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お行儀見習い【コリン】②
しおりを挟む庭の散策が終り、テラスにコリンが連れてくると、セリナとライアがお茶の用意をしてくれていた。
コリンに椅子を引かれ、ナターシャは座らせてもらう。
「ありがとうございます、殿下。」
「どういたしまして。歩き疲れたでしょ?お茶を飲もう。最近の僕のお気に入りの茶葉なんだ。ナターシャも気に入るといいけど。」
「まぁ、楽しみです。」
ティーカップを手に取り一口飲むナターシャは、目を見開く。
「美味しい………。」
「でしょ?隣国アードラの名産の茶葉なんだよ。あそこの王子と仲が良くてね、教えてもらったんだ。時々送ってくれるから、ナターシャにもどうかな、て。」
「芳醇な香りの茶葉ですわね。」
スコーンを頬張るコリンは、こうしてみているだけなら年相応の少年。
だが、口を開けば的確な判断も出来、頭の回転も良いと思われた。
「殿下、お口に着いておりますわ。」
「え?どこ?」
スコーンの欠片を指で取ろうと、するが逆の方を擦る。
ナターシャはハンカチを取り出し、スコーンが着いているコリンの口元を拭き取った。
「こちらです……取れましたわ。」
「!!…………あ、ありがとう……。」
「!!あ、わたくし、差し出がましい事を失礼しました。」
臣下が身分上の皇子に触れてはならないのだが、ナターシャはコリンの姿が可愛くて、手を出してしまった。
「あ、いや!大丈夫だから………気にしなくていいよ。セリナもライアも他言無用にしてくれよ?」
「畏まりました。」
セリナとライアを見ると、顔を赤らめている。
傍から見たら、恋人同士に見られても仕方ない行動だからだ。
「殿下、申し訳ありません。」
「謝る必要はないよ、僕が食べ方下手だったんだから……スコーンが好きで………さ。」
「では、殿下との勉強の日はスコーンを用意してもらわなければなりませんね。」
「!!い、いや!!そんな!」
顔を赤らめて訂正する姿も可愛らしい王子。
「わたくしもスコーン好きですから。」
「…………う、うん……。スコーン食べたい。」
この日はとても微笑ましく楽しい勉強になったナターシャだった。
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