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お行儀見習い【ナターシャ】③
しおりを挟む「まぁ、アリシア様。」
「ナターシャお姉様、わたくしも来ちゃいましたが宜しいですか?」
「えぇ、大歓迎ですわ。」
ナターシャの侍女達は、可愛らしいアリシアに目を奪われるが、直ぐに唖然とする。
「ロバート、いい気味!しつこいし、皇太子邸の前で、ピーチクパーチクと小言吐いて衛兵達に迷惑掛けましたのよ!あぁ!もう!早くアードラ帰れ!!」
「…………。」
「セリナ、ライア…………皆……内緒でね。」
「は、はい。」
リビングのソファに座り、ナターシャがラメイラに課した宿題を見ている。
「ラメイラお姉様………刺繍下手。」
「…………アリシア、分かってるから言わないでくれ。」
「アリシア様、これでも上達しましたのよ?ね、ラメイラ。」
「…………ナターシャも酷いよ、その言い方……。」
「ふふふ………。」
テーブルに置いてある、ナターシャの刺繍を、アリシアは見つける。
小さなベビー服に刺繍を縫っていたナターシャ。
「わぁ…………可愛い。………ナターシャお姉様凄い!わたくしこんなに上手に縫えないです!」
アリシアも刺繍が好きな様で、自分の縫った刺繍をナターシャに見せた。
「まぁ………わたくしこの縫い柄知りませんわ………アリシア様、この縫い柄教えて下さいませ。」
「わたくしも練習中だから……でも、一緒に刺繍したい!」
「いいなぁ……共通の趣味があって……。私はナターシャと共通の趣味ないぞ?」
「ラメイラは、共通の趣味がわたくしと無くてもお友達なのは変わりませんわ。」
「わたくしもお友達!!」
アリシアがラメイラに抱き着く。
サバサバしたラメイラの性格と、毒付く物言いのアリシアは気が合うとナターシャも思っている。
「賑やかになりましたわ。妃候補が2人になって。」
「ナターシャお姉様は、皇太子殿下一筋でしたの?」
「わたくしは違いますわ。許婚は殿下方4人でしたし、望まれて皇子宮で殿下方から王宮の事を教わりましたの。何方を選んでもいい、と言われ、皇太子殿下をお慕いするようになったのですわ。」
「ラメイラお姉様は?」
「私は………初恋の皇子の妃の座を、と来たけど、この前振られた。」
「え!!」
声をあげたナターシャ。
アリシアにはその意味は分からない。
「タイタス殿下………まだ……。」
「うん、まだナターシャを忘れられないんだって。」
「そうですか……。」
「聞きた~い!!ナターシャお姉様!皇太子殿下だけでなく、タイタス殿下迄虜にしたんですの?」
前のめりになるアリシア。
「ナターシャが虜にしたのは俺とタイタスだけではないが?」
「リュカ………お帰りなさいませ。」
ナターシャは重たい腰を庇いながら、リュカリオンに近付き抱き締め、帰りを歓迎すると、リュカリオンはそのまま、ナターシャにキスを贈った。
ラメイラもアリシアもちょっと照れている。
「皇太子邸前に、アードラの侍従が居たのが気になって来てみたら、アリシア王女もご一緒とは。」
アリシアはソファから立ち上がり、リュカリオンに挨拶をする。
「リュカリオン皇太子殿下、ご機嫌よう。皇太子邸前に陣取るのは、アードラ国アルフレッド王子の侍従ロバート。彼が無礼な事をしている事は承知しております。申し訳ありません。」
「アリシア王女、皇太子邸に入る時、声を掛けたから承知しています。彼も入室許可をしてもいいのだが……。」
「いいえ!!絶対に絶対に要りません!!わたくしの憩いの場をロバートに取られたくありません!!」
「……………。」
リュカリオンもアリシアの言葉に驚き、唖然としている。
ナターシャが、リュカリオンの耳元にコソッと囁くと、リュカリオンは納得したような表情をした。
「なるほど……アリシア王女、それなら許可を出さないでおこう。妃の居るこの皇太子邸を憩いの場にお使い下さい。………ナターシャ、着替えてくるよ。」
「はい。」
ナターシャは笑顔でリュカリオンを送り出すと、ソファに戻ってくる。
「わぁ………ナターシャお姉様と皇太子殿下、絵になりますわぁ……。」
「ナターシャ、何を耳打ちしたんだ?リュカに。」
「わたくしはただ、『監視されている気がして嫌なんですって』と言っただけですわ。全部言わなくとも、理解してくれていると思ってますから。」
「わ、私もそうなれかな……伴侶と。」
「ラメイラ、トーマス殿下と前向きに考えますの?」
「うん……トーマスに望まれてるなら、留学期間ギリギリ迄考えたいな、て。」
あぐらをかき、頭を毟り搔くラメイラに、いつもの姿だと知っているナターシャは平然と聞いた。
「ラメイラお姉様………凄い格好……。」
「アリシア様は真似しなくて良いのですよ?」
「大丈夫です、わたくしはそれは真似しません。」
きっぱりと言い切るアリシアだった。
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