異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。

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【番外編】リナリアの決断。

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リナリアと新しい湖を見つけて街に帰って来たあと、リナリアが急に忙しくなった。

理由はあの山の地滑りだ。


「リナリア!山が崩れたって本当か!?」

「何か不吉なことが起こるんじゃ・・・」

「この街は大丈夫なのか!?」


不安に思った街の者たちがリナリアに問いたのだ。

その一人一人にリナリアは丁寧に答えていく。


「大丈夫!ここは調査してあるから!」

「本当か!?」

「えぇ!この周りの山たちは大丈夫よ!安心して!」

「リナリアがいうなら間違いないな!」


そうすぐに安心する者もいたら、いつまでも不安がる者もいる。

そんな奴らは安心できるまでリナリアが説明を続けていた。

時には一緒に近くの山に行き、何が危険で何が安全なのかを説明したしていたのだ。


「忙しそうだな、リナリア・・・。」


耳飾りの件がそのままになってることをどうしようかと思いながらも、リナリアの邪魔なんてできるわけもなく、俺は自分の仕事をこなしていた。

獣が街に入ってこれないように柵を作ったり、獣たちの縄張りを壊さないように、人間が入らない柵を作ったりしていたのだ。

自然を大切にするリナリアと俺は、どこか似てるところもあったみたいだ。


「俺の髪色の耳飾りか・・・。」


柄を聞いていたら作ることができたと思いながら、俺は自分がリナリアに求婚するかどうか悩んでいた。

断られたら一緒に山に登ることももうなくなってしまう。

離れるくらいならもう何も言わずに従うのもいいのかと考えてしまう。


「柄無しで作っとくか。」


とりあえず作ってみようと考え付いた俺は、耳飾りの店に向かった。

そしてそこにいるオヤジに、『柄無し赤色』で注文をしたのだ。


「お前さん、柄無しって・・・。」

「いいから作ってくれ。頼む。」


そう言うとオヤジは机の引き出しを開けた。

中から赤色の耳飾りを一つ取り出し俺に差し出してくれたのだ。


「柄無しなら作るまでもねぇ、持っていきな。」

「!!・・・ありがとな!」


俺は代金を払い、その耳飾りを服のポケットに入れた。

次にリナリアに会ったときに渡すと決めて・・・。


でもリナリアに会えたのは俺たちが新しい湖を見つけて・・・ひと月が経った頃だった。



ーーーーー



「ひと月!?そんなに忙しかったの?リナリアさん。」

「まぁ、他にも調査とか行かなきゃいけなかったみたいだし?俺も山から帰ってこれない時とかあったしな。」

「へぇー・・・。」

「あ、お前そろそろ寝たほうがいいんじゃないか?」

「続きが気になって寝てるどころじゃないって・・・。」

「それもそうか・・・。」



俺は部屋のランプに明かりをともし、残っていた黒い実を全部口の中に入れて飲み込んだ。



「ひと月が経ったころ、リナリアが訪ねてきたんだよ。」


よく晴れた昼過ぎ、庭にある畑で野菜の世話をしていたとき、大きな声で俺の名前が呼ばれた。


「シャガーっ!!」

「!!・・・リナリア!」


走って来たのか息を切らしながら俺の下に駆けてきたリナリア。

畑の前で立ち止まり、息を整えるように地面を見ていた。


「はぁっ・・はぁっ・・・」

「そんな急いでどうした?」


俺の問いに、リナリアはほんの少し悲しそうに笑って言った。


「あのね?私、この街を出て行こうと思うの。」

「・・・・え!?」

「言ってたでしょ?世界を見て回りたいって。」


確かにそんなことを言っていたリナリアだったけど、こんなに早く決めると思ってなかった俺は頭の中がこんがらがっていた。

『だめだ!』と言うのが正解のなのか『気をつけてな』と言うのが正解なのかがわからない。


(出ていく・・・街を出ていく・・・もう帰ってこない・・・?)


リナリアに二度と会えないかもしれない恐怖が俺を襲う。


「できればシャガの耳飾りをつけていきたいんだけど・・・いい?」

「俺の・・・耳飾り・・・。」


この前店のオヤジから買った耳飾りは今、服のポケットに入ってる。

リナリアに言われたらすぐに渡せるようにと思って、ずっと持っていたのだ。

でも・・・


(これを渡したらリナリアはすぐに旅立つのか・・?)


リナリアの柄を教えてもらえたら、作り上がるまで最低でも数日かかる。

その間、リナリアは旅に出ることはない。


「・・・リナリアの柄、教えてくれるか?」

「!!・・・うんっ。」


俺はリナリアを数日間引き留めるために、リナリアの柄を教えてもらった。

口づけなんてできるはずもなく、ただ顔を耳に近づけて柄だけ確認したのだ。


「出来上がったら依頼屋で呼び出すから・・・。」

「わかった!じゃあね!」

「あぁ・・・。」


たった数日、リナリアを引き留める為だけに俺は耳飾りを作ることを決めた。

そして店のオヤジに頼んで作ってもらい、依頼屋を使ってリナリアを呼び出した。



「シャガっ!できた!?」


嬉しそうに聞いてくるリナリア。

俺はポケットに手を入れて赤い耳飾りを取り出した。


「ほら。」

「わぁっ・・!きれいな赤ね!」

「つけてやるよ。」


そう言ってリナリアの耳に俺の耳飾りをつけた。


「ふふっ・・!どう!?」

「よく似合ってる。」

「ありがとうっ!」


茶色い髪が揺れるたびに俺の赤い耳飾りがりがちらっと見える。

まるでリナリアが自分のモノにでもなったかのような錯覚を覚えそうで、俺は目を反らした。


「いつ・・・発つんだ?」


そう聞くとリナリアは悲しそうに笑った。


「明日よ。」

「明日!?早すぎないか!?」

「早くはないわ、ちょうど山二つ向こうで乗り合いの馬車が出るのよ。それに乗れたら少しは楽だから・・・。」


滅多にない乗り合いの馬車。

安いうえに乗り合わせた人たちから情報も得れることからリナリアはそれに乗りたいのだろう。

でも別れが早すぎる。


「そ・・そうか・・・。元気でな。」


そう言うのが精いっぱいだった俺は、できるだけリナリアの顔を見ないように言った。

これでリナリアが切ない表情でもしてたら、自分の気持ちを抑えることができなくなりそうだったのだ。


「シャガも元気でね?山で遭難しないようにね!」

「!!・・俺が遭難するかよ。」

「ふふっ・・!じゃあねーっ!!」


そう言ってリナリアは走っていってしまった。

茶色い髪が左右に揺れながらその姿が遠くなっていくのをただただ見つめ、俺はポケットに手を入れた。

取り出したのは・・・赤い耳飾りだ。


「気づいたら・・・戻ってこい。」



ーーーーー



「え、とぅさん、何したの?」


ここまで話したとき、アイビーが首をかしげながら聞いてきた。


「何したと思う?」

「耳飾り、つけてあげたっていってたよね?」

「あぁ。間違いなくつけた。」

「なのに取り出したの?」

「そうだ。」

「?」


アイビーは全然わからないようで、かしげていた首が折れてしまうんじゃないかと思うくらい悩んでいた。

そんな姿がかわいくて、俺は笑いながら種明かしをした。


「リナリアに渡したのは『柄が入ってない』耳飾りなんだよ。」

「!!・・・そういうこと!?」

「そう。途中、何かの拍子でリナリアが気づいたら、怒りながら戻ってくるんじゃないかと思って・・・柄が入ってない耳飾りをつけた。」



そう、これは俺にできる精いっぱいの策だったのだ。

『行くな』と言えなかった俺は、次にリナリアが戻ってきたら離さないと決めてリナリアに柄のない耳飾りをつけた。




ーーーーー













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