婚約してる彼が幼馴染と一緒に生活していた「僕は二人とも愛してる。今の関係を続けたい」今は許してと泣いて頼みこむ。

佐藤 美奈

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第5話

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アリーナとユリウスは部屋の前に立つ。二人は豪華な装飾が施されているドアにも引けを取らず、洗練された外見と雰囲気をまとっていた。

「二人は出掛けてるみたいだ」
「そうみたいね。楽しいデートの最中なのかしら?」

今は昼過ぎごろ、何度か呼びかけても応答することはなかったので、ユリウスの持っている合鍵で部屋の中に入った。学園は休業日なので二人はおそらく、今頃はデートを楽しんでいるはずだとアリーナが冷静な口調で言う。

部屋へ入ってきたアリーナは、人形のように無表情な顔でじっと動かなくなる。女性の靴がいくつか揃えてあった。

「久しぶりに戻って来たけど部屋が変わってる」

この間まで暮らしていた部屋を見て、困ったような顔でユリウスは大きくため息をつくと不満をもらしている。

リビングに移動すると二人の脱ぎ散らかした服に、香水や化粧品類がずらりと机の上に並んでいた。カミュとシルビアが一緒に生活をしてる気配がうかがえる。

シルビアの趣味なのだろうか?一言では言い表すことは出来ないほどの大きな内装の変化に、ユリウスは戸惑うばかりであった。

「とんでもない状態ね」

事前にユリウスから聞いていたが、実際に見るとアリーナは少し動揺の色が見て取れて、やりきれない感情だけが湧いてくる。

二人が一緒に住んでいる様子が明らかに分かり、ショックで短時間で立ち直れそうもなかった。現場をこの目で確かめたので、後でカミュの様々な言い訳にも騙されない。

「好きだったのに……」

もうカミュと別れるべきなんだろうなと、アリーナは悲痛な声を絞り出す。その悲しい表情には、やむを得ないこととして受け入れているようにも見える。

アリーナは鏡に映る自分の姿が、ふと目についた。かなり憔悴しきった顔をしている。だがカミュへの怒りのために心は燃え立っていた。

「無くなってる」

以前にアリーナが部屋を訪れた時には、二人の大切な思い出を共有した物が飾ってありましたが、今はどこにも見当たらない。

カミュに贈った高価なネックレスが、むなしくテーブルの隅に置かれているだけだった。

プレゼントした時は興奮で声を弾ませながら、子供のように飛び上がって大いに喜ぶカミュの姿が、断片的に頭の中を駆け巡って悲しみがとまらない。

「アリーナどうする?」

その場でうつむいたまま物思いにふけっていたら、ユリウスがどことなく寂しげな表情でアリーナのそばへ寄って声をかける。

アリーナは思わずハッと顔色をかえて、びくりと身体を震わせ慌てて振り向くと、ユリウスがまぶたから流れる涙をぬぐっていた。
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