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第13話 ハローワーク
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「あそこね」
アンナは職業安定所に向かっていた。歴史がありそうな外観を備えた住居よりも大きく立派な建物を見つけた。場所は喫茶店のマスターに聞いていた。マスターからは仕事を探してるならうちで働けばいいと、店の看板娘になると大歓迎する声が返ってきた。ありがたかったけど、その言葉をアンナは一旦断って最初は自分で探してみると言った。
アンナは顔が緊張で強張っていた。普通の市民にとっては慣れた場所でも、公爵令嬢だったアンナにとってはまったく無縁な場所。職業安定所には初めて訪れた。建物の中に入るとアンナと同じ目的で来た人たちの姿がちらほら見える。受付窓口が数か所あったのでアンナは待たされることはなかった。
「ハローワークへようこそ。今日はどういったご用件でしょうか?」
受付を担当する女性職員が明るい声で応対する。
「仕事を探してて」
「でしたら、まずは名前と年齢と職業のほうを教えていただけますか?」
「はい、名前はアンナ、歳は十八で職業は家事です」
「家事ですか……」
アンナが話を切り出すと、職員の女性は慣れた様子で名前に年齢に職業を尋ねる。職業はもちろん成人の儀で神から与えられた職業である。受付の女性は家事と聞いた瞬間かわいそうに思う。その声には気の毒そうな響きがこもっていた。職業安定所の受付をしているので、家事という職業の不遇さが痛いくらいに分かっていた。
「やっぱり家事は厳しいでしょうか?」
「そうですね。申し上げにくいのですが、家事は他の職業と比べて神器もスキルもありませんし能力も劣ってますから、迷惑をかけられた雇用主も多く評判はよくないですね。さらに家事は報酬額の低減を要求される場合もあります」
アンナは思い詰めたような顔で言葉を口にする。受付の女性は哀れみを感じつつも家事という職業の現状を正直に話し始める。家事に対して露骨な嫌悪感を示す人々が存在する。不当な扱いを受ける事例も少なくない。同じ仕事しても家事は劣ったものとみなして、一方的に賃金カットされることもある。アンナは家事という職業の厳しい実情を身にしみて感じた。
「じゃあ、家事で登録はできませんか?」
アンナは最初から無理な話だったと思って諦めの表情で言う。アンナは先ほどの喫茶店のマスターの顔が頭に浮かんだ。最初は自分に対して気持ち悪い笑みを向けてくるなあと不快な思いをしたけど、実は意外と親切だったおじさんにお願いして雇ってもらおうと思っていた。
「犯罪者でない限り登録は可能です。家事の方も大勢いらっしゃいますよ。ですが家事はどこも扱いは悪いです。家事というだけで雇用主側に断られるケースも少なくありません」
受付の女性は、社会的に悪い人間でもない限りは職業が家事でも登録は問題ないという。ただ雇用主は家事というだけで、顔をしかめて冷たい対応をされることもあると話した。家事は正当に評価されないと付け加えるように言った。
「わかりました。登録お願いします」
「かしこまりました」
アンナは気持ちを切り替えてとりあえずは登録することにした。受付の女性は承知して手続きを始めた。
アンナは職業安定所に向かっていた。歴史がありそうな外観を備えた住居よりも大きく立派な建物を見つけた。場所は喫茶店のマスターに聞いていた。マスターからは仕事を探してるならうちで働けばいいと、店の看板娘になると大歓迎する声が返ってきた。ありがたかったけど、その言葉をアンナは一旦断って最初は自分で探してみると言った。
アンナは顔が緊張で強張っていた。普通の市民にとっては慣れた場所でも、公爵令嬢だったアンナにとってはまったく無縁な場所。職業安定所には初めて訪れた。建物の中に入るとアンナと同じ目的で来た人たちの姿がちらほら見える。受付窓口が数か所あったのでアンナは待たされることはなかった。
「ハローワークへようこそ。今日はどういったご用件でしょうか?」
受付を担当する女性職員が明るい声で応対する。
「仕事を探してて」
「でしたら、まずは名前と年齢と職業のほうを教えていただけますか?」
「はい、名前はアンナ、歳は十八で職業は家事です」
「家事ですか……」
アンナが話を切り出すと、職員の女性は慣れた様子で名前に年齢に職業を尋ねる。職業はもちろん成人の儀で神から与えられた職業である。受付の女性は家事と聞いた瞬間かわいそうに思う。その声には気の毒そうな響きがこもっていた。職業安定所の受付をしているので、家事という職業の不遇さが痛いくらいに分かっていた。
「やっぱり家事は厳しいでしょうか?」
「そうですね。申し上げにくいのですが、家事は他の職業と比べて神器もスキルもありませんし能力も劣ってますから、迷惑をかけられた雇用主も多く評判はよくないですね。さらに家事は報酬額の低減を要求される場合もあります」
アンナは思い詰めたような顔で言葉を口にする。受付の女性は哀れみを感じつつも家事という職業の現状を正直に話し始める。家事に対して露骨な嫌悪感を示す人々が存在する。不当な扱いを受ける事例も少なくない。同じ仕事しても家事は劣ったものとみなして、一方的に賃金カットされることもある。アンナは家事という職業の厳しい実情を身にしみて感じた。
「じゃあ、家事で登録はできませんか?」
アンナは最初から無理な話だったと思って諦めの表情で言う。アンナは先ほどの喫茶店のマスターの顔が頭に浮かんだ。最初は自分に対して気持ち悪い笑みを向けてくるなあと不快な思いをしたけど、実は意外と親切だったおじさんにお願いして雇ってもらおうと思っていた。
「犯罪者でない限り登録は可能です。家事の方も大勢いらっしゃいますよ。ですが家事はどこも扱いは悪いです。家事というだけで雇用主側に断られるケースも少なくありません」
受付の女性は、社会的に悪い人間でもない限りは職業が家事でも登録は問題ないという。ただ雇用主は家事というだけで、顔をしかめて冷たい対応をされることもあると話した。家事は正当に評価されないと付け加えるように言った。
「わかりました。登録お願いします」
「かしこまりました」
アンナは気持ちを切り替えてとりあえずは登録することにした。受付の女性は承知して手続きを始めた。
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