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お行儀見習い【コリン】④
しおりを挟むリュカはフェデラーを厩舎から出し、ナターシャは後ろに居ないように注意をしながら待っていた。
「まさか、ナターシャが馬に触れるとはな……。」
カイルが驚いていた。
「………また兄上にやられたな……。」
「トーマス兄上?」
コリンがトーマスの言葉の意味が分からない。
なので、コリンも厩舎に向かっていった。
「諦めるつもりなのか?トーマス兄上。」
「タイタス………お前は見てないのか?ナターシャの首筋のキスマーク。」
「は!?」
タイタスがトーマスを凝視する。
「トーマス兄上!!どういう事だ!!」
「………リュカ兄上と……っの勉強中………キスマークを…………付け合ったんだよ………離せっ!!」
タイタスが、トーマスの首元を掴み、揺さぶる。
「どうやって!!俺っ!出来なかったのに!!」
「くっ!………離せっ………て!!」
トーマスがタイタスの腕を掴み離した。
その拍子で、トーマスの眼鏡が落ちてしまい、セシルが拾い、眼鏡に着いた砂埃を払い、トーマスに渡した。
「細かい傷が着いてしまいましたが……。」
「………ナターシャの心みたいだな……。こうやって、傷が深くなりそうな隙を、兄上が見逃さなかっただけだ……。俺達は見逃したんだよ。」
トーマスが眼鏡を掛ける。
「トーマス、眼鏡作り直させようか?」
「いや、いい。気になる程じゃない。」
「お~い、セシル!仕事しといてくれ!」
リュカがフェデラーの準備が終わり、背に乗って、傍らにナターシャと居た。
「仕方ないですから、進めておきますよ、ナターシャの苦手だった馬を克服して頂きましたしね。」
セシルは軍服の首元を緩め、カイルに声を掛けた。
「俺は行くが、お前はどうする?殿下方をお慰めしておいてくれよ?」
「は?何で俺!?」
「トーマス殿下はお前の友人でもあるだろうが……。」
「先日、慰めたよ!アレでまだ足りると思うか?」
カイルが一瞬目を離しただけで、更に落ち込むトーマスとタイタス。
コリンは馬に乗りたかったのか、自分の馬を乗り回している。
「はぁ…………。トーマスだけでも厄介なのに………。」
「そういう事だ。」
「兄上はリュカ殿下の部下だから気楽なもんだぜ……。」
リュカはナターシャを抱き上げ、自分の前にフェデラーの背を跨がせた。
後ろから抱き締められるような感覚があるナターシャは顔を赤らめている。
「ナターシャ、顔赤い……ふふふ。」
「あ、赤くありません!!」
「可愛い。」
耳元で囁かれ、リュカは照れているナターシャの耳を甘噛みする。
「!!」
「どうかした?」
「今っ!しましたよね!?」
「何を?」
「……………何でもありません!」
「くすくす……。」
フェデラーを歩かせると、ナターシャが緊張するかと思い、揶揄い半分、本気半分でやった事だが、リュカの欲望が膨らんだ。
手綱を持っているが、その手綱を片手だけに持ち、ナターシャの腰を抱く。
「!!」
「怖い?」
「な、何の事ですか?」
「え?フェデラーの上。」
「………あ。」
「くすくす……もう大丈夫かな?1人で乗れるようになったら、2人でちょっと連れて行きたい所あるんだ。王宮の敷地内ではあるけど、歩いて行くには遠いからね。」
「……連れて行きたい所?」
『2人』で、という事ではなく、『連れて行きたい所』に反応したナターシャに、リュカは面白そうに返事する。
「『2人』で、と所に反応しない、て事は一緒に2人きりで行く、て事でいいんだ。」
「!!」
チュッ。
再度、耳元にキスを落とすリュカ。
「……で……殿下……お止め下さい……。」
「え?やだよ。こんないい事止めるなんて、ナターシャは意地悪だなぁ……くすくす。」
「意地悪しているのは殿下ではないですかっ!」
「好きだから仕方ないじゃないか。ナターシャは嫌な男と馬に乗りたい?」
核心的な事を突くリュカにナターシャは真っ赤になった顔を見せている。
「ふふふ……可愛いなぁ。」
「兄上!!そこイチャイチャしないでっ!!」
コリンがリュカ達の側にやって来る。
「コリン………邪魔しないでくれよ。」
「今は本当は僕の時間なんだよ!?」
「そうだったっけ?」
リュカはとぼける。
「もう……僕が入る隙ないじゃないかっ!トーマス兄上もタイタス兄上も落ち込む気持ちも分かったよっ!僕はもうナターシャ口説くの辞めるからね!!」
コリンは踵を返し、厩舎の方へ行ってしまった。
「あ、コリン殿下との時間忘れてました。」
「プッ……。」
「笑いましたね?」
「だって可愛いから。」
「殿下は…………なんでもありません……。」
「ナターシャ?」
「………知らなかったとはいえ、馬に乗るの楽しいですね!」
ナターシャは何かを言い掛けたようだが、押し込み誤魔化して微笑んだ。
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