私が欲しいのはこの皇子!【完結】

Lynx🐈‍⬛

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皇太子邸、暴徒

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 ロレイラにタイタスの名で、手紙を出した数日後。
 監視をしていたウィンストン公爵の部下からは何も動きが無い、と報告があった。
 ただ、手紙の行き来はレングストン公爵の邸を通じ、色々な貴族の邸に出入りしていた、との事。
 ロレイラ自身は邸に篭り大人しくしているという。

「動かないな……。」
「ですな………レングストン公爵家に部下を潜り込ませましょうか?殿下。」

 ウィンストン公爵の部下を使う以上、ウィンストン公爵にも話をしていたリュカリオンとトーマス。
 そして、セシルやカイルもこの作戦には関わっている。

「動きがないなら、それでいいんだ。ただ不安は拭えない。」
「皆、そう思っておりますよ。」
「兄上、ロレイラはそのままにしては駄目だ。」
「レングストン公爵も大人しくなりましたね。あれだけ騒いでいたのに。」

 ウィンストン公爵、トーマス、セシルもロレイラの不気味な沈黙に警戒心は拭えないでいる。

 コンコン。

 リュカリオンの執務室のドアがノックされる。

「はい。」

 カイルがドアの近くに居た為、ドアを開ける。

「リュカ兄上、ナターシャの妊娠、公表したのか?」
「ん?」

 タイタスが不可思議そうに入ってきた。
 リュカリオンは、タイタスにも事の経緯は説明してあったのだ。

「いや?連絡したのはロレイラだけだ。お前に手紙書いて貰ったろ?」
「今、王城凄い事になってるぞ?特に皇太子邸前。令嬢達が凄い剣幕で衛兵達が困ってる。」
「何だと!?」
「皇太子殿下、セシルとカイルに行かせます!お待ち下さい!!」
「タイタス!!もう少し詳しい話を!!」

 執務室から飛び出しそうなリュカリオンを制し、ウィンストン公爵は息子2人を早急に皇太子邸に行かせる。

「ナターシャの妊娠が知れ渡ってるんだよ。令嬢達が何で知ってるんだ?それにほとんどの令嬢がリュカ兄上の取り巻きだったんだ。」
「…………まさか……。」
「十中八九、ロレイラだな。」
「………ロレイラ………何をしてるんだよ……。」

 タイタスもロレイラのする事に理解出来なくなっていた。

「タイタス、どんな感じだった?皇太子邸は。」
「いい印象ではないかな……妬み的な感じ?」
「………やっぱり行ってくる。」
「なりません!殿下!!」
「………宰相……。」
「殿下が行ったら、令嬢達に囲まれもみくちゃにされますよ!」
「だが…………ナターシャが心配だ。」
「セシルとカイルにお任せ下さい。」
「…………子供の時のような吐き気がする……何人くらい居るんだ?令嬢達は。」

 リュカリオンは口元を手で抑える。

「20人は居たな………。」
「兄上、大丈夫ですか?青ざめてる。」
「大丈夫だ………ナターシャが不安になってないといいが……。」
「殿下、今すぐ登城した令嬢達の名を調べます。暴徒と取れるようなら罰します。」
「頼む、宰相調べてくれ。」
「直ちに。」

✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧

「ちょっと!!私達は皇太子妃になった女に会いたいのよ!」
「お祝いぐらい言わせなさいよ!!」

 20人程の令嬢達が、殺気めいて皇太子邸に押し掛けている。
 衛兵を増やしていた為に、直ぐに対処をし、皇太子邸には入らないようには出来てはいたが、身分ある令嬢達を中に入れない事で精一杯だった。
 その令嬢達の父親も登城している者も居るかも分からぬ状態でパニックになっていた。

「何をしている!!」
「衛兵!!女達を皇太子邸に入れずに、女達を捕まえろ!!」

 セシルとカイルが割って入る。
 衛兵達とは違い、身分あるウィンストン公爵の息子2人。
 皇子達とは違う、将来有望な2人が割って入った事で女達は静かになる。

「ここが皇太子邸だと知ってるようだな、お前達。」
「何しに来たか教えてもらおう。嘘偽りを申すなら、罰する事も覚悟してもらおうか。」
「わ、私達は皇太子妃殿下にお祝いを、て………ねぇ、皆様?」
「はい。」
「その割には凄い剣幕だったが?」
「皇太子妃が懐妊した、という噂は何処で聞いた?」

 皇太子邸の傍らの人だかりは、登城している貴族達にも耳に入る。
 令嬢達の父親に知られると、父親達もやって来た。

「何で娘がそこに!!」
「お父様!!」

 令嬢の1人、2人とその場を去ろうと父に縋りに行こうとすると、直ぐ様セシルとカイルに一喝が入る。

「連れて行く事も、去る事も許さん!!」
「我々は皇太子殿下から一任されている!!」
「暴徒と見られる原因が分からぬ内は、令嬢達は邸に返さないからな!!」
「!!」

 ざわ付きが一斉に静寂と化した。
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