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26年振りの再会
しおりを挟む後日、警察からも櫻子と雪、蒼太のDNA鑑定が親子と認められた。それにより、櫻子も親子再会に前向きになり、龍崎家の別荘で高嶺親子と会う事になった。だが、大和の監視がある関係で、菫には口止めして欲しい、と桜也から雪と蒼太に頼んだ。
「申し訳ないですが、獅子王が菫さんに、接触している可能性があります」
「何ですって!」
「今付き合ってる人居ると言ってたか?」
「…………最近、知り合った人といい感じだ、って……」
「なので、菫さん経由で獅子王に知られると、また襲撃されるかもしれません」
「…………また櫻子が狙われてるの?」
「狙っているのは龍虎会のシマだとは思います」
「その足掛かりという事か………分かった、菫には口止めする」
「お願いします………獅子王が大人しくなれば、櫻子お嬢は高嶺家に帰せると思いますから」
桜也は雪と蒼太に頭を下げた。これは警察署で鑑定結果を聞いた時にした会話だった。
そして、当日。
「何で着物?」
「いいじゃねぇか、櫻子。その着物は雪が紅子から受け継いだ着物だ。見たいだろうからな」
龍崎が、別荘に持ってきた着物数点。その中から桜柄の着物を着させられた櫻子。
「櫻子だから、桜って……」
「紅子が、雪と桜太をくっつけようとしてたからなぁ………雪もそれが一番気に入っておったわ」
「…………おじいさん孝行ですからね、着るのは」
前日から櫻子は泊まっていて、祖父との時間を過ごしていた。桜也は雪達を向かいに行っている。
「すげぇ……リムジンだ」
「うわっうわっ……一生にあるかないかだよ、お兄ちゃん!」
「蓮も菫もはしゃぎ過ぎよ」
「父さんも初めて乗るから緊張してるぞ」
雪は、極道の娘だった事もあり、驚きもしない。だが、櫻子との再会に緊張を隠せないでいた。
「…………ねぇ、桜也……」
「何でしょう、雪お嬢」
「……だから、お嬢って言われる年じゃないでしょ!」
「俺の中では、ずっとお嬢ですよ」
「お嬢だってぇ……お母さん、皆からお嬢、て呼ばれてたんだよねぇ……なんかいいなぁ」
「菫お嬢、とお呼びしましょうか?」
「…………や、やだ!何か照れる!!」
「ば~か」
蓮と菫が会話に入ってきて中断されたので、雪は桜也に再び聞きたい事を聞く。
「櫻子はどんな子に成長した?」
「………礼儀正しいですよ……保育士でもありますし、園児や保護者からも信頼されてましたね………獅子王に狙われてなければ、そのまま結婚させてたでしょうけど……」
「でも、獅子王に狙われてなければ、櫻子は見つけられなかったんでしょう?」
「まぁ、その点は感謝ですね」
蒼太もこの話に耳を傾ける。
「櫻子が見つかったのは嬉しいが、こんな形で会う事になるとはな……」
「誘拐された時、ベビーシッターが櫻子を連れ去って行ったんですよね?」
「当時もだが、中国は人身売買は多かったから、日系中国人をシッターに頼んでいたんだ……雪が産後うつだったのもあってね………中国語より日本語が分かる人間を探して雇ってた」
「獅子王は中国系マフィアと親密ですからね………慣れない土地での生活に付け込まれたのかもしれませんね……」
「そう思う………日本に帰ってきても、櫻子を諦められず、日本警察にも掛け合って、雪が龍虎会会長の娘だから、恨みか何かで、という僅かな望みで待っていた甲斐があった……」
「…………私がニュースで龍虎会や獅子王組の話を聞く度に警察に聞いてたから……」
『頭、そろそろ到着します』
車を運転する部下から内線が入る。
「………分かった……さぁ、櫻子お嬢が待ってますよ」
車が敷地内に入る。海が見える日本家屋の別荘だ。
「30年振りねぇ……」
「お母さん、此処に住んでたの?」
「ここは別荘、本邸は都内にあるわよ」
「…………別荘でコレって……」
「本邸はまだこじんまりしてるわよ?」
「行ってみたい!」
「菫お嬢、止めておいた方がいいですよ……櫻子お嬢は中庭に親父と居るそうです。こちらからどうぞ」
桜也に案内された雪達。話し声がする方へ向かう。
「これ?これが……雪月花……」
「今は時期じゃないがな………この花が咲く頃に雪………お前の母さんが産まれた」
「お母さんの名前の由来の花をネットで見たけど、白い可愛い花でしたね」
「お前の櫻子の由来を早く聞きたいものだ……」
「……………貴女が産まれた時、私が置いてきた桜への思いを忘れないでいたかったからよ………桜太と桜也………大好きだったから……でも、桜だと恥ずかしいでしょ?桜也に知られたら………気が付いてるでしょうけど……」
「………………」
「雪………この前はすまなかったな」
「…………櫻………櫻子……会いたかった……」
「櫻子………お父さんだぞ」
櫻子の声が出ない。目の前に居るのは両親だと分かる。桜也に面差しが似ている父、自分に似ている母。
「……………お……父さん………お母さん………っ………」
やっと声が出ると、嗚咽が交じる。両親の後ろには弟と妹だろう。両親程ではないが、涙目になっている。
「櫻子お嬢、近くに行ってあげて下さい」
「…………会いたかった!!」
「櫻子!!」
「櫻…………ごめんね……見つけられなくて」
「ううん…………今会えてるから……いいの……」
その感動の再会を菫はスマホに写真を撮っている。
「写真撮ってんのか?」
「感動の再会だもん………SNSで編集して、生き別れた家族が再会!て載せよかな、て」
「…………やめて下さいね、それは」
「!!………び、びっくりしたぁ!」
「菫さん、駄目ですよ………場所も人も特定され、尚且つ生き別れた家族再会、だなんてマスコミの餌です」
「…………まぁ、そうなるよな」
「と、友達にならいいでしょ!?」
「それも駄目です………櫻子さんは今迄苦労されてきたんです。ご両親もそう………曝け出すのはよくありませんから」
「…………はい」
だが、桜也の指摘虚しく、菫はその写真をある人間に送っていた。
「場所は龍崎家の別荘だ!!龍崎と高嶺を殺せ!!着物の女は殺すなよ!!あいつは俺の女だ!!」
菫が送っていたのは獅子王大和。恋人(菫はそう思っている)になら、いいだろうと安易な行動。拡散しちゃ駄目だよ、とメッセージがあったとしても、送った相手が悪かった。
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