45 / 49
第45話
しおりを挟む
アイラにプロポーズする前日、ガブリエルは遠い過去を思い出し懐かしい気持ちに酔いしれる。
二人が付き合うことになった出会いのきっかけは、学園で15歳の頃だが実際のところもっと昔にガブリエルはアイラに恋心を抱いていた。
「なんて可愛い子なんだ」
幼少の頃、お城で開かれたパーティでアイラを見かけた時からガブリエルは心がときめいてしまった。だけどずっと想いを告げられないままでいた。
その時はお互いまだ7歳。でも妙に大人っぽい考え方をするガブリエルは、この想いが友人の好きとは違う特別な感情だと気がつく。
アイラと初めて言葉を交わしたのは、初等部に入学してから一週間後だった。話してみたくて声をかけようと彼女のいるクラスに向かう途中にアイラが目の前にいた。
「走ると危ないよ」
初めて会話をした発端は、アイラからの注意だった。少し素っ気ない顔だったけど、自分に向けて言葉を発してくれたのがガブリエルは何より嬉しかった。
でもそれから数日は、それ以上お互い顔を合わせることも会話をすることもなかった。それから数日経ち、廊下を歩いていたらまたもやアイラのほうから話しかけてくれた。
「君、誰だっけ?」
「ガブリエル」
「私はアイラ」
アイラはチャーミングな表情で明るい声で答えてくれた。取るに足らない会話だけど、彼女が初めて自分の名前を呼んでくれたから今でも脳裏に焼きついている。
お互い名前がわかれば、緊張感なく話すようになるまでそう時間はかからなくて、会話する度にガブリエルは心の中で幸福を感じていた。
アイラは今よりも積極的な子で、どちらかといえばガブリエルの方が目立つタイプではなく性格も大人しい感じだった。
「危ないだろ!」
「どう?驚いた?」
「別にそんなことないよ」
一年が経ち、お互い少しずつだけど成長してきて、会話の内容も変わってきていた。相も変わらずアイラはお茶目な女の子で、この頃からふざけてガブリエルの背中を押してきたりするようになっていた。
その度に、なんとなく触れ合えたことがガブリエルは嬉しかった。ただ、学園以外でアイラに会うことはなく、それ以上の恋の発展は何もなかった。
「アイラさん大丈夫ですか!?」
「アイラ!」
「アイラちゃん!」
そんな時に、アイラが授業中に突然体調を崩して倒れた。教師が空気が張り裂けるような悲鳴をあげる。ガブリエルも思わず驚きに溢れた声を上げた。クラスの子達もアイラの名前を次々に叫んだ。
その後アイラは教師に抱えられて教室を出ていく。実はアイラは生まれた時から普通の子よりも体が弱かった。そのことを教師から聞かされてガブリエルとクラスの皆は初めて知りました。
二人が付き合うことになった出会いのきっかけは、学園で15歳の頃だが実際のところもっと昔にガブリエルはアイラに恋心を抱いていた。
「なんて可愛い子なんだ」
幼少の頃、お城で開かれたパーティでアイラを見かけた時からガブリエルは心がときめいてしまった。だけどずっと想いを告げられないままでいた。
その時はお互いまだ7歳。でも妙に大人っぽい考え方をするガブリエルは、この想いが友人の好きとは違う特別な感情だと気がつく。
アイラと初めて言葉を交わしたのは、初等部に入学してから一週間後だった。話してみたくて声をかけようと彼女のいるクラスに向かう途中にアイラが目の前にいた。
「走ると危ないよ」
初めて会話をした発端は、アイラからの注意だった。少し素っ気ない顔だったけど、自分に向けて言葉を発してくれたのがガブリエルは何より嬉しかった。
でもそれから数日は、それ以上お互い顔を合わせることも会話をすることもなかった。それから数日経ち、廊下を歩いていたらまたもやアイラのほうから話しかけてくれた。
「君、誰だっけ?」
「ガブリエル」
「私はアイラ」
アイラはチャーミングな表情で明るい声で答えてくれた。取るに足らない会話だけど、彼女が初めて自分の名前を呼んでくれたから今でも脳裏に焼きついている。
お互い名前がわかれば、緊張感なく話すようになるまでそう時間はかからなくて、会話する度にガブリエルは心の中で幸福を感じていた。
アイラは今よりも積極的な子で、どちらかといえばガブリエルの方が目立つタイプではなく性格も大人しい感じだった。
「危ないだろ!」
「どう?驚いた?」
「別にそんなことないよ」
一年が経ち、お互い少しずつだけど成長してきて、会話の内容も変わってきていた。相も変わらずアイラはお茶目な女の子で、この頃からふざけてガブリエルの背中を押してきたりするようになっていた。
その度に、なんとなく触れ合えたことがガブリエルは嬉しかった。ただ、学園以外でアイラに会うことはなく、それ以上の恋の発展は何もなかった。
「アイラさん大丈夫ですか!?」
「アイラ!」
「アイラちゃん!」
そんな時に、アイラが授業中に突然体調を崩して倒れた。教師が空気が張り裂けるような悲鳴をあげる。ガブリエルも思わず驚きに溢れた声を上げた。クラスの子達もアイラの名前を次々に叫んだ。
その後アイラは教師に抱えられて教室を出ていく。実はアイラは生まれた時から普通の子よりも体が弱かった。そのことを教師から聞かされてガブリエルとクラスの皆は初めて知りました。
57
あなたにおすすめの小説
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
我慢しないことにした結果
宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした
今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。
二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。
しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。
元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。
そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。
が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。
このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。
※ざまぁというよりは改心系です。
※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。
ジェリー・ベケットは愛を信じられない
砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。
母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。
それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。
しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。
だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。
学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。
そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。
※世界観はゆるゆる
※ざまぁはちょっぴり
※他サイトにも掲載
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
天然と言えば何でも許されると思っていませんか
今川幸乃
恋愛
ソフィアの婚約者、アルバートはクラスの天然女子セラフィナのことばかり気にしている。
アルバートはいつも転んだセラフィナを助けたり宿題を忘れたら見せてあげたりとセラフィナのために行動していた。
ソフィアがそれとなくやめて欲しいと言っても、「困っているクラスメイトを助けるのは当然だ」と言って聞かず、挙句「そんなことを言うなんてがっかりだ」などと言い出す。
あまり言い過ぎると自分が悪女のようになってしまうと思ったソフィアはずっともやもやを抱えていたが、同じくクラスメイトのマクシミリアンという男子が相談に乗ってくれる。
そんな時、ソフィアはたまたまセラフィナの天然が擬態であることを発見してしまい、マクシミリアンとともにそれを指摘するが……
[完結]不実な婚約者に「あんたなんか大っ嫌いだわ」と叫んだら隣国の公爵令息に溺愛されました
masato
恋愛
アリーチェ・エストリアはエスト王国の筆頭伯爵家の嫡女である。
エストリア家は、建国に携わった五家の一つで、エストの名を冠する名家である。
エストの名を冠する五家は、公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、男爵家に別れ、それぞれの爵位の家々を束ねる筆頭とされていた。
それ故に、エストの名を冠する五家は、爵位の壁を越える特別な家門とされていた。
エストリア家には姉妹しかおらず、長女であるアリーチェは幼い頃から跡取りとして厳しく教育を受けて来た。
妹のキャサリンは母似の器量良しで可愛がられていたにも関わらず。
そんな折、侯爵家の次男デヴィッドからの婿養子への打診が来る。
父はアリーチェではなくデヴィッドに爵位を継がせると言い出した。
釈然としないながらもデヴィッドに歩み寄ろうとするアリーチェだったが、デヴィッドの態度は最悪。
その内、デヴィッドとキャサリンの恋の噂が立ち始め、何故かアリーチェは2人の仲を邪魔する悪役にされていた。
学園内で嫌がらせを受ける日々の中、隣国からの留学生リディアムと出会った事で、
アリーチェは家と国を捨てて、隣国で新しい人生を送ることを決める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる