美人な姉を溺愛する彼へ、最大の罰を! 倍返しで婚約破棄して差し上げます

佐藤 美奈

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第5話

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「カミーユ姉様……」

「それに、人の服装や髪型をあげつらう前に、ご自身の態度を見直してみることをお勧めしますわ。大神官というお立場にある方が、婚約者に対して、その家族の前でなさる言動としては、あまりに品位に欠けていると申し上げざるを得ませんわ」

ヒューゴ様が、満足そうに口の端を吊り上げた。

「……っ、失礼な! 私はマリアのためを思って!」

思わず感情を揺らがせたフレッド様に、カミーユ姉様は一歩も引かない。

「いいえ。あなたは、あなたご自身のためを思って、マリアを利用しようとなさっているだけ。その目は、神ではなく、俗世の権力しか見ていないようですわね。残念ですわ。マリアが心から尊敬していた方は、幻だったようですから」

最後の言葉は、まるで鋭い剣のようにフレッド様の胸を貫いた。彼はぐっと言葉に詰まり、顔を真っ赤にして、それから苦々しく私たちを睨みつけた。

「……今日のところは失礼する。マリア、よく考えておくんだな。誰のおかげで、お前が幸せになれるのかを」

捨て台詞を残して、フレッド様は足早に部屋を出て行った。扉が乱暴に閉められる音が、私の心臓に突き刺さる。

フレッド様が去った後、応接室には重苦しい沈黙が流れた。私はまだ、その場に立ち尽くしたまま、動くことができなかった。

「……マリア」

最初に沈黙を破ったのは、ヒューゴ様だった。彼は私の隣まで来ると、その銀灰色の瞳でまっすぐに私を見つめた。

「済まなかった。俺がもっと早く、あの男を追い返すべきだった」

「いえ……ヒューゴ様のせいでは……」

「いいや、俺のせいでもある。あんな男が妹の婚約者だと知っていながら、今まで静観していたんだからな。……あれが大神官とは、世も末だ。見る目がないにも程がある。マリア嬢、君はもっと良い男を知るべきだ。あんな偽善者のコレクションに収まるような女じゃない」

ヒューゴ様の飾り気のない態度、けれど心のこもった言葉に、堪えていた涙がぽろりと一筋、頬を伝った。

すると、カミーユ姉様が後ろからそっと私を抱きしめてくれた。温かくて、優しい腕。

「ごめんなさい、マリア。私のせいで……私が帰ってこなければ、あなたがこんな思いをすることはなかったかもしれない」

「違う……姉様のせいじゃない……!」

私は姉様の胸に顔をうずめて、声を上げて泣いた。わかっていた。フレッド様の本性は、姉様がいなくても、いつかきっと現れたはずだ。姉様の存在は、ただのきっかけに過ぎない。

信じていた日々を裏切りたくなくて。彼とのささやかな幸せな思い出を、嘘にしたくなくて。
でも、もう無理だ。

神殿の庭で交わした言葉も、不器用なプレゼントも、すべては私を繋ぎとめておくための、計算された演技だったのかもしれない。そう思うと、胸が張り裂けそうだった。
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