか……。
そんなことを思っていたら、俺の周りにいた友人たちからざわめきが起こった。なんだと思って顔をそっちに向けた俺は、驚きのあまり大きく目を見開いた。
ステファンだ、ステファンがいる。蜂蜜色の髪を輝かせながら、真っ直ぐに俺のところに向かってくる。姿勢が良く、歩く姿にさえも品があり、ついつい目が奪われた。
俺の友人たちがステファンを見て頬を染める。同じように赤くなって見惚れていた俺の腕をステファンが掴んだ。
「ディノ、話がある。来い」
ステファンはそう言うと、俺をどこかへ連れて行こうと歩き出した。ワケが分からずテンパりながら、俺はその場で慌てて足を踏ん張った。
「ど、どこにいくんだよ。もうすぐ授業が始まるよ?」
ステファンは足を止めると、一瞬だけ思案する素振りをみせた。かと思うと、近くにいた俺の友人に声をかける。
「俺たちは用があって早退する。悪いが、教師に伝えておいてくれないか」
「は、はいっ、承知いたしました」
相手が自分を知っていることを当然とする物言いも、ステファンがすれば自意識過剰には見えず、ただただカッコイイばかりである。
友人がこくこく頷くのを確認すると、ステファンは俺の腕を持ったまま、足早に歩き出した。
引っ張られるように歩きながら、俺の中で不安が大きくなっていく。
なんだろう、どこに行くんだろう。そもそも、話ってなんだ?
頭の中を混乱させた俺は手を引かれるがままに歩かされ、やがてメルケンス公爵家の家紋付きの馬車に乗せられた。
すぐに馬車は走り出し、狭い個室の中で俺たちは二人きりになってしまう。
こんなにステファンに近付くのは久しぶりで……っていうか、前世の記憶を思い出してからは初めてのことで、俺は緊張で死にそうになる。
心臓がバクバクと波打つ音がうるさくて仕方がない。顔色は赤くなったり青くなったりしているはずだ。
なにが起こるのか怖くてビクビクしながら俯いていると、みしりと隣の席が軋んだ。向かい側の席に座っていたステファンが、どうやら隣に移ってきたらしい。
心の中で「あわわわ」とテンパる俺の耳元に、ステファンが口を寄せてきた。低いけれども耳障りのいい声が俺の鼓膜に響いた。
「ディノ、こっちを向け」
「ひっ?!」
耳元で声を出されたくすぐったさに、俺はビクンと体を震わせた。と同時に、反射的に顔を上げてステファンの方を見てしまう。
そにはステファンの整いすぎた凛々しい顔と翡翠色の美しい瞳があって、俺の視線は吸い込まれるように釘付けになってしまった。
そんな俺の唇にステファンの唇が触れた。
「な?!」
すぐに離れた唇が、今度はさっきより深く重ねられた。
驚愕のあまり一瞬だけ開いた俺の唇の隙間から、ステファンの舌が滑り込む。ぬるりとしたそれに俺の舌が絡めとられた。そのまま激しく吸われ、舐めしゃぶられて、そこから沸き起こる快感に俺の頭はなにも考えられなくなっていく。
俺は自分でも気づかない内に、舌を必死に動かしていた。温かなステファンの舌を舐めまわし、更なる熱を求めて夢中で舌同士を絡め合わせる。
俺が口内の快感にうっとりしていると、俺の腰に回されていたステファンの右手が移動して、制服のシャツの上から俺の乳首をかりっと引っ掻いた。ぴりっとした刺激に体がびくっと震える。
「んクっ?!」
更に乳首をカリカリと刺激され、そこから沸き起こる快感に俺は体を震わせて喘いだ。
「はあ……ンふ……んっ」
「気持ちいいか?」
「ステファ……なん……?」
「いい声だな。もっと鳴かせたくなる」
「え? あっ、――んんっ!」
貪るようなキスをされながら、俺の両方の乳首がステファンの指で捏ねられた。くりくりと弄られたり爪で引っ掻かれたりするたびに、甘い刺激が体を襲う。
「あ……んむ……はぁ」
乳首が硬くなったのが自分で分かる。
感じる自分が恥ずかしい。でも、弄られるとすごく気持ちよくて、もっとして欲しくて堪らない。
いつの間にかシャツのボタンはすべて外され、俺の肌がむき出しになっていた。露わになった硬い乳首を、ステファンの舌がぺろりと舐める。
「はああっ!」
びくびくん、とこれまでにない激しい刺激に、俺の身体が激しく反応する。
ステファンの熱い舌がいやらしく動き、俺の乳首に唾液がたっぷり塗り付けられた。唇で吸われたまま舌で舐められると、そこから生まれた快感に背筋が震える。
「ふああぁ、やっ……だめっ……そこ、あっ!!」
「すごいな、舐めるともっと硬くなった」
「いやぁ……あっ…んあっ」
「ほら、反対側も舐めてやろう」
それまで指で弄られていた乳首を、今度は唇で強く吸われ、俺は気持ち良さに体を激しく仰け反らせた。
「ああっ、いやだ……なんで、俺、乳首なんかでこんな……はぁっ……んんっ」
「いやらしいな、下も反応してる」
触ってもいないのに勃起した俺の股間を、ステファンが布越しに優しく撫でた。
「ふあっ、きもちっ……んんっ、ああっ」
俺の膨らみを上から下へと人差し指の爪で何度もなぞられ、鈴口部分をカリカリされると、気持ち良さともどかしさで俺の目に涙が滲んだ。
気持ちいい。あああ、体が熱いっ。
内腿に勝手に力が入る。布越しに擦られ続ける俺のアレは、今にも達してしまいそうなほどパンパンになっていた。
俺は自分でも気付かない内にステファンの首に抱きついていて、顔を擦りつけながら号泣していた。
「ふっ……ううっ、ステファン、ステファン……」
「なぜ泣く? わたしに触られるのは嫌だからか?」
俺は激しく首を横に振った。
「違うっ、嫌じゃない。ステファンに触ってもらえるのは嬉しい」
えぐえぐと嗚咽交じりに俺は言う。
「でも分からないから怖い。どうして俺に触るんだよ? 俺のこと嫌いだろう? もしかして、触るのは俺を辱めるため? もしそうなら、お、俺っ悲しくて……ううっ……もう死にたくなる」
「嫌いな相手に触るものか!」
え、と驚いた俺の涙が止まった。
「ホ、ホントに? 嫌いじゃないの……?」
「おまえこそ、なぜわたしを避けたりしたんだ。もうわたしへの興味を失ったか? 他に好きな人でもできたのか!」
「ちっ、違うよっ、好きなのはステファンだけだ。避けてたのは、そうすることがステファンのためだと思ったからで……」
俺はステファンを避けていた理由を一生懸命に話した。
他にも最近の俺の行動原理について、付き纏っていたことを反省したことや、これ以上迷惑をかけたくなかったこと、嫌いな俺との結婚前くらい自由に過ごして欲しいと思ったことも、全部隠さずにステファンに話した。
ただ、前世の記憶のことは内緒だ。あれは一生誰にも言わずにいるつもりだ。
黙って話を聞いていたステファンは、やがて満足そうに頷いた。
「そうか、そんなことを考えていたのか」
「本当は会いたかった。でも、我慢した。前みたいにベタベタして、これ以上嫌われたくなかったからだ」
改めて俺はステファンに頭を下げた。
「ステファンの迷惑も考えないで、ずっと付き纏って追いかけ回して、嫌な思いをさせてごめんなさい。もう絶対にしないから、どうか許して下さい」
しばらく黙っていたステファンが、やがて口を開いた。
「確かに、わたしはおまえが嫌いだった。我儘で傲慢なところが我慢ならなかったからだ。けれど、今のおまえはもう違うのだろう?」
「うん、俺は反省したし、変われたと思う。もう以前のように我儘で傲慢な態度は二度と取らない。選民思想も持ってない。今では身分関係なく友人もたくさんいるしね」
「そうだな。こうして直接話してみると、おまえがどれほど変わったのかがよく分かる。努力したんだな」
冷たい目でしか俺を見なかったステファンが、初めて笑いかけてくれた。
「おまえが変わった今、わたしにはおまえを嫌う理由がなくなった」
「そ、それって、俺のことを好きになってくれる可能性もあるってこと? だったらすごく嬉しい」
期待に目を輝かせる俺の頬をステファンが優しく撫でた。
「もちろんだ。というか、実を言えば、わたしは以前、おまえを好きだったことがある」
「えええ?!」
思わぬことを言われ、俺はつい叫んでしまった。
ステファンが俺を好きだった? ほ、本当に?!
俺は前世を思い出して以来、この噴水をお気に入りの場所にしている。天気の良い日の昼休みなど、ここでノンビリ寛いでリフレッシュすることも多い。
そうやって俺が休憩していると、いつの間にか友人たちも集まってきて、社交界の噂話を交換したり、時には悩み相談をしたり、日常のくだらないおしゃべりをしたりを楽しむようになった。ここでは皆が仲の良い友人として、身分の垣根を越えて付き合っている。
数か月前まで、俺は学園中の嫌われ者だった。それが今ではなかなかの人気者。こうなるまでにそれなりの苦労はあったけど、その甲斐はあったと思う。
やっぱり友達はいいよな。おかげで毎日とても楽しく過ごせるようになった。
驚くことに、俺は告白なんかもされたりする。婚約者がいるからすべて丁寧に断っているけれど、気持ちは本当にありがたい。好意を向けられると心がとても温かくなる。
おかげでステファンと会わずにいる寂しさも、紛らわすことができている。
そう言えば、ステファンは元気だろうか。俺の束縛を離れて楽しくやっているといいけれど。
あんなにカッコいいんだから、今頃は恋人の一人は二人や三人はいるかもしれない。いや、ステファンは誠実な人だから、きっと相手は一人だろう。
いいな、その人。俺もステファンに愛されたい。
これから俺がもっと頑張れば、メルケンス公爵家の役に立てると立証できれば、いつかはステファンに愛される日がくるだろうか……。
そんなことを思っていたら、俺の周りにいた友人たちからざわめきが起こった。なんだと思って顔をそっちに向けた俺は、驚きのあまり大きく目を見開いた。
ステファンだ、ステファンがいる。蜂蜜色の髪を輝かせながら、真っ直ぐに俺のところに向かってくる。姿勢が良く、歩く姿にさえも品があり、ついつい目が奪われた。
俺の友人たちがステファンを見て頬を染める。同じように赤くなって見惚れていた俺の腕をステファンが掴んだ。
「ディノ、話がある。来い」
ステファンはそう言うと、俺をどこかへ連れて行こうと歩き出した。ワケが分からずテンパりながら、俺はその場で慌てて足を踏ん張った。
「ど、どこにいくんだよ。もうすぐ授業が始まるよ?」
ステファンは足を止めると、一瞬だけ思案する素振りをみせた。かと思うと、近くにいた俺の友人に声をかける。
「俺たちは用があって早退する。悪いが、教師に伝えておいてくれないか」
「は、はいっ、承知いたしました」
相手が自分を知っていることを当然とする物言いも、ステファンがすれば自意識過剰には見えず、ただただカッコイイばかりである。
友人がこくこく頷くのを確認すると、ステファンは俺の腕を持ったまま、足早に歩き出した。
引っ張られるように歩きながら、俺の中で不安が大きくなっていく。
なんだろう、どこに行くんだろう。そもそも、話ってなんだ?
頭の中を混乱させた俺は手を引かれるがままに歩かされ、やがてメルケンス公爵家の家紋付きの馬車に乗せられた。
すぐに馬車は走り出し、狭い個室の中で俺たちは二人きりになってしまう。
こんなにステファンに近付くのは久しぶりで……っていうか、前世の記憶を思い出してからは初めてのことで、俺は緊張で死にそうになる。
心臓がバクバクと波打つ音がうるさくて仕方がない。顔色は赤くなったり青くなったりしているはずだ。
なにが起こるのか怖くてビクビクしながら俯いていると、みしりと隣の席が軋んだ。向かい側の席に座っていたステファンが、どうやら隣に移ってきたらしい。
心の中で「あわわわ」とテンパる俺の耳元に、ステファンが口を寄せてきた。低いけれども耳障りのいい声が俺の鼓膜に響いた。
「ディノ、こっちを向け」
「ひっ?!」
耳元で声を出されたくすぐったさに、俺はビクンと体を震わせた。と同時に、反射的に顔を上げてステファンの方を見てしまう。
そにはステファンの整いすぎた凛々しい顔と翡翠色の美しい瞳があって、俺の視線は吸い込まれるように釘付けになってしまった。
そんな俺の唇にステファンの唇が触れた。
「な?!」
すぐに離れた唇が、今度はさっきより深く重ねられた。
驚愕のあまり一瞬だけ開いた俺の唇の隙間から、ステファンの舌が滑り込む。ぬるりとしたそれに俺の舌が絡めとられた。そのまま激しく吸われ、舐めしゃぶられて、そこから沸き起こる快感に俺の頭はなにも考えられなくなっていく。
俺は自分でも気づかない内に、舌を必死に動かしていた。温かなステファンの舌を舐めまわし、更なる熱を求めて夢中で舌同士を絡め合わせる。
俺が口内の快感にうっとりしていると、俺の腰に回されていたステファンの右手が移動して、制服のシャツの上から俺の乳首をかりっと引っ掻いた。ぴりっとした刺激に体がびくっと震える。
「んクっ?!」
更に乳首をカリカリと刺激され、そこから沸き起こる快感に俺は体を震わせて喘いだ。
「はあ……ンふ……んっ」
「気持ちいいか?」
「ステファ……なん……?」
「いい声だな。もっと鳴かせたくなる」
「え? あっ、――んんっ!」
貪るようなキスをされながら、俺の両方の乳首がステファンの指で捏ねられた。くりくりと弄られたり爪で引っ掻かれたりするたびに、甘い刺激が体を襲う。
「あ……んむ……はぁ」
乳首が硬くなったのが自分で分かる。
感じる自分が恥ずかしい。でも、弄られるとすごく気持ちよくて、もっとして欲しくて堪らない。
いつの間にかシャツのボタンはすべて外され、俺の肌がむき出しになっていた。露わになった硬い乳首を、ステファンの舌がぺろりと舐める。
「はああっ!」
びくびくん、とこれまでにない激しい刺激に、俺の身体が激しく反応する。
ステファンの熱い舌がいやらしく動き、俺の乳首に唾液がたっぷり塗り付けられた。唇で吸われたまま舌で舐められると、そこから生まれた快感に背筋が震える。
「ふああぁ、やっ……だめっ……そこ、あっ!!」
「すごいな、舐めるともっと硬くなった」
「いやぁ……あっ…んあっ」
「ほら、反対側も舐めてやろう」
それまで指で弄られていた乳首を、今度は唇で強く吸われ、俺は気持ち良さに体を激しく仰け反らせた。
「ああっ、いやだ……なんで、俺、乳首なんかでこんな……はぁっ……んんっ」
「いやらしいな、下も反応してる」
触ってもいないのに勃起した俺の股間を、ステファンが布越しに優しく撫でた。
「ふあっ、きもちっ……んんっ、ああっ」
俺の膨らみを上から下へと人差し指の爪で何度もなぞられ、鈴口部分をカリカリされると、気持ち良さともどかしさで俺の目に涙が滲んだ。
気持ちいい。あああ、体が熱いっ。
内腿に勝手に力が入る。布越しに擦られ続ける俺のアレは、今にも達してしまいそうなほどパンパンになっていた。
俺は自分でも気付かない内にステファンの首に抱きついていて、顔を擦りつけながら号泣していた。
「ふっ……ううっ、ステファン、ステファン……」
「なぜ泣く? わたしに触られるのは嫌だからか?」
俺は激しく首を横に振った。
「違うっ、嫌じゃない。ステファンに触ってもらえるのは嬉しい」
えぐえぐと嗚咽交じりに俺は言う。
「でも分からないから怖い。どうして俺に触るんだよ? 俺のこと嫌いだろう? もしかして、触るのは俺を辱めるため? もしそうなら、お、俺っ悲しくて……ううっ……もう死にたくなる」
「嫌いな相手に触るものか!」
え、と驚いた俺の涙が止まった。
「ホ、ホントに? 嫌いじゃないの……?」
「おまえこそ、なぜわたしを避けたりしたんだ。もうわたしへの興味を失ったか? 他に好きな人でもできたのか!」
「ちっ、違うよっ、好きなのはステファンだけだ。避けてたのは、そうすることがステファンのためだと思ったからで……」
俺はステファンを避けていた理由を一生懸命に話した。
他にも最近の俺の行動原理について、付き纏っていたことを反省したことや、これ以上迷惑をかけたくなかったこと、嫌いな俺との結婚前くらい自由に過ごして欲しいと思ったことも、全部隠さずにステファンに話した。
ただ、前世の記憶のことは内緒だ。あれは一生誰にも言わずにいるつもりだ。
黙って話を聞いていたステファンは、やがて満足そうに頷いた。
「そうか、そんなことを考えていたのか」
「本当は会いたかった。でも、我慢した。前みたいにベタベタして、これ以上嫌われたくなかったからだ」
改めて俺はステファンに頭を下げた。
「ステファンの迷惑も考えないで、ずっと付き纏って追いかけ回して、嫌な思いをさせてごめんなさい。もう絶対にしないから、どうか許して下さい」
しばらく黙っていたステファンが、やがて口を開いた。
「確かに、わたしはおまえが嫌いだった。我儘で傲慢なところが我慢ならなかったからだ。けれど、今のおまえはもう違うのだろう?」
「うん、俺は反省したし、変われたと思う。もう以前のように我儘で傲慢な態度は二度と取らない。選民思想も持ってない。今では身分関係なく友人もたくさんいるしね」
「そうだな。こうして直接話してみると、おまえがどれほど変わったのかがよく分かる。努力したんだな」
冷たい目でしか俺を見なかったステファンが、初めて笑いかけてくれた。
「おまえが変わった今、わたしにはおまえを嫌う理由がなくなった」
「そ、それって、俺のことを好きになってくれる可能性もあるってこと? だったらすごく嬉しい」
期待に目を輝かせる俺の頬をステファンが優しく撫でた。
「もちろんだ。というか、実を言えば、わたしは以前、おまえを好きだったことがある」
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ステファンが俺を好きだった? ほ、本当に?!
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