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馬車の中で
しおりを挟む「んっ……ちょ……ト、トーマッ!!」
「駄目…………離さない。」
馬車に乗り込んでから、ずっと唇を重ねてくるトーマスから逃れようとするラメイラ。
だが、トーマスのキスは気持ちよく、嫌な気もしないのだから、ラメイラの抵抗する力も弱い。
「………蕩けた顔してる……。」
「……言うなぁ……。」
キスを止め、トーマスに抱き締められている胸と腕に身を委ねるラメイラ。
「こんなに可愛い顔するとはねぇ……。もっと早く気付いていれば、ナターシャに揺らぐ事無かったのに……。」
「あ、あぁ、確か許婚だったっけ。」
「そう、早く気付いていれば、兄上と無駄な奪い合いもしなかった。」
少し後悔したトーマスの物言いに、ラメイラは話を続ける。
「いいじゃないか、リュカがナターシャと婚約した、と聞いたから、私は焦ってレングストンに来たんだし。その知らせが無かったら私はレングストンに行く事も無かったと思う。」
「…………そっか……そうだな。」
遅くとも早くとも、すれ違って出会って人は恋をするのだ。
それが、ラメイラとトーマスは、この時だっただけ。
「それで?俺はもっとラメイラから愛が欲しいんだが………いつくれる?」
「……あ、愛……って……。」
色香のある話をラメイラにすると直ぐに赤くなるのを見るのが楽しむトーマス。
「2週間の長旅なんだ、俺はその間仕事も無いからラメイラを味わうつもりでね、ラメイラから俺を求めるような言葉とか行為を俺は欲しい。」
「だ、誰がっ!言わないもん!…………恥ずかしい………から。」
「じゃあ、練習しようか………俺の前以外で言ってとは言わないし、今のラメイラにはそんなハードル高いのは無理だから、俺だけに言ってくれたらいい、ほら今2人きりだし?」
ラメイラの顎を持ったトーマスは自分の目線に合わせる。
「!!…………む、無理……。」
「嫌なら逃げるだろ?ラメイラは………逃げないから、俺は自信持って口説ける。言わないともっと触ろうかな………ボタン外してラメイラの胸に手を滑り入れ………。」
ゾクッ。
「意地悪だ………トーマス……。」
「妃にするんだから、ラメイラの全部貰うけど?ラメイラの身体を隅々を暴いて、感度を最高潮にさせてから、俺の…………ぐっ!」
ラメイラがトーマスの口を手で塞ぐ。
「………ね、閨で何をするのも知ってるからっ!………想像………させないで……。」
「濡れるから?」
「!!」
「今確かめようか?」
「えっ!!」
「次の街に着くのは夜になる。それ迄休憩は取るがそれ以外は馬車の中の事は干渉するな、と言ってあるから、気にしなくていい。」
「…………やっ………やだってば!!」
トーマスの手がラメイラの太腿を触る。
徐々に上に上がるトーマスの手。
「恥ずかしがるラメイラも可愛いけど、やっぱり口にしてほしいんだよなぁ。」
「…………す…………す……。」
「…………。」
「好き………じゃないからっ!!」
「ブッ……はははははは!!」
馬車内に響くトーマスの笑い声。
「そんな、真っ赤な顔で涙目で、緊張して身体強張らせて『好きじゃない』て?………俺にはそんな姿が『好き』て言ってるようにしか見えないよ………ははははは………もう参った………可愛い過ぎる、ラメイラ。」
「………だから言いたくないんだぁ!!」
ラメイラはトーマスの腕を払い除け、馬車のドアの端っこギリギリ迄逃げる。
「危ないぞ?ドアには鍵してあるが、落ちないとも限らない。」
「だって……トーマスがいつもと違う………から………。」
「うん、そりゃ変わるよ……好きだと思った相手を口説いてるんだから。今迄、ラメイラに口説いてなかったんだしね。」
トーマスは徐々にラメイラとの距離を詰める。
「…………来るなぁ……ドキドキするからっ!」
「俺もドキドキしてるけど?あんまり拒絶されると、ちょっと凹むから頼むから気付いてくれ、ラメイラ。」
ラメイラの腕を取り、トーマスは心臓に手を当てさせる。
ラメイラ同様、鼓動が早いトーマス。
表情があまり変わらないトーマスが少し照れているのかほんのり顔が赤い。
「…………ごめん……トーマス……。」
「………抱き締めさせてくれたら許す。」
「……さ、触るなよ!」
「………分かった、今は触らない。」
「今?」
「………ラメイラのペースで待ってたら、俺の身が保たない。」
「…………き、今日……は駄目。」
「キスは?」
「……………キス……ぐらい……なら。」
真っ赤な顔は全く戻らないラメイラは、トーマスに近付くと、トーマスは膝の上に座らせ抱き締めた。
「ト、トーマス!!」
「抱き締めるのとキスはいいんだろ?」
許可した手前、もう後戻りは出来なくなったラメイラ。
これからの2週間、ドキドキし過ぎて、自分はどうなってしまうのか、と思ったラメイラだった。
(………心臓………破裂しないよな………。)
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