暗闇の麗しき世界へ【完結】

Lynx🐈‍⬛

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39 *晄視点

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「仏頂面して睨んだって、今の若頭は怖くないんですが」
「……………」

 結局、あの後タイムオーバーで晄は出勤しなければならなかったので、スーツを着て車の中で、髪をセットしているが、目線は榊を見ていた。

「いや…………殺気も止めて下さいよ」
「朝勃ち処理が………」
「え?若頭、いつも寝過ごしませんよね………如何しました?」
「爆睡してた………隣に寝てた麗禾が起きたのも気が付かずにな」
「……………やっと、安心して眠れる場所と出会えたんですよ、それ」
「……………極道に必要か?それ」
「……………不要ですよ………でも、安息の場は1つは必要です………それがお嬢なんでしょう」
「……………安息の場………か………」

 穏やかになったと晄自身も思う。今迄は喧嘩もギスギスしたものも多く、小夜との喧嘩さえも楽しく感じて数日経った。それも麗禾が変えてくれたのだろう。

「若頭、今朝一報が届きました」
「……………何だ?」
「身元不明の20代ぐらいの男の死体が駅地下で発見された、と」
「……………朔夜……だな……」
「恐らく………神崎の頭の指示でしょう………手の指全部、目、アソコが無かった………と」
「プッ…………えげつない事するな……」

 朔夜が住んでいた部屋には、麗禾の裸体のデーターが保存されていて、それをオカズにしていたのだろう。なので、手指と目、局部を切除したとみえる。

「だが、それを眺める趣味はあの人には無いだろ」
「…………青葉会に贈ったんじゃないですかね」
「かもな…………抗争始まったら俺達も参加だ………勿論、でな」
「えぇ…………勿論」

 しかし、その朔夜のを贈られた青葉会の会長は、バックに黒龍組が付いたと知り、大人しくなった。
 事実上、神崎組と青葉会の小競合いも終止符に向かいそうだ。

「小競合いの原因、て何なんでした?」
「フラれたんだとさ」
「フラれた?」
「ウチがこの界隈じゃ一番デカイだろ?黒龍を潰す為に、神崎に同盟を嗾けたのが青葉会会長だった…………だが、黒龍と神崎が兄弟分だと知らず、黒龍と神崎の会合を耳にした青葉会が、麗禾を攫え、と弟………朔夜の親父に命令した事が始まりだそうだ………神崎が黒龍と組む事を恐れ………て、もう組んでたって事を知らず、雨降って地固まるじゃないが、益々神崎は麗禾を俺と結婚させて、時盤を守ろうとした、て訳だ」
「馬鹿…………だった、て事ですね……今時、情報収集が無きゃ、動いたって失敗するぐらい、分かるもんでしょうに」
「……………過ぎた事だ………それより、支配人業を休みがちだったからな………真面目にやるか」

 晄は久々に、ホテル業に専念すべく、仕事用の書類に目を通すのだった。

「朝一会議ですからね」
「知ってるよ…………熟、お前が女房じゃなくて、今は良かった、て思うわ」
「お役ごめんで良いですか?」
「小夜と同じ事言うな!仕事はお前が秘書じゃなきゃ勤まんねぇよ!」
「誉れですね………ありがとうございます、支配人」
「早く帰りてぇのに、今夜は接待ときた……キャンセル出来ねぇのか?榊」

 スケジュールをタブレット端末で確認する晄の顔はウンザリした顔を見せていた。

「ご自分で達を切るつもりで、組んだ接待じゃないですか………仕事上の付き合いだけにする事も伝えるおつもりでしたよね?今夜の接待」
「……………コイツは厄介なんだよ……さっさと切らねぇと、と思って入れたが……」
「長い相手でしたからねぇ………その女」

 晄はタブレット端末から目を反らし、煙草に火を点けた。
 思い耽る事は、今夜の接待の相手の事だろう。
 晄が高校生の時、学校で女子生徒とのセックスする事が日常だった。極道の家の産まれなのも隠す事もせず、それなのに成績も優秀で、運動神経も良く、見目も良かった晄は、女から近付く事が当たり前だった。
 言い寄られれば、使われていない教室に入り、セックスを強要するのが学校内では有名で、順番待ちする女も居たぐらいだった。
 後腐れ無い付き合いをするのも周知だったのもあり、彼氏持ちの女が来ても、晄が極道の家という事もあり、彼氏達も彼女が浮気しても諦めてしまう程だった。
 その数多く抱いた女が、当時の高校の同級生の1人とまだ続いている。
 愛情を求めもしないのに、その女は晄の邪魔にならない様に努め、付かず離れずの距離感を保つ、晄には都合の良かった女だった。

 ---彩乃が素直に別れるとは思えねぇな………

 付き合いが長いからこそ過る予感が、良い方には行かない事を思い浮かばせる。

「榊」
「はい」
「接待迄に、女が喜びそうな贈り物選んでおいてくれ」
「分かりました」

 それが餞別になるならそれで良し。餞別にならなければまた別の方法で別れるしかなかった。

        ‪
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