桜に集う龍と獅子【完結】

Lynx🐈‍⬛

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自覚した龍、拒めない桜

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「もしもし」
『写真の礼だ!高嶺!』
「!!」

 大和からの電話。大きな声で、怒鳴る大和。

「大和!!」
『…………おぉ、櫻………高嶺のは如何だったよ?』
「……………大和……」
「獅子王………一般人を巻き込むんじゃねぇ!!」
『…………はぁ?龍虎会潰す為には栄誉なる犠牲だぁ!!』
「…………まぁ、いい………お前が放った銃弾で、レストラン一店が破壊された。その顧問弁護士が既に付いた………損害賠償は計算し請求、客への精神的被害慰謝料………で請求するか?それともで請求するか?どっちがいい」
『今さっきで弁護士なんざ付くか!』
「悪いな………龍虎会には顧問弁護士が付いてんだよ」
『極道に弁護士なんざ要らねぇ!極道は極道の法律があるんだよ!!』
「大和!!もう止めて!!」
『……………櫻……惚れたか?そいつに』

 知らなかった。極道である大和と、孤児院でからの付き合いのある大和との違い。騙されていたと感じる。大和は虫が苦手で虫さえ殺せない明るいチャラけた性格だった。それがチャラいが卑劣極まりなく、殺生が平気そうな言葉が出るとは思えなかった。

「大和………何で演技してまで私と付き合ってたの?」
『惚れてたろ?大和の時は……結婚したら、獅子王大和ととして、龍崎櫻子を玩具にしてつもりだったさ!!はははははははははっ!!………今は高嶺が離さねぇけど、その内お前は戻ってくるさ!!』

 その自信は何処から来るのか分からないが、大和は勝手があるのかもしれない。

「…………結婚式キャンセルするから」
『キャンセルすんなら、お前がキャンセル料払え……その内大和の妻として、横に並んで、あんなチンケな式じゃなく、豪勢な式にしてやるよ………じゃあな』

 プッ……プープープー………。

「忘れなさい………あんな奴は」
「……………うっ………」

 桜也は、櫻子をキツく抱き締める。マンションに着く迄泣き止む事無く、ずっと抱き締めた桜也。

「大丈夫ですか?」
「………なんとか……」
「風呂入れますから、今日はもう寝て下さい」
「……………」

 櫻子は桜也のスーツの袖を掴む。人恋しかったのか、ただ慰めが欲しいのか分からない。だが、無意識に掴んでしまった。

「……………櫻?」
「………あ、ごめんなさい……荷物置いてきます」
「……………参った………あの顔……」

 櫻子の後ろ姿を見送って、桜也は頭を抱えた。袖を掴んだ時の櫻子の顔は、桜也は何度も女との別れ際に見てきた顔だ。『寂しい』『もっと一緒に居たい』と。だが、櫻子の気持ちはただだと思って欲しい桜也。10歳近く年下の櫻子に恋愛感情を持たない様にはしていた桜也だが、初恋だった雪の娘である事が、再燃しそうだった。割り切って女と付き合ってきた男のになる感情を。
 
「…………ちっ!」

 頭を抱えた桜也は、掻き毟りセットを崩す。リビングに入り待機していた部下に一声掛けた。

「今後、警護はマンション周辺だけでいい」
「分かりました」

 風呂のスイッチを付け、冷蔵庫を開けた桜也はビールを取り出す。グラスに注ぐのも面倒で、そのまま口を着けて飲み干した。自分の気持ちに火が着いたのは30年振りだ。如何していいか分からず、ただ時間だけ過ぎて行く気がする。

「あれ、また飲んでるんですか?」
「……………えぇ」
「二日酔いになりません?………私はミネラルウォーター貰いますね」

 桜也のスェットに着替えて、結っていた髪も解き、緩く結んだ黒髪に、僅かに残る香水。自覚するとそれだけでクラクラする。

「飲んだら一緒に風呂入ります?」
「……………え?」

 ガシャーン!!

 櫻子の持つグラスの手を掴む桜也。その拍子にグラスを床に落とした櫻子。

「……………怪我は?」
「………だ、大丈夫です……」

 見つめ合い、桜也が掴んでいない方の手は、キッチンカウンターで支える櫻子は、桜也と目が離せなくなった。縋る様な事をしたのは櫻子だ。危険な男の元に居なければならない事も理解している。大和に裏切られ、その傷が埋まっていないのに、桜也に縋ろうとしたのは間違っているのだが、裾を掴んで誘ったのは櫻子だ。後戻りは出来ないかもしれない。桜也は怒らせると怖いが、基本的に紳士的な男だ。嫌いではない。
 目が離すのを遅れてしまった。櫻子が目線を落とそうとすると、桜也の空いた手は櫻子の頬を撫でる。大きな桜也の手は、耳迄掛かり、耳と頬を優しく触れてくる。拒める気がしなかった櫻子に近付く桜也の顔。そっと目を閉じた櫻子の唇が桜也の唇が重なるのは、直ぐだった。
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