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ダイチの本心
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ダイチの告白を受けてから約半年。
ダイチはこれまでのように、河川敷でロッシュの散歩を一緒にしたり、バイトが休みの日にはケーキを作っては俺の家に持って遊びに来てくれる。
ロッシュとは相変わらず険悪なムードだけど、それでもロッシュの許容範囲内の距離感で俺と過ごしてくれている。
ただロッシュを尊重するあまりからなのか、あれからハグ以上の進展はなく、まるで純情な中学生同士のような付き合いで、俺としてはどうしたもんかなと、少し悩んでいるところだ。
「なんだ、それ。子供がいるシングルマザーの悩みみてーだな」
繁華街の小さな飲み屋で、佐藤が俺の話を酒の肴に日本酒をかっくらいながら、冗談交じりでそんなことを言った。
「まあ、それに近いっちゃ近いか……。でもこっちは子供よりも嫉妬深いロッシュ様だからな。ちょっとでも俺とダイチが接近したら、ものすごい唸り声を出すんだよ。ロッシュのストレスもヤバいし、ダイチも遠慮して家じゃ俺と30cm以上距離を空けて、それ以上は近寄ってこない。隣に座っても手すら触れないよ」
「ははっ、さすがロッシュ。それなら家じゃなくて、外で会えばいいだろ」
「外かー……そうだよな」
実はダイチとは、ロッシュの散歩以外で、外で会ったことがない。
俺が休みの土日はダイチが基本バイトだし、それに彼には本業である大学の勉強だとか、トレイルランのトレーニングだとかそういうので忙しいわけだし、反対に俺は在宅仕事で家にずっといるわけで。だから普段は、ダイチが都合のいいときにウチに来るような感じになっている。
それに、彼からも外でのデートに誘われたことがないし。
ゲイではない(たぶん)彼が、俺みたいなゲイのおっさんとデートというのも、ちょっと憚られるものがあるわけで。
「なんだ、まだそんなこと言ってんのかよ。俺なんか若いねーちゃんと、よく街を歩くぜ」
まるで自慢話のように語るが まだお前そんなことやってんのかと呆れる。いい加減嫁さんに愛想つかされるぞ。
「男女のデートとは違うんだよ。人目もあるしさ、そうスムーズにいく感じじゃないって」
「でもよ。お前のことが好きで好きでだーい好きで猛アタックしてきたやつが、そんなこと気にするかよ。案外、ロッシュを置いてデートにでかけることに気兼ねしてんじゃねーのか」
確かに嫌われていようが、ダイチはロッシュのことを可愛がってくれている。それに俺の可愛がりっぷりも知っているから、そう思っている可能性はおおいにある。
「俺とはこうやってロッシュを置いて、飲みででかけてんのにな」
チビチビと酒の入った小さなグラスを傾けながら、佐藤がニヤッと笑った。
「ロッシュはお前のことすげー嫌いだからな。仕方ないんだよ」
そうなのだ。ロッシュは佐藤のことが大嫌いで、玄関に入るなり狂ったようにギャンギャンと吠えまくり、家に上がらせることを完全拒否するから、佐藤を出禁にしたのだ。
まだ家に上がることを許されたダイチとは全然違う。しかもロッシュは、機嫌のいいときにダイチに頭や背中を触らせることもある。
そんな、新参者のダイチ以上に嫌われる佐藤。
「お前黒木に嫌われるようなことしてたのかよ」
「なんで黒木~? あー…生まれ変わりの話? なんだ、まだ言ってんのかそんなこと。つか、するわけねーだろ。ほとんど口聞いたことねぇのに」
じゃあ本当にロッシュ自身が、佐藤のこと嫌ってるってことか。
「なんで俺を嫌うかなー。俺って動物にスゲー嫌われるんだよな」
本当はたいして気にしていないくせに、かわいこぶってシュンとするな。気持ち悪い。
「お前、体格がいいから動物が警戒すんじゃないのか」
とくに鍛えているわけでもないのに、昔から佐藤はまるで柔道かラグビーでもやっているかのように体格がいい。
「俺のこの逞しい体は、女にゃ評判いいからな。動物より女にモテりゃ俺はそれでいいんだよ」
佐藤は無駄にいい体格を強調するかのように、わざとらしく胸を張る。
「お前は男にもモテるだろ」
「くくっ、まあな。男にモテても嬉しくないけどー」
そう苦笑いしながら酒を舐める佐藤を、俺は横目で眺めた。
短髪にヒゲ、そしてこのガタイの良さ。わざとなの? ってくらいゲイ受けするこの容姿。なよなよとした見た目の俺とは正反対だ。
そもそも俺が佐藤と仲良くなったきっかけが、佐藤をゲイ仲間だと勘違いしたことからだった。
しかし見た目はゲイっぽいけど大の女好きで、そのくせゲイに偏見がない。そんなところが俺には安心できる要素で、ずっと仲良くやってこれた理由のひとつでもある。
ダイチはこれまでのように、河川敷でロッシュの散歩を一緒にしたり、バイトが休みの日にはケーキを作っては俺の家に持って遊びに来てくれる。
ロッシュとは相変わらず険悪なムードだけど、それでもロッシュの許容範囲内の距離感で俺と過ごしてくれている。
ただロッシュを尊重するあまりからなのか、あれからハグ以上の進展はなく、まるで純情な中学生同士のような付き合いで、俺としてはどうしたもんかなと、少し悩んでいるところだ。
「なんだ、それ。子供がいるシングルマザーの悩みみてーだな」
繁華街の小さな飲み屋で、佐藤が俺の話を酒の肴に日本酒をかっくらいながら、冗談交じりでそんなことを言った。
「まあ、それに近いっちゃ近いか……。でもこっちは子供よりも嫉妬深いロッシュ様だからな。ちょっとでも俺とダイチが接近したら、ものすごい唸り声を出すんだよ。ロッシュのストレスもヤバいし、ダイチも遠慮して家じゃ俺と30cm以上距離を空けて、それ以上は近寄ってこない。隣に座っても手すら触れないよ」
「ははっ、さすがロッシュ。それなら家じゃなくて、外で会えばいいだろ」
「外かー……そうだよな」
実はダイチとは、ロッシュの散歩以外で、外で会ったことがない。
俺が休みの土日はダイチが基本バイトだし、それに彼には本業である大学の勉強だとか、トレイルランのトレーニングだとかそういうので忙しいわけだし、反対に俺は在宅仕事で家にずっといるわけで。だから普段は、ダイチが都合のいいときにウチに来るような感じになっている。
それに、彼からも外でのデートに誘われたことがないし。
ゲイではない(たぶん)彼が、俺みたいなゲイのおっさんとデートというのも、ちょっと憚られるものがあるわけで。
「なんだ、まだそんなこと言ってんのかよ。俺なんか若いねーちゃんと、よく街を歩くぜ」
まるで自慢話のように語るが まだお前そんなことやってんのかと呆れる。いい加減嫁さんに愛想つかされるぞ。
「男女のデートとは違うんだよ。人目もあるしさ、そうスムーズにいく感じじゃないって」
「でもよ。お前のことが好きで好きでだーい好きで猛アタックしてきたやつが、そんなこと気にするかよ。案外、ロッシュを置いてデートにでかけることに気兼ねしてんじゃねーのか」
確かに嫌われていようが、ダイチはロッシュのことを可愛がってくれている。それに俺の可愛がりっぷりも知っているから、そう思っている可能性はおおいにある。
「俺とはこうやってロッシュを置いて、飲みででかけてんのにな」
チビチビと酒の入った小さなグラスを傾けながら、佐藤がニヤッと笑った。
「ロッシュはお前のことすげー嫌いだからな。仕方ないんだよ」
そうなのだ。ロッシュは佐藤のことが大嫌いで、玄関に入るなり狂ったようにギャンギャンと吠えまくり、家に上がらせることを完全拒否するから、佐藤を出禁にしたのだ。
まだ家に上がることを許されたダイチとは全然違う。しかもロッシュは、機嫌のいいときにダイチに頭や背中を触らせることもある。
そんな、新参者のダイチ以上に嫌われる佐藤。
「お前黒木に嫌われるようなことしてたのかよ」
「なんで黒木~? あー…生まれ変わりの話? なんだ、まだ言ってんのかそんなこと。つか、するわけねーだろ。ほとんど口聞いたことねぇのに」
じゃあ本当にロッシュ自身が、佐藤のこと嫌ってるってことか。
「なんで俺を嫌うかなー。俺って動物にスゲー嫌われるんだよな」
本当はたいして気にしていないくせに、かわいこぶってシュンとするな。気持ち悪い。
「お前、体格がいいから動物が警戒すんじゃないのか」
とくに鍛えているわけでもないのに、昔から佐藤はまるで柔道かラグビーでもやっているかのように体格がいい。
「俺のこの逞しい体は、女にゃ評判いいからな。動物より女にモテりゃ俺はそれでいいんだよ」
佐藤は無駄にいい体格を強調するかのように、わざとらしく胸を張る。
「お前は男にもモテるだろ」
「くくっ、まあな。男にモテても嬉しくないけどー」
そう苦笑いしながら酒を舐める佐藤を、俺は横目で眺めた。
短髪にヒゲ、そしてこのガタイの良さ。わざとなの? ってくらいゲイ受けするこの容姿。なよなよとした見た目の俺とは正反対だ。
そもそも俺が佐藤と仲良くなったきっかけが、佐藤をゲイ仲間だと勘違いしたことからだった。
しかし見た目はゲイっぽいけど大の女好きで、そのくせゲイに偏見がない。そんなところが俺には安心できる要素で、ずっと仲良くやってこれた理由のひとつでもある。
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