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口説き捲り
しおりを挟む「良かった、このガウンだけだと恥ずかしくて…………。」
「仕方ないかと……湖に落ちて、着替えが無いのなら……良かったです、王宮内にいらっしゃって、皆心配してたんですよ?」
「ごめんなさい……。」
セリナは次々とドレスを出していく。
「セリナ?そんなに着替えを持って来たの?」
「はい、セシル様が数着分用意するように、と。ナターシャ様は皇太子妃になられますから、いつでもリュカ殿下と離宮にお泊りになれるように、と。」
「え!?」
「では、ナターシャ様こちらにお着替え下さい。」
どうしてもう、皇太子妃になるとセリナは知ってるのか…………。
リュカに告白する、という事は知られているが、上手くいった事は知らない筈なのだが……。
「え?これ?夜着じゃ……。」
「はい、今日は殿下とこちらでお休みだと聞いておりますし、夜道は暗くて危険だから、という事で。」
「で、でも………セクシー過ぎない?いつものは無いのかしら?」
「お持ちしておりません。可愛いですがセクシーさが足りませんから!」
「え!!」
「ナターシャ様、想いが伝わって良かったですね。」
セリナに手伝ってもらうと、もう何もする事が無い。
持って来たドレスがシワにならないように、セリナは部屋を後にし、翌朝また来るから、と挨拶されてしまった。
夜着のままでは、ナターシャは出れず、どうする事も出来ない。
ガウンもセリナが持って行ってしまった。
「仕事が出来るのもある意味困りものね……。」
コンコン。
『ナターシャ、入っていいかい?』
「!!…………は、はぃ…………。」
ドアをノックされ、一気に緊張が走るナターシャ。
身体を硬直してしまい、心臓が爆発しそうな鼓動が分かる。
「ナターシャ?」
「……………で………か………もう……恥ずかしい……。」
顔を手で隠すしか出来ないナターシャ。
男には事、リュカにとっては萎える事が無い、寧ろ逆効果。
ナターシャの夜着は袖と膝下がシースルーになり、胸元は脱がしやすいようにリボンで止めてあるだけのよう。
「!!………我慢……してるのに…………。」
「似合わないですか?」
「ち、違う!似合わないとかじゃなくて……欲がっ…………!!」
ナターシャを抱いて、全てを自分のものにしてしまいたい衝動と、ナターシャの意思を大事にしたい葛藤が入り交じるリュカ。
子供のから可愛くて、純真さが変わらない、リュカの天使を緩く抱き締め、自分より頭一つ分小柄なナターシャの肩に頭を乗せた。
「ナターシャ………君を貰っていいかい?」
「………あ…………。」
「まだ怖いなら、結婚迄待つよ……。」
「………殿下………わたくし…………。」
「うん?」
「………閨の作法で、殿下にご満足頂けるか………。」
「…………心が伴っていれば嬉しいけど?」
「痛いのを我慢も出来るか………。」
「………何?夫になる男に全て委ねて、痛いのを我慢しろ?て、母上から言われた?」
「!!」
「セシルから聞いてる………幼い時に俺がナターシャと結婚したい、て父にお願いしたから、宰相が必死になって、ナターシャを男から守ってきた、て。」
リュカはナターシャの背中をなぞる。
「あっ!」
「閨は2人で愛を確かめるものだよ?そんな閨の作法は俺は求めてない。」
「…………で……殿下っ!」
「ふふふ………くすぐったい?………俺はこの前のサロンの時の様に、キスしあったり、お互いに気持ちいい事をしたいな………。ナターシャの胸に顔埋めると、甘い声になるようにとろとろにしてさ、その声を聞けるだけでも、俺の気持ちは満たされたりして、さ。」
「………わたくし……が知る閨………の作法……を求めてない………のですか?」
何度もナターシャの背中を指の腹で優しく行き来するリュカの指で、言葉が途切れ途切れになる。
「うん、全くね………可愛い声を聞きたいし、痛かったら我慢しないで言ってほしい。そして、俺をもっと求めてほしい。」
「殿下を?」
「そ、俺からのキスを求めて、俺からの愛を求めてくれたら、俺は幸せなんだ。」
ナターシャはリュカの背中に手を回す。
「ナターシャ……。」
「殿下に………。」
「!!」
「きゃっ!」
《殿下に貰ってほしいです。》と小声で恥ずかしそうに言ったナターシャを抱き上げ、ベッドに向かうリュカがそこに居た。
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