私が欲しいのはこの皇子!【完結】

Lynx🐈‍⬛

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レングストン

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 ラメイラが、レングストンに以前来たのは10歳の時の4年前。
 華やかな街並み、朗らかな人柄、国民を想い皇帝を敬う豊かな国。
 ラメイラにとって初めて来た外国で、何もかも新鮮で楽しかった。
 今回はどんな事を経験するのだろう、と胸をときめかせ、王都に入ると街中は皇太子の結婚式の準備に忙しく賑やかだった。

「もうすぐだねぇ、皇太子殿下の結婚式は。」
「どんな方だろうね、お相手の令嬢は。」
「そりゃ、綺麗な皇太子だ、綺麗な令嬢じゃなきゃ国中の女達の嫉妬を買うさ!」

 そんな声が馬車の中迄聞こえる。

「リュカの妃………ねぇ、あのすました上辺だけの仮面男が、愛を囁くとは思えないや。」

 ラメイラの記憶の中のリュカリオンは、冷たい笑顔しか作らず、何処か女に対して嫌悪感を滲ませていた。
 裏表が無いラメイラには、リュカリオンの嘘の顔はよく分かっていて、弟達の前だけは、満面の笑みを見せて、それがリュカリオンの本当の顔だと知った。
 そのギャップにラメイラは入れる訳にはいかなかった。
 それだけ、闇を持つリュカリオンが怖かった。
 皇太子として、忙しくしていたリュカリオンとはそんなに会える訳ではなく、弟のトーマス、タイタス、コリンと直ぐに仲良くなり、そこにリュカリオンが加わって、ラメイラがリュカリオンの嫌いな女のタイプでないと分かると、同じように接してくるようになったのだ。
 リュカリオンにとって、ラメイラは弟のような感覚でしかないが、妃がラメイラの事をどう思うのか、が心配だった。
 ラメイラは自分を押し殺すのだけはしない、そう決めてレングストンに来たのだから………。
 王宮に付き、レングストン皇帝と皇妃に挨拶に来たラメイラ。

「お久しぶりぶりでございます、レングストン皇帝、皇妃様。トリスタン公国、ラメイラでございます。この度は皇太子殿下リュカリオン様のご結婚、誠におめでとうございます。」
「ラメイラ公女、久しぶりですな。皇太子の結婚祝いの贈物も頂き、嬉しく思います。長旅疲れたでしょう、王城では寛ぐには息苦しさを感じるかと思い、皇女宮の一角を用意しました。そちらでゆっくり過ごされよ。」
「お心遣いありがとうございます。」

 謁見の間には、皇帝、皇妃、側近の一人が控え目に待機していた。

「ところで、ラメイラ公女。あなたは我が息子達の妃候補として、留学を希望した事は間違いはないのかな?」
「はい!私はタイタスを口説きに来ました。」
「……………。」
「……………。」
「……………。」

 ラメイラの目の前の3人は目を見開く。
 そして、側近の男が………。

「プッ…………し、失礼しました、あまりにも率直で……。」
「公女は、以前から率直な意見を述べていたからな……変わらぬようで安心した。」
「本当に………クスクス。」
「え?…………あ、あの……。」

 怒られるかと思った沈黙が笑いで良かった、と思ったラメイラ。

「タイタスを口説けるか、楽しみにしている。私は息子達を幸せにしてくれそうな令嬢しか迎え入れん。トリスタン公国へ書状を送り、返事が来た事に安堵した。子供の頃の公女を見て、息子達の誰か、と思った。皇太子の妃がやっと決まり、次は其方をとな。」
「リュカ………いえ、皇太子が望んだ結婚なのですか、相手の令嬢は……。」
「どういう意味でかな?」

 ラメイラが思ったのは、リュカリオンの結婚は政略結婚的なものだと思っていた。
 あの闇持ちの皇太子は壊れ掛かっていたのに………。

「皇太子には、闇がありましたから……。」
「…………もう皇太子には闇は無い。公女も会えば分かる筈。子供の時に気が付いていた者が居たとはな、宰相。」
「そうですな………皇太子殿下は大人達の前では隠されてましたから……。」
(………宰相、というと、国の最高幹部……。)

 ラメイラは宰相の顔をよく見ていた。

「如何されましたか?私の顔が何か?」
「あ、いえ、宰相には今後お世話になる事が多いだろうな、と思っただけです。」
「そうだろうな、宰相のウィンストン公爵の娘が、皇太子の婚約者だからな。公女であれば、ナターシャ妃と仲良くなるだろう。」
「そう思います、娘は裏表が無い人間は好きになりますから。」
(…………ナターシャ妃、というのか……。)

 皇女宮に案内されると、トリスタンの侍女達がほぼ片付けを終えていた。
 
「疲れたぁ……。」

 ベッドにそのまま寝転ぶと、余程疲れたのか直ぐに眠ってしまったラメイラだった。
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