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対決
しおりを挟む中庭でエドワードがトーマスに木剣を渡す。
「盾は居るか?」
「念の為、盾と木剣をもう1本。」
「ほぅ、双剣でもするのか?…………ふふふ。」
エドワードから見たトーマスは背の高い華奢な男にしか見えない。
「トーマス!!………兄上!!トーマスに何をさせるんだ!!」
「剣術を見たいと言ったのは私だ、ラメイラ。」
「!!父上!!」
「………見違えたな、ラメイラ………。」
「父上!止めさせてくれ!!トーマスは文官なんだぞ!!」
「トーマス皇子がやると言ったのだぞ?」
「はっ!トーマス!!」
ラメイラはトーマスに駆け寄る。
「何でまた無茶な事を!断ればいいじゃないか!!」
「いやぁ、義父上と義兄上が、義兄上に勝てなきゃ、結婚を許可しない、と言うからな。ま、想像通りだけど。」
「だからって!」
「あ、ちょっと持っててくれ、ラメイラ。」
「え!?」
トーマスは上着を脱ぐのに、持っていた木剣をラメイラに渡し、上着を脱ぐとその上着を渡す。
更に、シャツを腕まくり迄して準備万端だ。
(…………この腕………。)
バネの様な無駄な筋肉が無い腕のトーマス。
ラメイラはトーマスを見ると、トーマスはラメイラを見ていた。
「勝てたら、ご褒美くれよ?ラメイラ。」
「!!………う、うん……頑張ってね。」
剣を渡すと、トーマスは装備をする。
(あれ?剣2本渡したよね?腰に装備してない?…………!!)
「ラメイラ、危ないから離れて。」
「…………あ、はい!」
ラメイラは父の横に並ぶと、期待感を忍ばせていた。
「何だ?ラメイラ………そんなに愛おしいか?あの男が。」
「うん………大切な人だ。」
上着を抱き締め、トーマスの香水の残り香迄愛おしく思うラメイラ。
(………全く………エドではなく私が戦っておけば良かった……。)
剣を構えるトーマスとエドワード。
「いつでもいいぜ、来いよ。」
「………では、遠慮なく………!!」
「なかなか、いいひと振りじゃないか………。」
振りかぶっていくトーマスを軽く受け止めるエドワード。
(………やはり、筋肉に頼ってるな……。)
トーマスは分析力で戦う術を見出す。
ガッ!ザッ!ザザッ!
「くっ!!」
「ほらほら、軟弱な皇子様よ、防戦ばっかりじゃないか!!」
ガシッ!
「!!」
ザザザッ!!
「トーマス!!」
「ぐっ!!」
トーマスが跪き、盾と剣で防御をしたが、エドワードが倒れ込む。
「兄上?」
「ほぉ………エドを倒すとは。」
「トーマス!!」
ラメイラはトーマスに駆け寄ると、左手に器用に剣と盾を持ち、右手は刃の方を持っていた。
「どうやって倒したんだ?」
「騙しただけだ。2本の剣を1本に見せかけて、2方向から鳩尾を打っただけ。わざと跪いてね。」
「…………。」
「力では負けるから、隙だらけの鳩尾を1発。」
「負けるとは………。」
「俺より兄上の方が腹黒いので、兄上とやっても負けるかもしれませんよ、タイタスには勝てるでしょうが。」
「気に入った!!ラメイラ、いい男を落としたじゃないか!!今日は祝いだ!!盛大に祝おう!!」
「その前に、少し陛下とエドワード公子にお話が………。」
「トーマス?」
「…………分かった、応接室で聞こう。」
真面目な顔をしたトーマスに、国王とエドワードが応じる。
「ラメイラ……また後で。」
「…………何なんだ!!」
ポツンと残されたラメイラ。
トーマスが預けていた上着はまだラメイラが持っていた。
置いて行かれた寂しさから、上着に顔を埋める。
残り香ではどうしようもない寂しさはもう埋まらなかった。
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