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ウエディングドレスを前に
しおりを挟む皇女宮に戻って来たラメイラは、既に部屋に来ていた皇妃とナターシャに驚いた。
「あぁ!申し訳ありません!皇妃様!お待たせしてしまいました!」
本来なら来訪を迎えなければならないラメイラだったのだが、城門から皇女宮迄に戻る迄時間が掛かってしまったようだ。
皇妃とナターシャは優雅にお茶を楽しんでいて、ナターシャが連れて来た愛娘ヴィオレットを皇妃が抱き、可愛い初孫のヴィオレットに顔を綻ばせていた。
「ラメイラ、お見送りは出来ましたの?」
ナターシャがおそらく遅れて来るだろうと、皇妃の待ち時間を紛らわせる為に連れて来たようだ。
「ラメイラ妃、お兄様と弟君と会う機会が減ってしまいますから、致し方無い事ですよ。その分、わたくしは可愛いヴィオに会えるのですから、気になさらないで。ナターシャ妃の機転にも感謝ですわ。」
「ラメイラ様、さぁ、お着替えなさって下さいませ。」
「あ、そうだった!直ぐに着替えます!」
ラメイラが着替えに入ると、再び皇妃とナターシャは談話を始めた。
「ナターシャ妃は、ラメイラ妃と仲はよろしいの?」
「はい、同じ歳ですし、彼女の裏表無い性格に、わたくしも気兼ね無くお付き合い出来る方ですわ。」
「それは良かったわ……仲違いするようだと、兄弟仲も悪くなる事もありますからね。」
「そうなのですか?」
「………わたくしの身の上ですけどね、わたくしにも兄が2人居りまして、兄の妻同士が仲が悪くて、お互い疎遠になった、と聞き及んでおりますわ。夜会で顔を合わせても、お互いに見向きも挨拶もしてませんから。」
ボヤキに近い皇妃の愚痴。
夜会で久々に見る兄達の様子を見て嘆いていたのだろう。
「お義母様のご実家の侯爵家は確か……ターセル家………でしたよね?」
「あらまぁ、そこ迄ご存知だったの?………そう、ターセル家ですわ。時折会議中でもいざこざがあるとか聞くと、会議を仕切るトーマスが止めに入るぐらいだと耳に入りますわ。なので、ナターシャ妃もラメイラ妃も、仲違いはしないようにね。」
「わたくし達は大丈夫だと思います。わたくしはラメイラが大好きですから。」
「ナターシャ!私もナターシャの事大好きだからな!」
着替えているラメイラも聞こえていたのだろう、慌てるように声を発すると、皇妃がクスクスと笑い出した。
「あなた達は大丈夫ね。なかなか3人でお話出来なかったですけど、トーマスとラメイラ妃の結婚式が終わったら、皆でお茶をしましょう。ナターシャ妃のお母様、エマも呼んで。」
「いいんですか?」
「えぇ、都合が付けば呼べますよ。エマもヴィオに会いたいでしょうしね。」
ラメイラがドレスを試着して出て来ると、ナターシャは皇妃の申し出に目を輝かせていた。
なかなか会えない実母との再会を喜んでいる。
その顔はラメイラにも嬉しいものだった。
「お待たせしました。ど、如何でしょう?」
ラメイラがゆっくり2人の前に姿を表した。
細身のラメイラのドレスは肩を出し、コルセットも必要の無いぐらいの細いラインのドレス姿で現れる。
腕は肘まで掛かる手袋をし、胸元はアクセサリーも無い為寂しいが、ラメイラの美しさを際立てる肌の白さとドレスの白さが合っていた。
髪もレングストンに来てから大分長くなり、肩下迄無造作に伸びた髪は結婚式前には切り揃える予定にしている。
「………き、綺麗…………。」
「まぁ!ラメイラ妃は背が高いから、そのラインのドレスは本当によく似合いますわ!どうしましょう、その美しさに合うネックレスとティアラ、ピアスはあるのかしら!さぁ!時間が無いわ!マーニャ!職人達を呼んで頂戴!結婚式迄日は無いわ!」
「は、はい!」
皇妃がラメイラの姿に目を奪われ、ナターシャの時より躍起になっていたのは言うまでもなく、ナターシャは驚いたのだった。
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