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第1章 世界の終焉
第4話 力の胎動
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◆白い部屋
四方600メートルほどの広さを持つ、無機質な白い部屋。
室温は一定に保たれ、雑音すら存在しない。
その中心に、一人の男が立っていた。
坊主頭に、赤い3本のライン。
右の眉にも同じく3本のラインが刻まれている。
鋭い目つき、筋肉質な体格。
黒いシャツにカーゴパンツ、そしてアーミーブーツ。
無表情のまま、彼は前方のマネキンへ向けて手を突き出した。
“プロミネンス”
彼の心臓を起点に、フォースが血流を通じて全身へと巡る。
薄らと赤い光の粒子が彼の体を包み、熱を帯びていく。
「――燃えろ。」
瞬間、両手に集められたフォースが灼熱の業火へと変わり、前方へと放たれる。
ゴォォォォォォッ!!!
彼の能力、「プロミネンス」が炸裂した。
瞬時に部屋の300メートル先までが地獄の炎に包まれる。
直後、男は両手を左右へと向け、火球を2つ同時に発射。
ズドン!!
直径1メートルの火球は正確に2体のマネキンへ直撃し、即座に消し炭と化す。
最後に、彼は指をピストルの形にし、背後へ向ける。
その人差し指の先から、高濃度の光の粒子が発射された。
ドォォォン!!!
最後のマネキンの周囲、半径100メートルが爆炎に包まれる。
「……ふぅ。」
赤いラインの男は軽く息を吐き、脱力する。
◆フォースの数値
「ただいまの記録、最大FTP14,500、最大FDP1,200。」
部屋の中に機械音声が響く。
男は満足げに頷く。
FTP(フォース・トータル・ポイント):体内に蓄積されたフォースの総量。
多ければ多いほど、長時間能力を使用できる。
FDP(フォース・ディスチャージ・ポイント):一度に出力可能なフォース量。
高ければ高いほど、瞬間的な破壊力が増す。
一般的な人間の最大FTPは2,000未満。
FDPも300を超える者は少ない。
それに比べ、彼の数値は圧倒的だった。
◆軍部の動き
白い部屋を出ると、そこは研究ラボのような施設だった。
3名の研究者と、1人の軍服姿の男が待っていた。
増田晋三――軍部の総司令官。
3本ラインの男は、軍服の男を見て、隠そうともせずに嫌な顔をした。
「ご苦労。」
増田は短くそう告げると、手に持った書類に目を落とす。
新たな指令が下ったのだ。
彼らが所属する部隊は、100名の小規模部隊。
しかし、その特異性は、**「全員がフォースを使える能力者」**で構成されていることだった。
設立以来、訓練は続けられていたが、実戦投入は一度もない。
だが、今日――ついに、その時が来た。
◆任務の内容
「やっと出番ですかい?」
「任務内容は指令書の通りだ。直ちに行動を開始しろ。」
「りょ~かいっす!」
指令書にはこう記されていた。
「東京周辺に未確認生物が出現。研究所・発電所・軍事施設・人間を攻撃。直ちに駆除せよ。」
しかし、増田晋三は知っていた。
――これは、単なる「未確認生物」ではない。
**「高濃度のフォースを持つ未知の存在」**が、すでに各研究所や軍事施設を襲撃し、人間を殺戮している。
確認されているだけで、12体の巨大な生物が存在。
中には、500,000 FTPを記録したものもいるという。
通常の火器では効果がない。
だからこそ、フォースを持つ戦士たちが投入されることになったのだ。
だが、増田晋三は、自責の念に駆られていた。
事実を隠し、部下を死地へ送ることになると知りながら――。
彼は覚悟を決めた。
「自分も、死地へ向かう」
◆穏やかな昼休み
一方、その頃の神谷練は――。
耳に聞き慣れたオルゴールの音が響く。
昼休憩の合図だ。
社内は賑わいを取り戻し、ランチの店選びの話題でもちきりになっていた。
レンは、いつも独りで昼を食べる。
食事に時間をかけるのが嫌だからだ。
誰かと一緒に行けば、あっという間に1時間が過ぎる。
だからいつもは、昼になった瞬間に席を立ち、誰にも声をかけられる前に店へ向かう。
――しかし、今日は違った。
「レン君!たまにはお昼一緒に行かない?この前、魚料理の美味しいお店を見つけたんだけど。」
「行きます!」
――即答していた。
◆予想外の罠
珍しく、木下恭子に誘われた。
この前のハイキングの時から、少し距離が近くなったような気がしていた。
……いや、多分気のせいだ。
それでも、彼女に満面の笑みで誘われたら、断るという選択肢はなかった。
しかし――。
「じゃあ行こっか!さおりんも行こうね~!」
「私、お魚大好き~楽しみ~!」
……まるで天国から地獄。
どうあがいても逃げられず、レンは準備を終えた二人の後について行くしかなかった。
◆食事の終わりに
店を出ると、時計は12時50分を指していた。
レンは、何故か支払いを押し付けられていた。
「それでは、そろそろ行きましょうか?」
「そうね!ごちそうさま~!」
「……え!? えぇ……」
無慈悲な現実に打ちひしがれながら、レンは財布を開いた。
時計は12時56分を指していた。
四方600メートルほどの広さを持つ、無機質な白い部屋。
室温は一定に保たれ、雑音すら存在しない。
その中心に、一人の男が立っていた。
坊主頭に、赤い3本のライン。
右の眉にも同じく3本のラインが刻まれている。
鋭い目つき、筋肉質な体格。
黒いシャツにカーゴパンツ、そしてアーミーブーツ。
無表情のまま、彼は前方のマネキンへ向けて手を突き出した。
“プロミネンス”
彼の心臓を起点に、フォースが血流を通じて全身へと巡る。
薄らと赤い光の粒子が彼の体を包み、熱を帯びていく。
「――燃えろ。」
瞬間、両手に集められたフォースが灼熱の業火へと変わり、前方へと放たれる。
ゴォォォォォォッ!!!
彼の能力、「プロミネンス」が炸裂した。
瞬時に部屋の300メートル先までが地獄の炎に包まれる。
直後、男は両手を左右へと向け、火球を2つ同時に発射。
ズドン!!
直径1メートルの火球は正確に2体のマネキンへ直撃し、即座に消し炭と化す。
最後に、彼は指をピストルの形にし、背後へ向ける。
その人差し指の先から、高濃度の光の粒子が発射された。
ドォォォン!!!
最後のマネキンの周囲、半径100メートルが爆炎に包まれる。
「……ふぅ。」
赤いラインの男は軽く息を吐き、脱力する。
◆フォースの数値
「ただいまの記録、最大FTP14,500、最大FDP1,200。」
部屋の中に機械音声が響く。
男は満足げに頷く。
FTP(フォース・トータル・ポイント):体内に蓄積されたフォースの総量。
多ければ多いほど、長時間能力を使用できる。
FDP(フォース・ディスチャージ・ポイント):一度に出力可能なフォース量。
高ければ高いほど、瞬間的な破壊力が増す。
一般的な人間の最大FTPは2,000未満。
FDPも300を超える者は少ない。
それに比べ、彼の数値は圧倒的だった。
◆軍部の動き
白い部屋を出ると、そこは研究ラボのような施設だった。
3名の研究者と、1人の軍服姿の男が待っていた。
増田晋三――軍部の総司令官。
3本ラインの男は、軍服の男を見て、隠そうともせずに嫌な顔をした。
「ご苦労。」
増田は短くそう告げると、手に持った書類に目を落とす。
新たな指令が下ったのだ。
彼らが所属する部隊は、100名の小規模部隊。
しかし、その特異性は、**「全員がフォースを使える能力者」**で構成されていることだった。
設立以来、訓練は続けられていたが、実戦投入は一度もない。
だが、今日――ついに、その時が来た。
◆任務の内容
「やっと出番ですかい?」
「任務内容は指令書の通りだ。直ちに行動を開始しろ。」
「りょ~かいっす!」
指令書にはこう記されていた。
「東京周辺に未確認生物が出現。研究所・発電所・軍事施設・人間を攻撃。直ちに駆除せよ。」
しかし、増田晋三は知っていた。
――これは、単なる「未確認生物」ではない。
**「高濃度のフォースを持つ未知の存在」**が、すでに各研究所や軍事施設を襲撃し、人間を殺戮している。
確認されているだけで、12体の巨大な生物が存在。
中には、500,000 FTPを記録したものもいるという。
通常の火器では効果がない。
だからこそ、フォースを持つ戦士たちが投入されることになったのだ。
だが、増田晋三は、自責の念に駆られていた。
事実を隠し、部下を死地へ送ることになると知りながら――。
彼は覚悟を決めた。
「自分も、死地へ向かう」
◆穏やかな昼休み
一方、その頃の神谷練は――。
耳に聞き慣れたオルゴールの音が響く。
昼休憩の合図だ。
社内は賑わいを取り戻し、ランチの店選びの話題でもちきりになっていた。
レンは、いつも独りで昼を食べる。
食事に時間をかけるのが嫌だからだ。
誰かと一緒に行けば、あっという間に1時間が過ぎる。
だからいつもは、昼になった瞬間に席を立ち、誰にも声をかけられる前に店へ向かう。
――しかし、今日は違った。
「レン君!たまにはお昼一緒に行かない?この前、魚料理の美味しいお店を見つけたんだけど。」
「行きます!」
――即答していた。
◆予想外の罠
珍しく、木下恭子に誘われた。
この前のハイキングの時から、少し距離が近くなったような気がしていた。
……いや、多分気のせいだ。
それでも、彼女に満面の笑みで誘われたら、断るという選択肢はなかった。
しかし――。
「じゃあ行こっか!さおりんも行こうね~!」
「私、お魚大好き~楽しみ~!」
……まるで天国から地獄。
どうあがいても逃げられず、レンは準備を終えた二人の後について行くしかなかった。
◆食事の終わりに
店を出ると、時計は12時50分を指していた。
レンは、何故か支払いを押し付けられていた。
「それでは、そろそろ行きましょうか?」
「そうね!ごちそうさま~!」
「……え!? えぇ……」
無慈悲な現実に打ちひしがれながら、レンは財布を開いた。
時計は12時56分を指していた。
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