神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第3章 魔法大学ザザン

第62話 教室での喧嘩

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◆ハルカ視点

 私は、いつものように、夜明けとともに目を覚ました。
 いつものように大浴場へ行き、いつものようにフルーツ牛乳を飲む。

 でも、今日は少しだけ違う。

 それは――レンがいるということ。

 部屋の前で深呼吸をしてから、ノックを二回。

 (昨日は驚いたけど、もう大丈夫。お兄ちゃんと旅していたときは、よく目にしていたことだし……生理現象なんだから、仕方ない。)

 でも、毎朝、あんな状態になるなんて……男の人って大変なんだね。

 しばらくすると、慌てたように、レンが扉を開けた。
 顔が少し赤い。昨日のこと、やっぱり気にしてるのかな?

「おはよう!レン! 朝ごはん食べよう! 今日は、中庭の掲示板にクラス編成の発表があるから、早めに見に行こうよ!」

「おはよう。相変わらず、ハルカは早起きだね。」

 レンは、昨日と違い、すでにローブに着替えていた。
 ……ふふっ、やっぱり気にしてるんだ。

◆レン視点

 食堂へ向かうと、さすがに昨日のような嫌がらせをするバカはもういなかった。
 食事の時間は、意外にも穏やかで、落ち着いていた。

 ハルカは楽しそうに食べながら、どこか懐かしそうに俺を見ている。

「……どうした?」

「ううん、なんでもない。」

 微笑む彼女を見て、俺は深く考えないことにした。

◆掲示板前

 中庭に着くと、数人の新入生が掲示板に群がっていた。
 隙間に入り、クラス分けを確認する。

「やった、同じクラスだね!」

「そうみたいだな。」

 クラスは全部で五つに分かれていたが、ハルカと同じクラスで安心した。
 俺たちは、「第一塔」 の教室へと向かった。

教室にて

 扉を開けた瞬間、俺たちの意識は教室の中央にいる一人の男へと吸い寄せられた。

 ツルッパゲの筋肉ダルマ が、なぜか上半身裸で腕立て伏せをしていたのだ。
 滝のように汗を流し、力強くカウントを刻んでいる。

「99998……99999……100000!」

 俺とハルカは思わず顔を見合わせる。

(……何なんだ、こいつ。)

 教室の空気は、何だか妙に蒸し暑い。

 筋肉の熱気か!?

「100008……ん?」

 筋肉ダルマは、俺たちに気づいた瞬間、スッと立ち上がった。
 鋼のような肉体から、汗が滴る。

「やあ、君たちも同じクラスなのかい? 私の名前はマッスル・ロバート! よろしく!」

 満面の笑みで、手を差し出してきた。

 ……いや、手が汗でびしょびしょだぞ。

 俺もハルカも、そっと手を後ろに引っ込めた。

「お、俺はレンだ……よろしく。で、何してるんですか?」

「何って、筋トレ だけど?」

 胸筋をピクピクと動かしながら、マッスルが答えた。

「待っているだけじゃ筋肉に申し訳なくてね! はっはっは!」

 ハルカが俺の後ろに隠れた。

 うん、気持ちはわかる。

「……そうですか。頑張ってください。」

「ありがとう!」

 マッスルは満足そうに頷き、再び腕立て伏せを開始した。

 教室内にはすでに十人ほどの生徒がいた。
 その中に、見覚えのある金髪の美青年がいた。

(……アルバート?)

 昨日、新入生代表として挨拶していた男だ。
 彼はすでに三人の派手な女子生徒 に囲まれ、質問攻めにあっていた。

 俺とハルカは、一番後ろの席に並んで座った。

赤髪の男

 しばらくすると、一人の男が入ってきた。
 赤い髪に糸目の細身の男 だった。

 そいつは、まっすぐ俺の隣に来ると、口元を緩めた。

「隣、座ってもかまへんか?」

「ああ、別に。」

「おおきに! ワイの名前は イアン・アングレイ や! よろしゅうな!」

 馴れ馴れしく、俺の肩をポンと叩く。

「レンはんの入試試験、見とったで! いやー、びっくりしたわ!」

「モノ好きだな。」

「当たり前や! こんな怪しい奴、見逃せるかいな!」

 イアンが楽しそうに笑う。

突然の挑発

 「お前ら、さっきからうるせーぞ!」

 教室の前方で、机を蹴り飛ばしながら立ち上がる男がいた。

 金髪を刈り上げ、顔の右側に刺青を入れた大男 だった。
 身長は二メートルを優に超えている。

「テメェ、学長のコネで入ったんだってな?」

 俺を鋭く睨みつけながら、ズカズカと近づいてくる。

「魔力ゼロのくせに、合格なんてふざけんなよ。」

 周囲の生徒たちが興味深げに俺たちを見ていた。
 一部の女生徒は、薄ら笑いを浮かべている。

 イアンが苦笑しながら、間に入る。

「まぁまぁ、穏やかにいきましょ――」

 ドンッ!

 イアンが突き飛ばされ、後ろの机にぶつかった。

「へっ、チビが。 ところでよ、お前の連れの女……可愛いじゃねぇか。」

 大男がハルカのほうに手を伸ばす。

(……殺すぞ。)

 俺の中の何かが、弾けた。

「触るな。」

 バキッ!!

 俺が大男の右腕を掴んだ瞬間、骨が砕ける音が響いた――。
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