22 / 45
21
しおりを挟む晄に連れられた場所は一等地のタワマンの最上階だった。しかも、目と鼻の先には、晄が働くホテルが見えている。
「す、凄い………」
「俺を誰だと思ってる」
晄が誰であろうとも、タワマンの最上階に住む事自体凄いのだ。
「や、やっぱり…………私を帰らせて下さい………」
「駄目だ…………腹も減ってんじゃないのか?ケータリングを呼んで作らせた………フレンチは好きか?」
「……………食欲……無いです……気後れしちゃって………それに……今日色々あり過ぎて……」
「だからこそ、美味いもんを食うんだろうが………来い、冷める」
僅かな時間で作らせる権力がある事も凄い。恐らく、自身のホテルからシェフを呼び、作らせたに違いない。実際にキッチンに立つのは、シェフ姿の男だ。
「では、支配人…………私はこれで失礼致します」
「あぁ、ありがとう………すまないな、急に頼んで………ボーナスは弾む」
「あはは…………それでこそ、貴方に付いて行くんですよ………こちらこそ報酬は嬉しいですからね」
「ホテル迄、送らせる………下の運転手に伝えてあるから乗ると良い」
「ありがとうございます」
テーブルに並べられたフルコースはどの皿も食欲が唆られるが、この後の事を思えば食べる気にはならなかった。
「食べないのか?」
「……………食欲……湧かなくて……」
「飯、食っとかないと後がキツいぞ…………体力が持たん」
「っ!」
まるで肉食獣を見ている様な勢いで、ステーキを口にする晄に、恐怖しかない。ミディアムレアに焼かれたステーキは、フォアグラだろうか一緒に口に運ばれていて、普段の麗禾ならフォアグラとステーキと一緒に食べるロッシーニ風ステーキは喜んで食べただろう。トリュフの香りもまた絶品に違いないが、とても口にする気分でもなかった。
「わ………私………嫌です………から……あ、貴方と………その………」
「はっきり言えば良い………セックスってよ」
「っ!…………わ、分かってるなら………女に手を上げるのと一緒なんですよ!」
「は?…………セックスは快楽だろうが………暴力は痛み…………セックスで痛みを伴うのは処女膜破る時や濡れてない時…………あとはSMプレイぐらいだ…………お前がSMに興味あるなら、付き合ってやるが?」
「っ!…………し、処女なんですから、SMに興味なんて無いですよ!よく知りませんし!」
「知らないなら教えてやる。セックス中にお前がSなのかMなのか………体感すりゃ分かるがな………因みに俺はSだ………ノーマルもアブノーマルも付き合ってやれる………だが、俺はSなんで、攻め専門だと思え…………弑逆性を唆りそうなら、加減出来るか分からねぇな」
「ひ、卑猥過ぎます!き、聞かれても平気なんですか!」
部下達をドアに固めさせ、麗禾を逃がす気も無さそうな晄に、何故か榊は給餌するという中で、性事情の話を平気で口にする晄が信じられない。
ナーバスになっても良い事なのに、口に出来る事に、マナーもモラルも求められないだろう。
「全然…………あいつ等だって、セックスぐらい経験してる。卑猥だと思わねぇ……そうだろ?榊」
「特には思いません。学生の保健体育で、セックスの話を聞くのは、お嬢もあった筈です」
「そうそう………ち◯ぽをま◯こに突っ込んで、胎ん中に精液ぶち込み、それが女の排卵日だったら、ガキを孕む、てのは、今じゃ小学生でも知ってる」
「っ!」
それが怖いから、覚悟が女に要るし、妊娠も望まないから嫌なのに、連れて来られた時点で、達成する気満々なのは麗禾は嫌だった。
好きになった人となら、喜んで足を開こう、と思っていたのに、晄にその感情が育たない。それどころか、好意より嫌悪が増している。
選択肢を与えられて、麗禾はこの場に来ているが、後悔ばかりだ。
卑猥な言葉も平気で言える度胸は麗禾にはなく、性器の名称を聞いただけでも、顔を赤らめてしまう純情さだ。セックスのセの字も言えない。
「本当に食わないなら、始めるぞ」
「え…………なっ!」
晄はほぼ料理をたいらげて、ナフキンを丸めてテーブルに置いて立ち上がった。その瞬間、麗禾も身構えて、椅子から立ち上がると、一目散に玄関へと逃げようとする。
「逃げられねぇよ!」
「っ!」
「お嬢、お戻りを」
「っ!…………嫌っ!………ま、窓………あ、開かない!」
「最上階だぞ?簡単に開く様に出来てねぇ……しかも、防弾強化ガラスで叩いた所でひびも付かねぇよ」
広いリビングダイニングで走り回っていても、晄は歩いて追い掛けてくる始末。しかも、榊もまた麗禾を追って来ると、直ぐに捕まった。
「い、嫌っ!放して!」
「お嬢、失礼」
「っ!や、ヤダ!外して!」
「榊、良いもん持って来たじゃねぇか」
「えぇ、必要になるかと」
榊が麗禾を捕まえて、腕を取ると手首に手錠が掛けられたのだ。そして、晄に引き渡されてしまう。
「放して!」
「もう、お前は俺のもんなんだよ!」
部屋の出入り口は、男の部下達に固められ、麗禾は手首に手錠を掛けられて、ダイニングテーブルに並べられた料理の上に、上半身を乗せられてしまった。
そして、動けない様にカラトリーのナイフを手錠の鎖の隙間に刺し、テーブルに突き刺した。
一口も食べなかったが麗禾の前に料理と並べられた気分になる。幸いにも晄の方は食べきっていて、衝撃で皿が浮き上がり、ステーキのソースだろうか、そのソースが麗禾の頬を汚した。
15
あなたにおすすめの小説
結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる
狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。
しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で………
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。
私に義弟が出来ました。
杏仁豆腐
恋愛
優希は一人っ子で母を5年前に亡くしていた。そんな時父が新しい再婚相手を見つけて結婚してしまう。しかもその相手にも子供がいたのだった。望まない義弟が出来てしまった。その義弟が私にいつもちょっかいを掛けてきて本当にうざいんだけど……。らぶらぶあまあまきゅんきゅんな短編です。宜しくお願いします。
兄の親友が彼氏になって、ただいちゃいちゃするだけの話
狭山雪菜
恋愛
篠田青葉はひょんなきっかけで、1コ上の兄の親友と付き合う事となった。
そんな2人のただただいちゃいちゃしているだけのお話です。
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。
巨×巨LOVE STORY
狭山雪菜
恋愛
白川藍子は、他の女の子よりも大きな胸をしていた。ある時、好きだと思っていた男友達から、実は小さい胸が好きと言われ……
こちらの作品は、「小説家になろう」でも掲載しております。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
パーキングエリアに置いていかれたマシュマロボディの彼女は、運ちゃんに拾われた話
狭山雪菜
恋愛
詩央里は彼氏と1泊2日の旅行に行くハズがくだらないケンカをしたために、パーキングエリアに置き去りにされてしまった。
パーキングエリアのフードコートで、どうするか悩んでいたら、運送会社の浩二に途中の出口に下ろすと言われ、連れて行ってもらう事にした。
しかし、2人で話していく内に趣味や彼に惹かれていって…
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる