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4話
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「ロバート!お前はどこまで性根が腐れば気が済むんだ!」
アンドレアは怒りが一気に込み上げて息子に向かって怒号を上げていた。婚約発表で婚約破棄を宣言されたアンジェラは、きっと耐え難い苦痛であるに違いないのだが、泣くことも叫ぶことも怒ることもせずに平常心を保っている。
アンドレア国王とミランダ王妃は息子が迷惑ばかりかけて本当に申し訳なく思っていた。今この場にいないがアンジェラの両親である公爵夫妻になんて言えばいいのか。顔向けできないという気持ちが先に立つ。
アンジェラの両親は熱烈な恋愛の末に結婚し仲が良く幸せな生活を送っていた。そんな夫婦にもある一つの悩み事があった。アンジェラの母は非常に子供好きであったから子宝を授かることを切望していた。しかし子宝に恵まれないまま五年が過ぎた。
自分は子供が産めない体なのではないか?と苦しさを感じ出して諦めかけていた頃に待望の妊娠でした。アンジェラを出産して抱いた時は、とても幸せな気持ちと嬉しさで泣きたくなる思いで生まれたばかりのアンジェラの方に視線をやっては感激の涙を流していた。
「――ああ、なんということだ。アンジェラがあまりにも可哀想過ぎる」
別室にいたアンジェラの父である公爵家の当主ウィリアムは落ち込んでいる様子だった。自分たちの命より大切な娘のアンジェラの婚約披露パーティーで、ロバート王子が婚約破棄を言い渡した。アンジェラの両親は予想できない出来事に深く失望していた。母のダリアはショックを受けて倒れてしまって部屋のベッドの上に寝ている。幸い命に別状はないと判断されたが意識はまだ戻っていない。
公爵夫妻の間に生まれた一人娘のアンジェラは豊かな家庭で大切に育てられた。そのお嬢様にロバートはずいぶん失礼なことをした。娘の晴れ舞台を温かい目で見守っていた公爵夫妻は、ロバートが大声で婚約破棄を主張したことに戸惑っているようだった。娘の方を見るときょとんとした顔をして思考が止まっているように思えた。その時部屋のドアをノックする音が響いた。
「お父様、お母様のご容態はいかがですか?」
「強いショックを受けて倒れたけど今は大丈夫だよ」
公爵夫妻の部屋を訪れたのは愛娘アンジェラでした。アンジェラはダリアが倒れたと聞いた時は心が乱れ暗くなっていった。ウィリアムから体調も意識の状態も安定していると教えられるとアンジェラは胸に安心感が広がってくるのを感じていた。ベッドに横になって寝ている母を見て涙ぐみそうになるのをアンジェラはこらえた。
アンドレアは怒りが一気に込み上げて息子に向かって怒号を上げていた。婚約発表で婚約破棄を宣言されたアンジェラは、きっと耐え難い苦痛であるに違いないのだが、泣くことも叫ぶことも怒ることもせずに平常心を保っている。
アンドレア国王とミランダ王妃は息子が迷惑ばかりかけて本当に申し訳なく思っていた。今この場にいないがアンジェラの両親である公爵夫妻になんて言えばいいのか。顔向けできないという気持ちが先に立つ。
アンジェラの両親は熱烈な恋愛の末に結婚し仲が良く幸せな生活を送っていた。そんな夫婦にもある一つの悩み事があった。アンジェラの母は非常に子供好きであったから子宝を授かることを切望していた。しかし子宝に恵まれないまま五年が過ぎた。
自分は子供が産めない体なのではないか?と苦しさを感じ出して諦めかけていた頃に待望の妊娠でした。アンジェラを出産して抱いた時は、とても幸せな気持ちと嬉しさで泣きたくなる思いで生まれたばかりのアンジェラの方に視線をやっては感激の涙を流していた。
「――ああ、なんということだ。アンジェラがあまりにも可哀想過ぎる」
別室にいたアンジェラの父である公爵家の当主ウィリアムは落ち込んでいる様子だった。自分たちの命より大切な娘のアンジェラの婚約披露パーティーで、ロバート王子が婚約破棄を言い渡した。アンジェラの両親は予想できない出来事に深く失望していた。母のダリアはショックを受けて倒れてしまって部屋のベッドの上に寝ている。幸い命に別状はないと判断されたが意識はまだ戻っていない。
公爵夫妻の間に生まれた一人娘のアンジェラは豊かな家庭で大切に育てられた。そのお嬢様にロバートはずいぶん失礼なことをした。娘の晴れ舞台を温かい目で見守っていた公爵夫妻は、ロバートが大声で婚約破棄を主張したことに戸惑っているようだった。娘の方を見るときょとんとした顔をして思考が止まっているように思えた。その時部屋のドアをノックする音が響いた。
「お父様、お母様のご容態はいかがですか?」
「強いショックを受けて倒れたけど今は大丈夫だよ」
公爵夫妻の部屋を訪れたのは愛娘アンジェラでした。アンジェラはダリアが倒れたと聞いた時は心が乱れ暗くなっていった。ウィリアムから体調も意識の状態も安定していると教えられるとアンジェラは胸に安心感が広がってくるのを感じていた。ベッドに横になって寝ている母を見て涙ぐみそうになるのをアンジェラはこらえた。
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