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彼方ルート1
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「ーー…ごめんなさい」
答えを出すときに頭を過ぎったのは、彼方の顔だった。
報われない事も、幸せになれない事も理解しているはずなのに僕の中の何かが彼方でないとダメだと叫ぶ。
「…やっぱり、彼を忘れられない?」
「…はい。無理だって、分かってるのに……いつまでも僕の中にいるんです…」
「大和くんは彼の元に戻るの?」
そう奏多さんに言われたて僕は首を横に振った。
彼方のところになんて、もう戻れない。
でも逃げてるだけじゃ何も進めないから。
「…彼方の所に戻る資格、ないですから。でも、ちゃんと終わらせなきゃって思ったので…奏多さんのおかげです」
「俺の?」
「……あの日、奏多さんがいなかったら多分……僕は、死んでいたと思います」
「………」
「奏多さんは、僕の恩人なんです。僕を助けてくれたのも、勇気をくれたのも。だから……」
ゴクリと唾を飲み込んで奏多さんを見上げる。
「僕は、彼方とちゃんと向き合うために逃げる事をやめます。あ、勿論このアルバイトは辞めません!大学に通いながらにはなるので、頻度は減りますけど…」
「…ふふ、うん。そっか……あー俺振られちゃったなぁ~!」
「ご、ごめんなさいっ」
「いーのいーの。…ま、いつでも話は聞くからさ。…俺に鞍替えしちゃってもいいしね」
驚いて奏多さんを見るとニヤッと笑っていて、僕はカァッと顔が熱くなる。
「冗談はやめてください!」
「あはは、ごめんって。…もう体が冷えただろ?先に中に入ってなよ」
「…奏多さんは…?」
「俺は一服してから戻りまーす」
スーツの内ポケットからタバコを取り出して振りながら奏多さんは笑う。
僕は「わかりました」とだけ言ってまたお店の中へと戻っていった。
「……はー…きっつ……」
タバコを咥えたまま俺は項垂れた。思い返すのは、愛しい年下の想い人。
振られちゃったけど。
「まじで、だせぇ……やっぱ俺がいいって、なってくんねぇかなぁー」
そんなのは無理だとわかっているけど、中々諦めはつかなかった。
カフェで知り合い、話をしていく内にどんどん彼に惹かれていく自分を抑える事が出来なかった。
彼が男だとか年下だとか。自分の中で何度も何度も悩んだけど、それでも彼が好きだった。
恋人ができたと話す彼を見て俺はおめでとうと言ったけど、帰って一人でやけ酒をしながら泣いてしまうぐらい。
そんな彼が付き合っている男と別れたと聞いたとき、チャンスだと思った。
ださいとは思いつつ、弱っているところにつけこめばいけると思ったんだ。
結果は、ご覧の通りだが。
「……好きだよ。幸せに、なれ」
ふぅ…と煙を吐き出して空を見上げる。
ズキズキと痛む胸は、いつまでも治る事はなかった。
答えを出すときに頭を過ぎったのは、彼方の顔だった。
報われない事も、幸せになれない事も理解しているはずなのに僕の中の何かが彼方でないとダメだと叫ぶ。
「…やっぱり、彼を忘れられない?」
「…はい。無理だって、分かってるのに……いつまでも僕の中にいるんです…」
「大和くんは彼の元に戻るの?」
そう奏多さんに言われたて僕は首を横に振った。
彼方のところになんて、もう戻れない。
でも逃げてるだけじゃ何も進めないから。
「…彼方の所に戻る資格、ないですから。でも、ちゃんと終わらせなきゃって思ったので…奏多さんのおかげです」
「俺の?」
「……あの日、奏多さんがいなかったら多分……僕は、死んでいたと思います」
「………」
「奏多さんは、僕の恩人なんです。僕を助けてくれたのも、勇気をくれたのも。だから……」
ゴクリと唾を飲み込んで奏多さんを見上げる。
「僕は、彼方とちゃんと向き合うために逃げる事をやめます。あ、勿論このアルバイトは辞めません!大学に通いながらにはなるので、頻度は減りますけど…」
「…ふふ、うん。そっか……あー俺振られちゃったなぁ~!」
「ご、ごめんなさいっ」
「いーのいーの。…ま、いつでも話は聞くからさ。…俺に鞍替えしちゃってもいいしね」
驚いて奏多さんを見るとニヤッと笑っていて、僕はカァッと顔が熱くなる。
「冗談はやめてください!」
「あはは、ごめんって。…もう体が冷えただろ?先に中に入ってなよ」
「…奏多さんは…?」
「俺は一服してから戻りまーす」
スーツの内ポケットからタバコを取り出して振りながら奏多さんは笑う。
僕は「わかりました」とだけ言ってまたお店の中へと戻っていった。
「……はー…きっつ……」
タバコを咥えたまま俺は項垂れた。思い返すのは、愛しい年下の想い人。
振られちゃったけど。
「まじで、だせぇ……やっぱ俺がいいって、なってくんねぇかなぁー」
そんなのは無理だとわかっているけど、中々諦めはつかなかった。
カフェで知り合い、話をしていく内にどんどん彼に惹かれていく自分を抑える事が出来なかった。
彼が男だとか年下だとか。自分の中で何度も何度も悩んだけど、それでも彼が好きだった。
恋人ができたと話す彼を見て俺はおめでとうと言ったけど、帰って一人でやけ酒をしながら泣いてしまうぐらい。
そんな彼が付き合っている男と別れたと聞いたとき、チャンスだと思った。
ださいとは思いつつ、弱っているところにつけこめばいけると思ったんだ。
結果は、ご覧の通りだが。
「……好きだよ。幸せに、なれ」
ふぅ…と煙を吐き出して空を見上げる。
ズキズキと痛む胸は、いつまでも治る事はなかった。
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