婚約してる彼が幼馴染と一緒に生活していた「僕は二人とも愛してる。今の関係を続けたい」今は許してと泣いて頼みこむ。

第11話

「一番目はアリーナに譲ります。私は彼の二番目でいい」
「え……？」

シルビアは驚くべきことを言う。だが満足そうな表情を浮かべているので本心のように感じる。アリーナは以外という顔つきになった。

「分かっただろう？こんなの浮気じゃない！僕とシルビアはお互い納得して付き合ってるんだ」

床に座り様子をうかがっていたカミュが、シルビアの言う通りだと自己正当化めいたことを言い放つ。カミュの信じられない言葉に、アリーナは心臓が凍りつくかと思うほどでした。

「何言ってるの？カミュの頭は大丈夫？」
「僕はまともだよ。シルビアが二番目でもいいって言うなら問題ないだろ？」

今にもキレそうな気持ちで真っ向から反論する。恋人の正気を疑い憐れみの顔に変わって、警戒するような視線を向けアリーナはただただ唖然とするばかりだった。

好き好んで浮気してたくせに、目の前にいるシルビアも合意の上だと言い、自分の都合のいい女性としてシルビアのことを扱っているのもどうしても許せない。

「アリーナどうしてなんだ……？」

カミュは平静を保つ手段がなくて、アリーナの膝の辺りにすがりつくような仕草をとりますが、パチンッ！とカミュの手を叩き邪険に振り払われた。

「先ほどまで大事な所をずっと押さえていた。そのような汚らわしい手で触らないで！」
「ひどい……あんまりじゃないか……僕は痛みに耐えるのに精一杯だったんだ。仕方ないだろう？」

アリーナに、不潔なものでも見るような目で睨まれて、カミュは大きなショックを覚えずにはいられなかった。表情は暗くなり大げさに落ち込み、うつむいたままその場で動かない。

「そんなにカミュを責めないでください！」

その瞬間、アリーナはもっと驚く。話しの間もシルビアがカミュに対して怒ることもなかった。今はアリーナに厳しく攻められるカミュの前で、両手を広げて立って庇うような態度を取るのです。

アリーナがカミュを説教している時も、たまに見守るような目をしていながら、全体的には黙って静かに微笑むだけでした。

この時シルビアのことが怖くなり、この人はちょっと普通じゃないと思い始める。理屈なんかじゃなくて、それは本能的な恐怖だった。

「あなたとカミュの関係は一体何なの！？」
「うふふ」

自然とアリーナはシルビアに向かって叫ぶ。美しいソプラノを響かせてもシルビアは怪しく微笑み、アリーナは心理的ダメージを受けて冷や汗をかく。

笑うだけでアリーナの疑問には答えず、シルビアの笑い声が奇妙に切なく胸にひびいてきた。

「なに？どういうつもり！」
「私はカミュの子供を妊娠してるわ」
「はぁ？」

アリーナは詰め寄ると責め立てる。だがシルビアはカミュの子供を身籠っていると告白すると、調子はずれの声を発せざるをえなかった。