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ウィンストン公爵VSレングストン公爵
しおりを挟む翌朝、また王城が騒がしくなった。
リュカリオンとナターシャが1週間の休暇を終え、王城に戻ってきたのである。
騒がしい王城にリュカリオンは衛兵に聞き込むと、リュカリオンは王城に駆け込み、ナターシャはラメイラが居る皇女宮にやってきた。
「ラメイラ様、大丈夫ですか!?」
「ナ、ナターシャ~っ!!どうしよう!!タイタスが悪く言われてないか?」
「じゅ、順序立てて聞かせて下さいませ!」
ラメイラがナターシャの姿を確認すると、骨折した足を引き摺り歩いてくる。
安静にしていなければならないが、ラメイラは大人しくするつもりはないようだ。
ラメイラはナターシャに事の経緯を説明する。
「挑発されて、先に手を出したのは私で悪いんだ!でも、それでタイタスが謹慎、て何でなんだ!」
「今、それはリュカ殿下が確認しておりますから。」
ロレイラは身体の怪我は無いが、その代わり心が傷ついて、とても怖く、ラメイラが自分の事が気に食わないので、また何かされるのでは、と父のレングストンに泣きついて、あの皇女宮の衛兵なのだとの事。
骨折をして、動くに動けないラメイラを出さないようにするレングストン公爵。
まるで監禁。
「分かりましたわ、宰相の父やリュカ殿下にご報告しますが、宜しいですね?」
「あぁ……どうしよう……トリスタンに戻れ、て言われたら………。」
「ラメイラ様…………。」
✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧
時間は少し遡り、リュカリオンとナターシャが帰ってくる前夜。
「どういう事か説明してもらおう、ウィンストン公爵!!」
「説明?……ロレイラ嬢を王城に留めている事か?」
「そうだ!!邸に居ないので家令に聞けば王城から帰ってきていない、と言うじゃないか!しかも、お主の監視下で監禁していると聞いたぞ!」
ウィンストン公爵の執務室に怒鳴り込みに来た、ロレイラの父、レングストン公爵。
「仕方あるまい?レングストンでお預かりしているトリスタン公国のラメイラ公女に喧嘩をふっかけたのがロレイラ嬢だ。そのおかげでラメイラ公女は怪我をしたのだぞ?国際問題にでもするつもりか?」
「ロレイラは怖がっていたというではないか!!その公女とやらに詰め寄られた、と言うぞ!!」
バンッ!!
「……………いい解釈だな……。ラメイラ公女はご自分から喧嘩をふっかける方ではない。大方、ラメイラ公女の癇に障る事をロレイラ嬢が言ったのだと私は見ているが?」
怒鳴るレングストン公爵にウィンストン公爵は冷静に対応する。
机には先程叩かれ、その拍子で散らばった書類が床に舞い落ちていく。
それらを目にし、ウィンストン公爵はレングストン公爵に更なる言葉を放つ。
「散らばった、拾ってもらおうか。あなたが落としたのだ。陛下にお渡しする書類なのだからな、汚さないでもらいたい。」
グシャッ!!
「お前は……いや、陛下も何故私やロレイラを冷遇する!!」
レングストン公爵は、わざと散らばった書類を踏み付けた。
「冷遇?……何の事だ?…………まぁ、そう思うのであれば、ロレイラ嬢を早く何処かの令息に嫁がせれば良かろう?公爵家の令嬢なら、家督の為に爵位を継がし、婿を取るか、嫁がせる歳だ。何故毎日のように登城するのだ?家臣であれば国の発展の為に、娘を野放しにする事に対しての冷遇と言うのなら、そう思ってもらってもいいかもしれんな。」
「お主、それが前皇帝の血を引く者に対する言葉か!」
「ロレイラ嬢もソレを言うが、だから何だ?直系では無いし、公爵家の産まれは、王族からの枝分かれした血脈。そんな事で陛下は臣下を見ないのはあなたもご存知の筈だ。それとも、あなたはそう見られていると?」
ロレイラが言う言葉の意味から、父のレングストン公爵も同じ事を言うのが分かる。
「………ぐっ……。」
「血脈云々はさておき、ラメイラ公女のお怪我も重傷なのだ。如何して2人が揉めたのかを調べる。その為には、ロレイラ嬢は返さん。」
「それなら、ラメイラ公女とやらをトリスタンに返すか皇女宮から出さなければ良いではないか!!ロレイラはラメイラ公女を怖がっておる!!」
「それこそ国際問題になるではないか。」
「では、ロレイラを返せ!」
「返しても良いが、登城は許さんぞ?」
「ロレイラは皇太子の許嫁なのだぞ!!ロレイラが会いに行くに問題は無い!!」
「元だ。しかも10年以上前のな。それに皇太子殿下は先日結婚したではないか。」
「お主が仕組んだ事ではないか!!ロレイラは純真に皇太子を愛しておるのに、お主は宰相の立場を利用し、娘を皇太子に押し付けたではないか!!ロレイラがかわいそうでならん!!閉じ込められ、知らん娘に怯えさせられ…………。」
ウィンストン公爵は溜息を漏らす。
「茶番劇は終わったか?レングストン公爵。いい加減執務室から出て行ってもらおうか。勿論、あなたが足で汚した書類も拾ってからだが。」
「ロレイラを返さないなら皇女宮に衛兵を配備するからな!!」
バンッ!!
レングストン公爵は書類も拾わずウィンストン公爵の執務室から出て行った。
「大事な書類だと言っただろうに………この書類だな………では、書き直しをさせる事にしなければな………。」
ウィンストン公爵は決して温厚ではない事を身に持って味わってもらう。
それは同じ公爵相手でも同じ事だった。
レングストン公爵が邸に帰宅すると、ウィンストン公爵から、書類の書き直しと、採決した者のサインを一言一句誤字が無いよう作成し、持って来い、と付けて書状を送りつけたのだった。
皇帝に渡さなければならない書類を無視すれば、政治的に痛手を追うのは目に見えており、レングストン公爵は渋々書き直しをしたのであった。
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