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信じた先は
しおりを挟む「お前達は、そこのドアから入って来るな」
「は、はい……」
櫻子は確認を取りたくて、高嶺に詰め寄る。
「お願いです!大和に連絡させて下さい!!確認したいんです!!」
「駄目です」
「何故ですか!!」
「獅子王大和は…………いえ、獅子王組は、昔から龍虎会を狙い、抗争が絶えなかった極道です…………何故、獅子王大和が貴女に近付き、結婚しようとしたのか我々は知りません。貴女が雪お嬢の娘でなければ、さぁご勝手に、と言えました。だがそうじゃない!!獅子王組には何人も仲間が殺された!!俺の親父もだ!!貴女を狙い、龍虎会を潰すなら俺達は黙っていられない!!雪お嬢も何度も狙われたんですよ!その銃弾で俺の親父は死んだ!!」
「…………だから、私が確認を………て……」
「……………」
「!!」
高嶺はネクタイを緩めると櫻子に馬乗りになる。するとその高級そうなネクタイを口に突っ込むと、櫻子のスマホを取り出し、番号を検索した後、自分のだろうスマホから電話する。
『もしも~し』
「!!」
「獅子王………大和だな?」
『……………誰だ、てめぇ』
「……………」
櫻子に対する口調ではない大和の声がスピーカー通話で聞こえる。
「龍虎会、若頭………高嶺 桜也だ」
『龍虎会!!…………てめぇだろ!!櫻子を何処にやった!!』
「櫻子?何の事だ?」
『惚けるんじゃねぇ!!櫻子は俺が貰うんだよ!!』
「知らんな、そんな女…………そうそう、結婚するんだってな?どんな女だ?獅子王……櫻子、て女がそうなのか?」
電話越しで、ガタガタと大勢居るのか、殴り込みだの、殺せと飛び交うのが櫻子の耳に聞こえる。
『は?てめぇ等は知らなくていいんだよ!俺が長年掛けて懐柔した女の事なんてよ!』
「その割りには、必死になって探してるな……病院迄お仕掛けたじゃねぇか……組員迄連れてよ………あと住んでたアパートも荒らしたなぁ…………え?」
「……………」
櫻子は涙目になっている。住んでいたアパートを荒らしたなんて聞いた事もなければ、病院にお仕掛けたなんて聞いていない。
馬乗りになって電話の内容を聞かせている高嶺は、涙目の櫻子の涙を拭う。行動がチグハグだ。だが、櫻子に送る目線は優しい。
『当然だろ!結婚式控えていた女が行方不明なんだからよ!病院にも居ねぇ、てんなら、櫻子のジジィの居る龍虎会が匿ってる、て思うだろ!』
「龍虎会?………何故そのお前の女が親父の孫だって思うんだ?証拠は?」
『…………………ブチッ』
電話は切られた。何かを知っているかの様だった。
「お嬢…………すいません……手荒な事をしました」
「……………あ………大和………」
今迄の櫻子が知る彼氏の口調ではない。高嶺は馬乗りを辞め、目の前に座りスマホを返す。
「掛けてみますか?掛けるならスピーカーにしてもらいますが」
「…………」
櫻子は首を横に振った。
「今、電話しても何を話せばいいか分からない……」
櫻子の出生を知っている言葉が出た事がショックだった。孤児院では、親が居ない境遇を慰めあった仲間であったのに、乱暴な言葉も掛けられた事も無かったのに、電話での大和は冷たい印象だった。
「…………お嬢、暫くこのマンションに居て下さいね………あと勤務先は辞めてもらいます………貴女だけでない、勤務先も危険になりますから」
「そ、そんな!保育士は生き甲斐なのに!!」
「すいません、お嬢を守る為です」
「…………お嬢お嬢言わないで!!私は極道に身を寄せるつもりはないわ!!」
パニックになる櫻子。大和の思惑も分からず、かと言って高嶺も信用しきれず、泣き叫ぶしか出来なかった。
「お嬢………いえ、櫻子さん………親父からの命令があるので、実行しますよ」
「……………え?」
猿ぐつわをされていたネクタイを再び櫻子の手首に結ぶ高嶺。
「な!!何するんですか!!」
そのネクタイはソファの肘掛けに結ばれる。
「親父から言われてるんですよ………もし、櫻子さんが、獅子王大和にまだ未練がありそうだったり、社会の俗世に未練があるなら、一度断ち切れ、とね」
「な!!断ち切れって何!?」
「獅子王組が貴女を狙っているからですよ………龍虎会が貴女の存在を知らず、雪お嬢の娘を見つけた。それにより貴女を獅子王組に引き込み、龍虎会を潰す算段なんでしょう………龍虎会はいい稼ぎシマが多数ある……その点、獅子王組は新参者で、小競り合いが絶えなかったシマを荒らし傘下に置いている質が悪い組です…………抗争ナシにしようなんて事はしない」
高嶺はキッチンに会話をしつつ、何かを取りに行く。どうやら水の様だった。
「…………りゅ、龍虎会は違う、て言うの?」
「龍虎会は、昔の様に、銃や薬なんかに頼らない………不動産や貸金業、夜の街で稼ぎますからね」
「それでもヤクザはヤクザよ!」
「…………まぁ、いいでしょう………極道を嫌うなら嫌うで結構………俺は親父の仇討ちに、獅子王を潰すのに、貴女を利用しますから」
高嶺は何かを口に含むと、その水を飲む。そして、その水毎、櫻子に口移しで飲ました。
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