私が欲しいのはこの皇子!【完結】

Lynx🐈‍⬛

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ウェールズ公爵

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 夕刻着いた街の中心部に一際大きな邸があった。
 ウェールズ領地、ウェールズ公爵家。
 皇子達の叔父が管理している地域。
 レングストンは良質なぶどうやりんごが取れる地域で、ワインが名産の地域だと、以前リュカリオンに聞いた事があったラメイラ。

「この地域のワインは有名なのだろ?」
「あぁ、良質のぶどうが取れるから、領地の民は、叔父上の指示の元、ぶどうやりんごの農地を持つ者が殆どだ。レングストンでも裕福な家庭が多い。」
「いい街だな。活気がある。」
「敷地内にもぶどう畑があるらしい。」
「見れるかな……。」
「どうかな………ほら、あの邸だ。」

 馬車からはぶどう畑が見え、その間を馬車が通って行く。
 ぶどう収穫時期には少しズレていたらしく、馬車からはぶどうの実があるかは分からなかった。

「残念だな、ぶどうが見られない。」
「品種によっては、見れるかもしれないぞ?まだ移動するしな。」
「楽しみにしとく。」

 ガタン。

「着いたみたいだな、降りるぞ。」
「うん。」

 馬車が止まり、トーマスが先に降りる。
 地面に降りたトーマスが、ラメイラに手を差し伸べた為、ラメイラもドレスの裾を気にしながら、差し伸べられた手を添え降りた。

「トーマス!」

 邸の中から、皇帝と面差しが似た男が出て来た。

「叔父上、お久しぶりです。」
「元気そうで何よりだ、リュカからのめでたい話と皇女誕生から更にお前迄めでたい話が出るとはな!結婚が決まったようで私も嬉しいぞ。」

 トーマスはウェールズ公爵とのハグの後、ラメイラを紹介する。

「叔父上、彼女がトリスタン公国公女、ラメイラです。」
「はじめまして、ラメイラと申します。」
「はじめまして、ラメイラ公女。現皇帝の弟、カノープス・ウェールズと申します。」
「性はレングストンじゃないんですね。」

 握手をし、迎えてくれたウェールズ公爵に聞いたラメイラ。
 すると、トーマスが説明する。

「公爵家は全員レングストンの名が付いてるよ。ただ公爵の爵位を持つ物が多いから、領地の地名で公爵の名を呼んでいる。」
「じゃあ、ロレイラは?」
「あぁ、あそこは王都を離れず、政治の中枢に居る公爵は、領地の名は語らない。」
「ナターシャのウィンストン公爵は?」
「宰相は領地があるんだけど、宰相の仕事が忙しく、宰相は代理で管理させている。多分、宰相がセシルに代替わりしたら、ウィンストン領に入ると思うけどね、カイルと一緒に。カイルが領地を継ぎ、セシルが宰相になるのが決まってるから。ウェールズ領から、北の領地、ボルゾイとの国境付近にあるよ。」
「あぁ、遊牧民が多い?……。」
「そうそう、勉強してるじゃないか、ラメイラ。」
「………記憶力手繰りよせてやっとだよ……。」
「立ち話になってしまったな、さぁ入ってくれ、部屋に案内させる。夕食は一緒に食べよう、そろそろ出来る時間だ。」
「ありがとうございます、叔父上。」

 邸内はこじんまりとした雰囲気で、落ち着いた色合いの内装。

「トーマス殿下、ようこそウェールズ公爵別邸へ。」
「ローラ夫人、元気そうだね。」
「ご婚約されるそうで、お祝い申し上げます。」
「ありがとう、彼女がラメイラ、トリスタン公国公女だ。ラメイラ、彼女はこの別邸を管理されている。」
「はじめまして、ラメイラと申します。」
「ラメイラ様、敬語は要りませんわ、私は貴族ではありませんから。」
「え?ウェールズ公爵の妃じゃ………。」

 上品な貴婦人のローラを見て、ウェールズ公爵の妃だと思ったラメイラだったのだが違うらしい。

「彼女は違う違う、この別邸内のワインを作る職人の妻だよ。普段はワイン作りやぶどうの管理をしていて、叔父上が別邸に来る時に叔父上の身の回りの世話をするんだ。」
「奥様は本邸に居られますわ。」
「失礼しました。」
「いいえ、普段はこんなに綺麗な格好しませんわ、今日は旦那様が来られるので、この様な格好を…。さぁ、お疲れでしょう、夕食時迄お部屋でお寛ぎ下さい。またお呼びに伺いますので。」

 ローラに部屋を案内され、ラメイラは一安心する。
 ラメイラとトーマスが別の部屋を案内されたのだ。

「やった、何かホッとしたぁ!」
「ラメイラ様、身支度を整えましょう。夕食に招待されてるのですから。」
「あ、そうだな。」

 部屋を一通り見回すと、廊下側ではない方向にドアが見えた。

「あっちはバスルームかな。」
「はい、バスルームを間にした向こう側がトーマス殿下のお部屋に繋がるので、行き来出来ますよ。」
「え!!」
「廊下から移動する事なく、行き来出来て、人の目が入りにくく画期的なお部屋ですね。」
「……………そ、そうだな………。」

 ラメイラはあのドアを塞ぎたい、と思ったのは言うまでもない。
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