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ラメイラの揺らぎ
しおりを挟むラメイラが一生懸命、刺繍をしている。
ナターシャが皇女宮のラメイラの部屋に入っても、アリシアの侍従達が荷物を運び入れて賑やかでも集中しているようだった。
「騒がしいのに、凄い集中力……。」
「ラメイラ様は、集中すると周りきにしませんから。」
「その様ですわね……聞いたと思いますが、上階にアードラ国のアリシア王女が入られました。皇帝陛下はコリン殿下のお相手に、と考えておられるので、タイタス殿下がお好きなラメイラとは寵を競う事はないと思います。くれぐれも侍女同士争いのないようにお願いしますね。」
「はい、こちらも身を寄せている立場ですから、他の侍女達にも気を付けるように話をしております。」
アリシアの侍従、ロバートの言葉を鵜呑みにするつもりはないが、未婚の令嬢を未婚の皇子の妃になるのなら、争いは少ない方がいいのだ。
「出来た!」
「ラメイラ、ご機嫌よう。」
「あ、ナターシャ?え?もうそんな時間?」
「はい。集中してらっしゃいましたね。」
「上手くいかなくて苛々しっぱなしだよ。」
「上階が騒がしいのに、その集中力凄いですわ。」
「あ、今日か!アードラのアリシア王女が入るの。」
「可愛らしい王女様ですわ。10歳だそうですよ。」
「アリシア王女はコリンに、て聞いたが?」
ナターシャはラメイラの前に座り、一つ溜息を付いた。
お腹も重くなり、少しずつだが腰にも負担が掛かっているらしい。
「歳も近いですから、陛下もそのお考えだと思いますよ。」
「うん………コリンであってほしいよ、私今自分の気持ちが分からなくなってるから……。」
「え?分からなくなってる、て………。」
ラメイラは、先程縫っていた刺繍をナターシャに渡しあぐらをかくと、頭を掻く。
「最近、タイタスにときめかないんだ……。あれだけ好きだったのに、タイタスが私に怒ったり揶揄ったり、トーマスやコリンにじゃれ合って、タイタスが引き剥がす事でドキドキしていたし、ロレイラとの事であれだけ泣いたのに、今全くその気持ちが無いんだ。」
「…………では、他の方に気持ちが?」
刺繍を受け取り、一つ一つ確認をしていくナターシャは、刺繍よりラメイラが気になり、なかなかな確認出来てはいない。
「………分からない……だけど、好きになってくれた人の事も考えてもいいかな、て…。」
「…………まさか、トーマス殿下?」
「………う……ん。積極的で私も引くんだけど………。」
ラメイラは顔を赤らめていく。
「トーマス殿下が積極的……。」
ナターシャはもう刺繍等目もくれず、前のめりに聞き出そうと、目が血走る。
「ナターシャ、刺繍見てよ。」
「あ………。」
「上から3番目のコレ、綺麗に出来たと思わないか?」
「…………本当、上達しましたわ、ラメイラ。これなら少々難易度上げても良さそうですわね。」
「あ…………え?まだ上あるの?」
「はい、ありますわ、もう少しこのスティッチ練習します?それなら、今のお話聞けますわ。」
「…………うっ……。」
ラメイラが話を反らした事を気付くナターシャの方が一枚上だった。
「難易度上げます……。」
「あら、残念。トーマス殿下からのキスが満更では無かったのですね。」
「!!」
「ラメイラは、積極的な男性の方がいいのでしょうか。タイタス殿下は積極的な方では無いようですし……。」
「どうしていいか分かんないや……。」
「………告白してみたらどうですか?」
「無理無理無理無理無理無理!!」
ラメイラは赤らめていた顔を青ざめていく。
「好きです、と言ってみると案外自分の気持ちに気がついたりしますわよ?」
「そ、そうなの?」
「わたくしがそうでしたから。」
お腹を擦りながら、語るナターシャは既に母の顔。
「ト、トーマスに?」
「いえ、タイタス殿下に。」
「何で!?」
「トーマス殿下に今のお気持ち伝えたら、暴走しますわよ?…………ラメイラはまだ確かめたいのですよね?タイタス殿下に告白し、タイタス殿下が受入れてくれるかくれないか、ですけど、その時にドキドキしなければもう気持ちはそこにないですわ。」
「そうなのか?」
「……………わたくし、リュカ殿下に気持ちをお伝えした時………ときめきましたもの……それは今も変わらないですわ。好きだなぁ、と思うと触れたくなって、リュカ殿下がわたくしを求めたら、わたくしも応えたくなるのです…………だから、この子が居るのですもの。」
「……………な、なれる……かな……。」
「ラメイラは素敵な恋をしてると思ってますわ、わたくしラメイラと義姉妹になりたい。」
「………うん!私もナターシャと姉妹になりたい!」
ラメイラは、ナターシャの横に座り直し抱き着いた。
友人として、末永く付き合いたい相手が姉妹なら尚の事嬉しかった。
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