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第一章:朝霧未海
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気がつくと、未海は道路に寝そべっていた。
目の前にあるのは、アパートの前にあるゴミボックスだ。
その蓋がガンガンと音を立てて、開いたり閉まったりしている。手の下の道路も揺れている。目の前に停まっている、映画に出てきそうなカッコいい車も揺れている。
どろどろと音が響いている。
ああ、夢だ。
また、朝と同じ夢を見ているんだ、と未海は思った。
そうだ、ママ、ママは?
あの、嫌な女は?
外に出れたなのなら、ママを連れて逃げなくちゃ。
ママ、ママ――
髪の毛がふわりとした。
風?
あ、私、吸いこまれちゃうんだっけ……。
未海はアスファルトに手を這わす。何処かに掴まる所は、何処か――
誰かが叫んだ。
あれを見ろ! とか何とか。
未海は上を見た。
息が止まった。
あの女が、空の上にいた。
誰かが叫ぶ。銃の音。そして、ふっと未海の手が道路から離れた。
未海だけではない。小石が、ゴミボックスの中に残った割れた蛍光灯が、向かいの家の花壇に刺さっていたスコップが、すーっと浮き上がっていく。
女は勝ち誇ったように笑い、手招きをしている。
とても嫌な感じが、雨のように降ってくる。
助けて! 誰か助けて! 麗香ちゃん! 神さま! ママ!
『未海ちゃん!』
はっと顔を向けると、女性が未海に向かって走ってきた。
誰かは知らない。
だが、未海は彼女に向かって手を伸ばした。
助けて!
女性は未海に向かって手を伸ばしながら、右に左にとよろける。
『待ってて! 今行くから!』
女性の手には、小さな蛙が乗っていた。
あれ? その蛙は――未海はポケットを探る。
途端に、額の真ん中が熱くなり始め、夢は、そして未海の意識は黒く、渦巻くように消えて行った。
後には、塗りつぶされたような、黒だけがあった。
目の前にあるのは、アパートの前にあるゴミボックスだ。
その蓋がガンガンと音を立てて、開いたり閉まったりしている。手の下の道路も揺れている。目の前に停まっている、映画に出てきそうなカッコいい車も揺れている。
どろどろと音が響いている。
ああ、夢だ。
また、朝と同じ夢を見ているんだ、と未海は思った。
そうだ、ママ、ママは?
あの、嫌な女は?
外に出れたなのなら、ママを連れて逃げなくちゃ。
ママ、ママ――
髪の毛がふわりとした。
風?
あ、私、吸いこまれちゃうんだっけ……。
未海はアスファルトに手を這わす。何処かに掴まる所は、何処か――
誰かが叫んだ。
あれを見ろ! とか何とか。
未海は上を見た。
息が止まった。
あの女が、空の上にいた。
誰かが叫ぶ。銃の音。そして、ふっと未海の手が道路から離れた。
未海だけではない。小石が、ゴミボックスの中に残った割れた蛍光灯が、向かいの家の花壇に刺さっていたスコップが、すーっと浮き上がっていく。
女は勝ち誇ったように笑い、手招きをしている。
とても嫌な感じが、雨のように降ってくる。
助けて! 誰か助けて! 麗香ちゃん! 神さま! ママ!
『未海ちゃん!』
はっと顔を向けると、女性が未海に向かって走ってきた。
誰かは知らない。
だが、未海は彼女に向かって手を伸ばした。
助けて!
女性は未海に向かって手を伸ばしながら、右に左にとよろける。
『待ってて! 今行くから!』
女性の手には、小さな蛙が乗っていた。
あれ? その蛙は――未海はポケットを探る。
途端に、額の真ん中が熱くなり始め、夢は、そして未海の意識は黒く、渦巻くように消えて行った。
後には、塗りつぶされたような、黒だけがあった。
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