偽物の僕は本物にはなれない。

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講義が終わり、時間までかなり余裕があったので研究室に顔を出す事にした。

「こんにちは」
「おや、原中くんじゃないですか。どうされましたか?原中くんの研究は終わっていたような気がしましたが」
「あ、えっと…次やる事に必要なもののリストを作成しようと思って」
「ふふ、原中くんは真面目ですねぇ。他の生徒も同じようになればいいのですが」

そんな教授の言葉に僕はあははと乾いた笑みを返して、取り掛かる事にした。

作業がひと段落ついた頃に奏多さんから、仕事が早めに終わったから今から行くよという連絡が入り僕は慌てて片付けを始めた。
研究は何も考えたくない時、夢中になれるから好きだ。
そのおかげなのか教授には真面目な生徒と思われているみたいだけど。

大学の敷地内にある駐車場にいる、と言われそちらに向かえば奏多さんはわざわざ車の外に出て僕を待っていてくれた。

「すみませんっお待たせしました!」
「ん?全然待ってないよ。俺が早く来ちゃっただけだし」
「そういえば、どこに行きますか?」
「…大和くんが特に食べたいものがなければ、連れて行きたい所があるんだけど…」
「僕なんでも食べれるので、そこに行ってみたいです」

じゃあ、決まりだ。と奏多さんが笑って僕が車に乗ろうとした時ぐいっと誰かに腕を引かれた。

「…誰、この人」
「彼方…?」
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