61 / 100
トリスタンの閨
しおりを挟むベッドの脇に座り、トーマスを待つラメイラ。
直ぐに閨に持ち込まれるか分からなかった為、居場所が分からない。
ただ、バスルームのドアを背にしたかった。
目線が合うとどうしていいか分からないからだった。
カチャ………パタン。
「!!」
トーマスがバスルームから出た気配。
「ラメイラ………叔父上からエドワード公子の事を聞いたよ。どうも相手がタイタスじゃないから怪訝に思ってるらしい。」
「………そう思う。トリスタンの国民は弱い男を認めないから、剣術に秀でているタイタスなら、て思ってる筈。だって…………トーマスは……。」
「弱い、て?」
「……………。」
「はははは!」
トーマスはラメイラの横に座ると、肩を抱く。
「トーマス?」
「俺と兄上はタイタスに負けた事ないけど?」
「へ?」
「あいつは武官として有名で、国内外で勝てる者が居ない、と迄と言われてるが、それは兵士達の中だけだ。一年に一回、軍内で模擬戦をするんだが、その優勝者がタイタスなだけ。兄上と俺は出ないが、タイタスは俺達に勝てた事は無いんだよ。俺と兄上は五分五分なんだけどね。」
「…………。」
「あいつ、単純なんだよ、癖が分かると隙だらけで、そこ突けば勝てるんだ。それに力任せの剣術だから頭使ってないしな。」
「でも、相手がタイタスだからだろ?」
「まぁ、それはそうだが………剣を交えろ、と言われたら従うしかないじゃないか。」
「………従う必要ないよ。」
「大丈夫、手加減するから。」
「そっちじゃない!!」
ラメイラは立ち上がり、トーマスの方を向く。
その弾みでトーマスの上着が床に落ち、ラメイラの夜着が露わになった。
「兄上は、公国の将軍なんだ!剣術だけじゃない、他の武器も器用に熟す……トーマスに怪我させたくない………。」
「……………そんな、唆られる夜着着て………。」
トーマスは手を伸ばし、ラメイラの腰を抱き寄せた。
ラメイラの胸に顔を埋めるトーマス。
「ト、トーマス………。」
「じゃあ、ラメイラから力貰えないか。最後迄はまだしないからまだ安心してていい。俺はトリスタンの閨のしきたりがあるのは知ってるから……。」
「!!………知ってるのか?」
「知らないと思ってたのか?だから我慢してるのに………トリスタンに着くまで、ラメイラに免疫付けようとしてるんだがな………見られなきゃならないだろ?」
「う、うん………。」
「閨が怖いのか、見られる事が嫌なのかが分からなかったから、探ってはいたんだよ。」
トリスタンには閨のしきたりがあった。
それは、結婚を承諾された男女が、その両親や成人した兄弟姉妹に、閨の行為を確認をするというもの。
「兄上の時に見たんだ………。3人同時に妻を娶ったんだけど、私まだ成人したばかりで、閨の事その時見て………兄上は道具使ってたから………それで………。」
「見た時に抵抗あったから、見られる事に抵抗するのか……。」
「だって、やだよ!兄上の妻達だって、兄上とだけでしたかったんだよ、始まる前に兄上詰め寄られてたのも見たから。」
「見られて好きな人は極少数だからな………。」
「…………ト、トーマスは見られて平気なのか?」
怯えながら、ラメイラはトーマスに問う。
「俺?………俺は独り占めしたいから、人に見せたいとは思わないよ。ラメイラを愛でていいのは俺だけ。終始見られないようには考えてるから、その辺りは任せてくれ。」
「…………何とかなるのか?」
「それは、ラメイラ次第。」
トーマスはそう言うと、ラメイラの夜着に止めていた紐を解く。
解いていた、というのが正しいだろう。
腰を抱き締めていた腕に力が入りラメイラを押し倒したのだが、夜着をその時脱がしていて、最後の紐を解いた直後だったのだ。
「ラメイラ………全身隈なく愛撫させて。感度を高めて、俺ナシでは駄目な身体にしてあげるから。」
「な、な、な………に………言って……。」
「俺の目と口と手で、直前迄ギリギリ迫って、俺が欲しい、て言わせてやる。」
ラメイラの全身が再び火照るのだった。
1
あなたにおすすめの小説
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
距離感ゼロ〜副社長と私の恋の攻防戦〜
葉月 まい
恋愛
「どうするつもりだ?」
そう言ってグッと肩を抱いてくる
「人肌が心地良くてよく眠れた」
いやいや、私は抱き枕ですか!?
近い、とにかく近いんですって!
グイグイ迫ってくる副社長と
仕事一筋の秘書の
恋の攻防戦、スタート!
✼••┈•• ♡ 登場人物 ♡••┈••✼
里見 芹奈(27歳) …神蔵不動産 社長秘書
神蔵 翔(32歳) …神蔵不動産 副社長
社長秘書の芹奈は、パーティーで社長をかばい
ドレスにワインをかけられる。
それに気づいた副社長の翔は
芹奈の肩を抱き寄せてホテルの部屋へ。
海外から帰国したばかりの翔は
何をするにもとにかく近い!
仕事一筋の芹奈は
そんな翔に戸惑うばかりで……
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる