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海風浴びる中で
しおりを挟むラメイラはレングストンからの知らせを待って1ヶ月程経った頃、なかなか来ない返事に苛立って、剣を振り回していた。
「お、鍛練中か?ラメイラ。」
「…………兄上か……。」
宮殿の庭で、公女が剣を振り回しても咎められる事も止めさせようとする者も居ない程、ラメイラは剣の扱いは兵士達に負ける事が無い腕前だった。
ラメイラの兄、エドワードはトリスタン公国の将軍で、トリスタンで求められる屈強の男達の憧れる存在だった。
14歳のラメイラは、8歳年上のエドワード、2歳年下の弟レックスが居る。
「苛立ってるな、お前。」
「レングストンから返事が来なくてな……。」
剣の振りから苛立っていると分かる兄は、ラメイラを揶揄う。
「屈強な男はレングストンには居ないだろ?雅で美しい皇子だと聞くが?」
「皇太子のリュカリオンと、第二皇子トーマスはな。」
「じゃ、第三か第四のどっちか?お前の好きな男、てのは……。」
「第四皇子はレックスと同じぐらいだぞ?あり得ん。」
「ほぉ~~、第三皇子か……。」
「……………。」
話を根掘り葉掘り聞かれそうな空気。
「どんな男だ?第三皇子は。」
「………自分に正直な男だ。武術にも長けてた……と思う。」
「強い男じゃないのか?」
「分かんないよ…………長い事会ってないし……変わってるかもしれないけど、それを確認したいんだ。トリスタンで私を伴侶に、て男が居ないから……。」
剣を振る手を止め、下を向くラメイラ。
そんなラメイラを慰めるかのように頭を撫でる。
「お前がその喋りと格好を改めればいいだろ……。」
「嫌だよ!私のコレを含めて好きになってくれる男じゃなきゃ絶対に嫌!!」
ラメイラはエドワードの腕を払う。
「タイタスは………タイタスはこの格好が嫌いじゃない、て言ったんだ!自分を持ってない女よりよっぽどいい!て………言ったんだ……。」
子供の頃からドレスが嫌いで、ドレスの足首から膝下を切り歩くラメイラに、今は亡き母が特注で作らせた服を気に入ったラメイラは、14歳になってもそういう服を着る。
トリスタンの男は屈強であればあるほどモテるが、女が屈強は求められておらず、ラメイラをよく知らない女は、ラメイラの事を『男女』と陰で呼ぶのだ。
だからだろうか、男を立てない女のラメイラを妻に、と望まれないトリスタンが、ラメイラは嫌いだった。
王と外交に同行したレングストンで4人の皇子と会う。
丹精な顔立ち、気品あるリュカリオン。
聡明で頭脳明晰のトーマス。
豪快で自分に正直のタイタス。
明るく愛嬌のあるコリン。
その中で、ラメイラを自然に受け入れてくれたタイタスに、小さな恋心が芽ばえた。
会えなくなっても、その思いが募っていったラメイラは、4人の皇子達の妃探しをしている、と父から聞いたのだ。
王は、ラメイラではなく、別の令嬢はどうかと考えていたが、ラメイラが待ったを掛けた。
『自分が行く』と。
だが、王は『男女』と噂される娘を国交のある国に嫁がせるのは、と思っていたのだ。
ラメイラの半ば強引な申し出に、レングストンが折れるかわからないまま1ヶ月。
ラメイラが苛立つのは当たり前だった。
「そんなお前にレングストンから手紙が来た、と言ったら?」
「!!」
エドワードは手紙をラメイラにチラ見させた。
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