59 / 100
ウェールズ公爵
しおりを挟む夕刻着いた街の中心部に一際大きな邸があった。
ウェールズ領地、ウェールズ公爵家。
皇子達の叔父が管理している地域。
レングストンは良質なぶどうやりんごが取れる地域で、ワインが名産の地域だと、以前リュカリオンに聞いた事があったラメイラ。
「この地域のワインは有名なのだろ?」
「あぁ、良質のぶどうが取れるから、領地の民は、叔父上の指示の元、ぶどうやりんごの農地を持つ者が殆どだ。レングストンでも裕福な家庭が多い。」
「いい街だな。活気がある。」
「敷地内にもぶどう畑があるらしい。」
「見れるかな……。」
「どうかな………ほら、あの邸だ。」
馬車からはぶどう畑が見え、その間を馬車が通って行く。
ぶどう収穫時期には少しズレていたらしく、馬車からはぶどうの実があるかは分からなかった。
「残念だな、ぶどうが見られない。」
「品種によっては、見れるかもしれないぞ?まだ移動するしな。」
「楽しみにしとく。」
ガタン。
「着いたみたいだな、降りるぞ。」
「うん。」
馬車が止まり、トーマスが先に降りる。
地面に降りたトーマスが、ラメイラに手を差し伸べた為、ラメイラもドレスの裾を気にしながら、差し伸べられた手を添え降りた。
「トーマス!」
邸の中から、皇帝と面差しが似た男が出て来た。
「叔父上、お久しぶりです。」
「元気そうで何よりだ、リュカからのめでたい話と皇女誕生から更にお前迄めでたい話が出るとはな!結婚が決まったようで私も嬉しいぞ。」
トーマスはウェールズ公爵とのハグの後、ラメイラを紹介する。
「叔父上、彼女がトリスタン公国公女、ラメイラです。」
「はじめまして、ラメイラと申します。」
「はじめまして、ラメイラ公女。現皇帝の弟、カノープス・ウェールズと申します。」
「性はレングストンじゃないんですね。」
握手をし、迎えてくれたウェールズ公爵に聞いたラメイラ。
すると、トーマスが説明する。
「公爵家は全員レングストンの名が付いてるよ。ただ公爵の爵位を持つ物が多いから、領地の地名で公爵の名を呼んでいる。」
「じゃあ、ロレイラは?」
「あぁ、あそこは王都を離れず、政治の中枢に居る公爵は、領地の名は語らない。」
「ナターシャのウィンストン公爵は?」
「宰相は領地があるんだけど、宰相の仕事が忙しく、宰相は代理で管理させている。多分、宰相がセシルに代替わりしたら、ウィンストン領に入ると思うけどね、カイルと一緒に。カイルが領地を継ぎ、セシルが宰相になるのが決まってるから。ウェールズ領から、北の領地、ボルゾイとの国境付近にあるよ。」
「あぁ、遊牧民が多い?……。」
「そうそう、勉強してるじゃないか、ラメイラ。」
「………記憶力手繰りよせてやっとだよ……。」
「立ち話になってしまったな、さぁ入ってくれ、部屋に案内させる。夕食は一緒に食べよう、そろそろ出来る時間だ。」
「ありがとうございます、叔父上。」
邸内はこじんまりとした雰囲気で、落ち着いた色合いの内装。
「トーマス殿下、ようこそウェールズ公爵別邸へ。」
「ローラ夫人、元気そうだね。」
「ご婚約されるそうで、お祝い申し上げます。」
「ありがとう、彼女がラメイラ、トリスタン公国公女だ。ラメイラ、彼女はこの別邸を管理されている。」
「はじめまして、ラメイラと申します。」
「ラメイラ様、敬語は要りませんわ、私は貴族ではありませんから。」
「え?ウェールズ公爵の妃じゃ………。」
上品な貴婦人のローラを見て、ウェールズ公爵の妃だと思ったラメイラだったのだが違うらしい。
「彼女は違う違う、この別邸内のワインを作る職人の妻だよ。普段はワイン作りやぶどうの管理をしていて、叔父上が別邸に来る時に叔父上の身の回りの世話をするんだ。」
「奥様は本邸に居られますわ。」
「失礼しました。」
「いいえ、普段はこんなに綺麗な格好しませんわ、今日は旦那様が来られるので、この様な格好を…。さぁ、お疲れでしょう、夕食時迄お部屋でお寛ぎ下さい。またお呼びに伺いますので。」
ローラに部屋を案内され、ラメイラは一安心する。
ラメイラとトーマスが別の部屋を案内されたのだ。
「やった、何かホッとしたぁ!」
「ラメイラ様、身支度を整えましょう。夕食に招待されてるのですから。」
「あ、そうだな。」
部屋を一通り見回すと、廊下側ではない方向にドアが見えた。
「あっちはバスルームかな。」
「はい、バスルームを間にした向こう側がトーマス殿下のお部屋に繋がるので、行き来出来ますよ。」
「え!!」
「廊下から移動する事なく、行き来出来て、人の目が入りにくく画期的なお部屋ですね。」
「……………そ、そうだな………。」
ラメイラはあのドアを塞ぎたい、と思ったのは言うまでもない。
1
あなたにおすすめの小説
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
距離感ゼロ〜副社長と私の恋の攻防戦〜
葉月 まい
恋愛
「どうするつもりだ?」
そう言ってグッと肩を抱いてくる
「人肌が心地良くてよく眠れた」
いやいや、私は抱き枕ですか!?
近い、とにかく近いんですって!
グイグイ迫ってくる副社長と
仕事一筋の秘書の
恋の攻防戦、スタート!
✼••┈•• ♡ 登場人物 ♡••┈••✼
里見 芹奈(27歳) …神蔵不動産 社長秘書
神蔵 翔(32歳) …神蔵不動産 副社長
社長秘書の芹奈は、パーティーで社長をかばい
ドレスにワインをかけられる。
それに気づいた副社長の翔は
芹奈の肩を抱き寄せてホテルの部屋へ。
海外から帰国したばかりの翔は
何をするにもとにかく近い!
仕事一筋の芹奈は
そんな翔に戸惑うばかりで……
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる