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第9話
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「ローサ声が震えているよ」
「私にこんなことしてただで済むと思ってるの!お父様に言いつけますからね!」
ローサは弱みを見せないように、虚勢を張って強がっているのは明らかだ。足が震えるほど心が乱れて激しく汗をかいている。
義父母と夫のリチャードは、完全に自分の敵だと認識した。早くこの家から逃げ出したいと思い、慌てて周囲の状況を確かめる。だが前も横もメイドの壁で囲まれていた。
それでも強引に突破する決意をし、何とか包囲網を抜けようと頑張りますが、ローサの華奢な体で抵抗することができるわけもなく、瞬く間に意識を失っていく。
「ここは……?」
一時もうろう状態に陥っていたローサが目を覚ます。視界はほとんど真っ黒になって何も見えない。この場所がどこなのか?不安げな表情のローサは小さな声を発した。
「早く出しなさい!」
気絶する寸前のことを思い出したローサは、怒って抗議の声を上げるも室内から響く自分の叫び声が虚しく反響するだけだった。ローサは問答無用で地下に閉じ込められてしまう。
寒気が走るのを感じて、思わず両手で身体を丸めて身を守った。ふと毛布の上で寝かされていたことに気がついて、毛布にくるまって横になる。
徐々に空気が冷えて一段と暗くなっていく。突然放り込まれたローサは、一人ぼっちでたとえようもなく心細くて、自分だけがこの世界から取り残されたような複雑な気持ちだった。
「お姉様ごめんなさい……」
あの男は頭がおかしい。ローサに接する態度にも異常が見られるから結婚を考え直したら?そう言って自分を心配してくれた姉クレアの顔を思い浮かべると、泣けてきて謝罪の言葉と涙が止まらない。
クレアの助言は常に適切であった。品行が悪いリチャードの性格をいち早く察知し、自分の未来を案じて正しい方向へ導いてくれようとしていたのだ。
「お姉様は妹の私が先に結婚するので、うらやましく感じてジェラシーに狂っているのでしょ?」
「ローサそうじゃないの!あの男がまともな人間性を持っているとは思えないの」
「妹の結婚を素直に祝福もできないのですね。お姉様はご自分が恥ずかしく思わないのですか?」
両親からも結婚して大丈夫かと何度か心配された。彼のことを告げ口しているのかと、卑劣な手段で結婚を邪魔する姉に憎らしさが込み上げる。
一生懸命に説得してくれたクレアを冷たく突き放してないがしろにした。そればかりか結婚する自分に嫉妬していると思い、見下す発言を繰り返して好戦的に応じていた。
「お姉様助けて……」
悲しみで感傷的な涙を流すローサは過去を振り返って、ささやき声でクレアへの懺悔と救済を願う気持ちがどこまでも尽きなかった。
「私にこんなことしてただで済むと思ってるの!お父様に言いつけますからね!」
ローサは弱みを見せないように、虚勢を張って強がっているのは明らかだ。足が震えるほど心が乱れて激しく汗をかいている。
義父母と夫のリチャードは、完全に自分の敵だと認識した。早くこの家から逃げ出したいと思い、慌てて周囲の状況を確かめる。だが前も横もメイドの壁で囲まれていた。
それでも強引に突破する決意をし、何とか包囲網を抜けようと頑張りますが、ローサの華奢な体で抵抗することができるわけもなく、瞬く間に意識を失っていく。
「ここは……?」
一時もうろう状態に陥っていたローサが目を覚ます。視界はほとんど真っ黒になって何も見えない。この場所がどこなのか?不安げな表情のローサは小さな声を発した。
「早く出しなさい!」
気絶する寸前のことを思い出したローサは、怒って抗議の声を上げるも室内から響く自分の叫び声が虚しく反響するだけだった。ローサは問答無用で地下に閉じ込められてしまう。
寒気が走るのを感じて、思わず両手で身体を丸めて身を守った。ふと毛布の上で寝かされていたことに気がついて、毛布にくるまって横になる。
徐々に空気が冷えて一段と暗くなっていく。突然放り込まれたローサは、一人ぼっちでたとえようもなく心細くて、自分だけがこの世界から取り残されたような複雑な気持ちだった。
「お姉様ごめんなさい……」
あの男は頭がおかしい。ローサに接する態度にも異常が見られるから結婚を考え直したら?そう言って自分を心配してくれた姉クレアの顔を思い浮かべると、泣けてきて謝罪の言葉と涙が止まらない。
クレアの助言は常に適切であった。品行が悪いリチャードの性格をいち早く察知し、自分の未来を案じて正しい方向へ導いてくれようとしていたのだ。
「お姉様は妹の私が先に結婚するので、うらやましく感じてジェラシーに狂っているのでしょ?」
「ローサそうじゃないの!あの男がまともな人間性を持っているとは思えないの」
「妹の結婚を素直に祝福もできないのですね。お姉様はご自分が恥ずかしく思わないのですか?」
両親からも結婚して大丈夫かと何度か心配された。彼のことを告げ口しているのかと、卑劣な手段で結婚を邪魔する姉に憎らしさが込み上げる。
一生懸命に説得してくれたクレアを冷たく突き放してないがしろにした。そればかりか結婚する自分に嫉妬していると思い、見下す発言を繰り返して好戦的に応じていた。
「お姉様助けて……」
悲しみで感傷的な涙を流すローサは過去を振り返って、ささやき声でクレアへの懺悔と救済を願う気持ちがどこまでも尽きなかった。
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