溺愛モードな警察官彼氏はチョコレートより甘い!?

すずなり。

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相談×2。

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ーーーーー



来間さんのとこに空き巣が入って数日後。
僕、三橋は一緒に働いてる近衛くんから『相談がある』と言われて交番の事務室でコーヒーを淹れていた。
もちろん、カップは2つだ。

(相談って・・・来間さんとのことだろうなぁ・・・。)

仕事に真面目な近衛くんは基本的に何事も平等に扱う傾向があった。
交番の前で立つ『立番』は時間を決めてきっちりするし、どんな人に対しても同じ態度を取り、決して贔屓はしない。
自分の目に入った事件は大小問わず真摯に向き合い、業務外のことは決してしない人だったのだ。

(そんな近衛くんが自分から立番の時間を崩してくるんだから、何かあったと思ったんだけど・・・まさか『恋』だとは・・・。)

無言で笑みをこぼしながら淹れたコーヒーを持ち、僕は事務室に入った。
交番内にある事務室は狭く、机が二つでいっぱいいっぱいな空間だ。

「はい、お待たせ。」
「すみません・・・。」

随分としおらしく椅子に座ってる近衛くんの前にコーヒーを置き、僕も自分の椅子に座る。
そして淹れたて熱々のコーヒーを一口飲んだ。

「で?相談って何?」

何を聞くのかわかってるような気もするけど、そう尋ねた。
すると彼は僕の予想の斜め上の言葉を言ったのだ。

「・・・来間さんに告白・・・しまして・・・」
「!?・・・ごほっ!ごほっ・・!!」

驚いた僕はコーヒーが変なところに入ってしまい、むせてしまった。

「大丈夫ですか?」
「ごほっ・・!だ・・大丈夫・・・。え、好きって言ったの!?」
「えと・・・まぁ・・そうですね・・・。」

照れながらそう答えた近衛くん。
でもその顔にどこか悲し気な雰囲気が見えた気がした。

「で?」
「・・・ちょっとその・・タイミングが悪くてですね・・・」
「タイミング?」


彼の話ではこの前の空き巣事件の日、ショックからか涙をこぼす来間さんを抱きしめてしまったのだとか。
そのことに対しては謝ったけど、その行動を『仕事』と言われ、思わず告白してしまったらしい。

「あー・・・なるほど。来間さんは?なんて言ってたの?」
「それが・・・何も・・・。」
「何も?」
「驚いてたみたいですけど、返事なんて求めてなかったですし、俺はそのあと工場を出たんで・・・。」

どうやら近衛くんは来間さんの返事を待たずに離脱してしまったようだ。
僕の見解では上手くいきそうな気がしたのだが・・・。

「返事は聞きたいと思う?」
「それは・・・どうでしょうかね。できればこの前みたいに一緒にご飯とか行ける関係でも十分かなと・・・。」
「それで十分なの?来間さんに彼氏ができても応援できる?」
「それは・・・・」

煮え切らない返事をするということは、それだけ彼女に嫌われたくないという証。
欲しいけど嫌われるくらいなら何もしない方がと考えてそうだ。

(これは来間さんを呼んで一緒に話をする方が早そうだけど・・・)

そんなことを考えてると、交番の扉が開いた音が聞こえてきた。

「すみませんー・・・駅ってどっちですかー!?」

どうやら道を尋ねて誰かが来たようだ。

「あ、俺行ってきます。」
「頼むね。」

近衛くんが率先して対応してくれてる間に、僕は頭の中をフル回転させた。

(来間さんとも話をしてみたいところだね、告白された当事者だし・・・。)

問題はいつその話を聞きに行くかだった。
空き巣に入られてまだ間もない彼女は心痛中。
そんな彼女の心の中に土足で踏み込むような言葉は投げかけれない。

(どうしようかな。)

そんなことを思ってると、対応に当たりに行った近衛くんの大きな声が聞こえてきた。

「三橋さんー!駅まで案内してきますー!」
「え?あ・・あぁ、わかったよー!」

思いがけず交番から出て行った近衛くん。
ここで来間さんを呼べたら最高だけど、残念ながら彼女はスマホを持っていない。
かといって僕が交番を離れるわけにもいかず、このチャンスの場は流れそうだった。

(まぁ、そんな上手くいくことはないか。)

そう思ったとき、また交番の扉が開く音が聞こえた来たのだ。

「す・・すみません、三橋さんいらっしゃいますか・・・?」
「!!」

聞こえてきたのは知った声。
今、僕が一番会いたい人が訪ねてきてくれたのだ。

「いらっしゃい、来間さん。どうかした?」
「実は・・ちょっとご相談がありまして・・・」
「相談?どうかした?」

僕の問いに、彼女は辺りを見回したあと、奥に通じてる扉をじっと見た。
きっと近衛がいるかどうか気にしてるのだろう。

「近衛は今、駅に行ったよ?道案内で。」
「そ・・そうなんですか・・・。」

ほっと胸をなでおろす彼女に椅子を用意し、僕たちは向かい合って座った。
さっきは近衛くんに予想の斜め上の言葉をもらってしまったけど、今回は予想が当たりそうだ。

(近衛に告白されました、どうしましょう・・・ってとこかな?)

微笑ましい相談が来ると思って緩む頬を押さえつけると、彼女もまた斜め上の言葉を言い放ったのだ。

「あのっ・・・『好き』ってどんな気持ちですか・・・?」



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