1 / 21
1.
しおりを挟む
「そっか。もう、ダメなのか」
ある日、僕は唐突に理解した。
「…じゃあ、消えなきゃね」
眠っている君の顔を笑って見ているはずなのに、何故かぼやける視界。目が悪くなったのかな。
嫌だなぁ。最後くらい、君の顔をちゃんと見たいのに。
ボタボタと落ちていく水滴を見て見ぬ振りして、彼の顔にかかる前髪をサラリと避けた。
微かに身動ぐ彼に手をピタリと止め起きたのかな…なんて顔を覗きこんだけどまた規則正しい寝息へと変わっていく。
「…起きるわけ、ないか。いつも朝までぐっすりだもんね」
ゆっくりとベッドから抜け出し、彼がいない間に纏めていた荷物を手に取って彼を起こさないように扉を閉めた。
…もう二度と、ここに来ることはない。
「……大好きだったよ」
さよなら。
その言葉は声にならずただ息が漏れただけになったけど。
君は、君が本当に好きな人と幸せになるべきだ。
それが僕じゃないのは凄く悲しいけど、仕方ない事なんだよね。きっと。
カタン…と付き合う事になった頃に貰って、一度も使うことのなかった合鍵をポストへといれる。
…合鍵を貰っていたのに勝手に家に入る事もなく、毎回インターフォンを押す僕をどう思っていたのかなんて今更聞けないけど少し気になるなぁ。
「…多分、どうも思ってないんだろうけど」
はぁ…と白い息を吐いて誰もいない静かな住宅街を歩く。
「寒いなぁ」
ある日、僕は唐突に理解した。
「…じゃあ、消えなきゃね」
眠っている君の顔を笑って見ているはずなのに、何故かぼやける視界。目が悪くなったのかな。
嫌だなぁ。最後くらい、君の顔をちゃんと見たいのに。
ボタボタと落ちていく水滴を見て見ぬ振りして、彼の顔にかかる前髪をサラリと避けた。
微かに身動ぐ彼に手をピタリと止め起きたのかな…なんて顔を覗きこんだけどまた規則正しい寝息へと変わっていく。
「…起きるわけ、ないか。いつも朝までぐっすりだもんね」
ゆっくりとベッドから抜け出し、彼がいない間に纏めていた荷物を手に取って彼を起こさないように扉を閉めた。
…もう二度と、ここに来ることはない。
「……大好きだったよ」
さよなら。
その言葉は声にならずただ息が漏れただけになったけど。
君は、君が本当に好きな人と幸せになるべきだ。
それが僕じゃないのは凄く悲しいけど、仕方ない事なんだよね。きっと。
カタン…と付き合う事になった頃に貰って、一度も使うことのなかった合鍵をポストへといれる。
…合鍵を貰っていたのに勝手に家に入る事もなく、毎回インターフォンを押す僕をどう思っていたのかなんて今更聞けないけど少し気になるなぁ。
「…多分、どうも思ってないんだろうけど」
はぁ…と白い息を吐いて誰もいない静かな住宅街を歩く。
「寒いなぁ」
336
あなたにおすすめの小説
僕は今日、謳う
ゆい
BL
紅葉と海を観に行きたいと、僕は彼に我儘を言った。
彼はこのクリスマスに彼女と結婚する。
彼との最後の思い出が欲しかったから。
彼は少し困り顔をしながらも、付き合ってくれた。
本当にありがとう。親友として、男として、一人の人間として、本当に愛しているよ。
終始セリフばかりです。
話中の曲は、globe 『Wanderin' Destiny』です。
名前が出てこない短編part4です。
誤字脱字がないか確認はしておりますが、ありましたら報告をいただけたら嬉しいです。
途中手直しついでに加筆もするかもです。
感想もお待ちしています。
片付けしていたら、昔懐かしの3.5㌅FDが出てきまして。内容を確認したら、若かりし頃の黒歴史が!
あらすじ自体は悪くはないと思ったので、大幅に修正して投稿しました。
私の黒歴史供養のために、お付き合いくださいませ。
白花の檻(はっかのおり)
AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。
その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。
この出会いは祝福か、或いは呪いか。
受け――リュシアン。
祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。
柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。
攻め――アーヴィス。
リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。
黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。
王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。
その日君は笑った
mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。
それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。
最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。
※完結いたしました。
閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。
拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。
【完結済】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる