異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。

文字の大きさ
49 / 61

下山。

しおりを挟む
その声に顔を戸に向けると、そこにはシャガがいた。

焦った顔をしながら私を見て、一気にほっとした顔に変わった。


「よかった・・・無事で・・・。」

「とうさん・・・。」


シャガは山小屋の中に入ってきて私の手に縛られた縄を解き始めた。

ぎゅっと結ばれていた縄はあっという間に解かれ、私の手は自由になった。


「服は?どっかにあるのか?」

「ううん、破られたから・・・。」


ジニアに脱がされた服もあったけど、破られたものもあった。

残骸が部屋の隅に置いてあるけどとてもじゃないけど着れるような状態じゃない。


「なら俺のを着とけ。」


そう言ってシャガは自分の服を脱いで私に手渡してくれた。

それを受け取って頭からかぶる。

シャガがちょうどいい丈の服は私にとってはミニのワンピース状態だ。


「よし、行くぞ。」


そう言って私に背中を見せて屈んだシャガ。

私はその背中に乗り、おんぶしてもらった。


「ねぇ・・・・」


聞きたいことがいろいろあって、シャガに問おうとした。

シャガは私が聞きたいことが分かるかのように答え始める。


「家に帰ったらアイビーがいなかった。畑にタオルが落ちてたから・・・何かあったと思って探した。」

「・・・うん。」

「町にいなかったから・・・きっと山だと思って入ったんだ。」


シャガは一人で山に入ったのにライムが追いかけてきたらしい。

その時に私が落とした薬をライムが見つけて・・・川までは追跡できたらしい。


「川から先がわからなくて・・・ライムを町に戻した。」

「なんで?」

「『アイビーはいない』って伝えるために。」


私の痕跡を見つけれなかったことを伝えれば、私を攫った犯人は安心する。

安心して監禁場所に戻ってもらうためにライムに頼んだらしい。

自警団に私はいなかったと伝えろと・・・。


「それでジニアを・・・見つけたの?」

「・・・あぁ。」


最後に薬を見つけたところでシャガは潜んでいたらしい。

大きな枝をかき集めて、岩の陰に潜んで人が通るのを待っていた。

朝早くから待っていたけど、誰も通らないまま時間は過ぎていった。

でもシャガは獣を狩るときに何時間も潜むことがあるらしく、それは苦じゃなかった。

動かずずっと待っていて・・・

昼を回って姿を現したのはジニアだった。


「あいつは前もアイビーのことを追い詰めた。だから疑ってた。」

「・・・。」

「気づかれないように距離を取ってきたんだけどな・・・。あの山小屋に近づいたときに気づいたみたいだな。」


シャガはあの山小屋にジニアがいないことを分かってたようだった。


「・・・ねぇ、ジニアって・・・」

「・・・もう顔は出さないんじゃないか?顔を出した時点でどんな目に合うかわかってるだろうしな。」

「・・・。」

「俺はお前さえ無事ならそれでいい。・・・されてないか?」


シャガは言葉を濁すようにして私に聞いた。

服を着ずに縄で縛られていたことで、ジニアに犯されたんじゃないかと思ってるみたいだ。


「・・・大丈夫だよ。」

「手・・すごいことになってるぞ。それでも大丈夫なのか?」


縄で擦り切れた手を、シャガがそっと触った。

興奮状態にあるのか、手の痛みはそれほどない。

むしろシャガの背中が心地よく、安心できて気持ちがよかった。


「うん。大丈夫。・・・ありがとう。」

「・・・ん。」


シャガにおぶられながら山を下って行くと、自警団たちが私たちを見つけて駆け寄ってきた。

私の身は自警団たちに引き渡され、担架のようなものに乗せられた。

落ちないように紐で固定され、運ばれていく。


「アイビー!!」

「セダム・・・。」


運ばれていく私の隣にセダムが駆け寄ってきてくれた。

隣を一緒に歩いてくれる。


「ごめんね・・・迷惑かけて・・・。」


そういうとセダムは首を横に振った。


「お前が悪いんじゃないだろ?」

「・・・。」

「ジニアは?」


セダムの言葉に私は目線を反らした。


「・・・知ってたの?ジニアだってこと・・。」

「最初はジニアも一緒にアイビーを探してたんだ。」


ジニアはセダムと一緒に行動をしていたらしい。

私を探すフリをしながら私が見つからないようにしてたんだろう。

でもライムが自警団と合流して『いない』と伝えたことで別行動を提案してきたらしい。

ライムが下山した後、ジニアとは別行動することになったけど、ライムが戻ってきた。

そこでライムはシャガと見つけた薬のことや、シャガが張ってることをセダムに伝えた。


「ジニアは・・・前もアイビーをケガさせたからな・・・。怪しむのは当然だ。」

「そっか・・・。」


セダムは私の頭をそっと撫でた。


「ごめんな。もう大丈夫だから・・・。」

「うん・・・。」





私は自警団とセダムとシャガと一緒に山を下りた。

町に戻り、ライムにも声をかけてもらい・・・一旦家に戻った。

ライムが呼んでいてくれたのか、病院の先生まできてくれて手当てを受けた。

手のケガは酷いものの、他は何ともない。

1日半くらいの監禁で済んだことが幸いだったようだ。


「アイビー、話がある。」


シャガが真剣な顔で私に言った。

病院の先生は帰っていき、シャガが私の隣に座る。

用意された布団の上で座ってる私の隣に・・・座る。


「記憶は忘れたフリをしてたな?」

「・・・。」

「ニゲラも俺も知ってることは分かってるんだろ?」

「・・・。」

「なぜだ?なぜ忘れたフリなんかした?」


私はシャガに話した。

山から落ちて意識を取り戻したときに思い付いた計画を。

自分さえちゃんとできれば・・・なんの問題も起こらないと思ったことを。

今となってはなんの意味もないものだけど。


「そんなこと考えてたのか?」

「・・・うん。私がちゃんとみんなと結婚したらいいと思った。でも・・・とうさんは私に前世の記憶があることをみんなに話したっていってたから・・・記憶を失くすのが一番早いと思った。」


シャガは手で頭を押さえた。

考えごとでもしてるようで天を見てる。


「お前の気持ちが一番大事なのに抑え込んでどうするんだよ・・・。」

「・・・。」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

処理中です...