神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第1章 世界の終焉

第2話 日常

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◆曇り空の朝

 空は薄い雲に覆われ、ぼんやりとした光が街を照らしていた。
 気温はやや肌寒く、秋の気配が漂っている。

 レンは、黒い傘を片手にマンションの扉を開けた。
 黒のカバン、紺のスーツ。規則正しい朝のルーチン。

 ――目的地は会社。
 徒歩15分。公園を抜けるルートが最短だ。

◆管理された自然

 公園に入ると、黄色く色づいたイチョウの葉が風に舞っていた。
 池の畔では紅葉が朱く染まり、まるで観光パンフレットのような美しい風景を作り出している。

 しかし、レンの目には、その景色がどこか作られたもののように映った。



 人工的に植えられた木々、計算された配置、適切に管理された落ち葉。
 本物の自然が持つ、予測不能なエネルギーとは何かが違う。

 (こんな感覚を持つようになったのは、いつからだろう?)

 最近、妙な違和感を覚えることが増えていた。
 当たり前の日常の中に、ほんのわずかだが、何かがズレているような感覚。

 それが何なのかは、まだわからない。

 ――気のせいかもしれない。

 そんな考えを振り払うように、レンは公園を抜け、街へと足を踏み出した。

◆未来都市の光と影

 無音の電気自動車が行き交う大通り。
 排気ガスの匂いはなく、整然としたビル群が並ぶ。

 30年前、世界は石油戦争で荒廃していた。
 しかし、日本は新エネルギー「フォース」を発見し、戦場にはならなかった。
 その結果、この都市はかつてないほどの繁栄を迎えた。

 だが、最近、この都市には“異変”が起きている。

 連日ニュースを賑わせる**「未確認生物」の目撃情報。
 高まる「フォース能力開発」**の賛否。
 そして、行方不明者の増加――。

 表面上は何も変わらないように見えるが、
 静かに、しかし確実に何かが動いている気がする。

 レンは小さく息を吐き、会社の前に立つ。

 ――40階建てのオフィスビル。

 何の感慨もなく、彼はその中へと消えていった。

◆職場の静寂

 チン――

 エレベーターのドアが開く。31階。

 壁に掲げられた社名。
 レンは社員証を取り出し、端末にかざす。

 ピッ――

 静かにドアが開く。
 仕事が始まる。

◆経理部の日常

 室内には、すでに一人の男がいた。

 「おはようございます」
 「ん、おはよう」

 矢部部長。いつもレンより早く出社している。
 一度、7時半に来たことがあったが、その時すでに新聞を読んでいた。
 一体何時からいるのか、誰も知らない。

 レンは席につき、パソコンを立ち上げる。
 スケジュールとメールを確認しながら、今日の仕事を整理する。

 経理部の仕事は多岐にわたる。
 会計決算、税務申告、予算管理、資金繰り……。
 事務的な作業の中にも、緻密な判断が求められる仕事だ。

 しかし、レンは思う。

 (……この仕事、向いているのか?)

◆同僚たち

 バタン!

 勢いよくドアが開き、明るい声が響いた。

 「おはようございます!」

 黒髪ショート、スラリとした体型。
 爽やかな笑顔で入ってきたのは、木下恭子(キョンちゃん)。

 この部署唯一の女性社員で、冷静な仕事ぶりと天真爛漫な性格を併せ持つ。
 今日の服装は、水色のワイシャツに紺色のジャケット、タイトスカート。



 (……やっぱり、似合ってるな)

 そう思った瞬間――

 「おはようございます!!!!」

 耳をつんざく大声が響いた。

 **――小川大樹(新人)**の登場である。

 典型的な体育会系。
 声がデカい。身振り手振りが大きい。そして頭を使わない。
 レンが最も苦手なタイプだった。

 (……一年かけて矯正するしかないな)

 周囲の社員たちも、朝からそのテンションについていけず、微妙な空気になっている。

 さらに数分後――

 ドン!

 「いたぁぁぁ!!」

 頭を扉にぶつけながら入ってきたのは、吉田早織。

 元バレーボール選手で、身長200cmの巨体を誇る。
 力強い腕、鍛えられた足、バストはもはや胸筋と化している。

 だが、意外にもファッションに気を使っており、今日はキョンちゃんとお揃いの服装だった。

 「やだ、キョンちゃん~かぶっちゃった~!恥ずかしぃ~」

 そう言いながら、レンをチラリと見る。

 (……なぜ俺を見る?)

 レンは深く考えないことにした。

◆静かなる違和感

 日常は、今日も変わらず過ぎていく――はずだった。

 だが、レンの中には、漠然とした違和感があった。

 ――最近、世界の歯車が少しずつズレ始めている気がする。

 未確認生物の目撃。
 フォース能力開発を巡る不穏な動き。
 そして、行方不明者の増加。

 気のせいなら、それでいい。

 だが、この違和感は、ただの思い過ごしなのだろうか?

 静かに時計の針が9時を指す。

 「……嫌な予感がする。」
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