婚約者の家に行ったら幼馴染がいた。彼と親密すぎて婚約破棄したい。

佐藤 美奈

文字の大きさ
35 / 44

第35話

しおりを挟む
「仕事が休みに入ったから旅行に行こう」
「やったー!」

可愛い妻のエリザベスは男心を掴むのが上手くいつも新鮮な笑顔。それを愛情のある目で受けとめるジャック。

ある日、長期の休みに入る。その間に旅行に行くことになり計画を立てていた。相談してる時に移動に半日くらいかかると言うとエリザベスは不満そう。

逆にジャックは、馬車の中で休んだり会話したりすればいいと説得する。だが妻は、怖いから嫌と答えるのです。

理由を尋ねると、馬車に長時間乗るのが問題だった。乗り物酔いに苦しむのが嫌なだけでした。でも急に可愛く思えてきて、こいつは僕が守らなきゃとジャックは胸の中で思う。

「なんかこの頃は怖い夢を見るの」
「そうなの?大丈夫?」
「うん、ジャックと一緒に寝たら平気」

最近はエリザベスの体調が悪いようでジャックも心配していました。今はどちらかというと暖かい季節なのに、夜になると何故か寒くて凍るという。

そして寝る時になるとジャックのことを抱き枕みたいに、怖いとつぶやき涙目になりながら抱きついてくる。ただ甘えているだけかと思いましたが違った。

実はこのところ、エリザベスは趣味で怖い内容の舞台鑑賞にハマっている。夜にそのことを思い出していた。ジャックは聞いた時は開いた口が塞がらなかったが、天使のような可愛い妻なので何でも許してしまい、仕方ないなという感じで苦笑いする。


「ジャック久しぶりだな」
「どうも……」
「そんな顔するなよ。それよりまだ私のことを恨んでいるのかな?」
「いえ、そんなことはありませんけど……」

いつもの道を歩いていたら、エリザベスの父のカインに声をかけられる。ジャックは待ち伏せしてたのだろうと感じました。

カインは前妻のヴィクトリアと離婚して、その時ジャックと婚約していたクロエと結婚した。カインはジャックの恋人を奪った相手。

何年も前のことなので、脳から消滅していたと思っていたのに、つらい記憶が思い出される。今はもう吹っ切れていてカインに対してどす黒い憎悪はない。

だけど当時は言いようのない悔しさが胸に渦巻いていました。結局、一番大事なのはクロエの気持ちです。彼女がカインと結婚したいと答えた時は、自分達は永遠に両想いで好きだと思っていたのに絶望する。

しかし彼女から恋愛感情が無くなったと言われたら、彼はどうすることもできない。理不尽な理由でもジャックは納得して諦めるしか選択がありません。

その結果、高額な慰謝料も払ってもらい、ジャックの家の借金を全額返してもらうなどカインは並大抵ではない償いをした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ

恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。 王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。 長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。 婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。 ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。 濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。 ※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています

婚約者は幼馴染みを選ぶようです。

香取鞠里
恋愛
婚約者のハクトには過去に怪我を負わせたことで体が不自由になってしまった幼馴染がいる。 結婚式が近づいたある日、ハクトはエリーに土下座して婚約破棄を申し出た。 ショックではあったが、ハクトの事情を聞いて婚約破棄を受け入れるエリー。 空元気で過ごす中、エリーはハクトの弟のジャックと出会う。 ジャックは遊び人として有名だったが、ハクトのことで親身に話を聞いて慰めてくれる。 ジャックと良い雰囲気になってきたところで、幼馴染みに騙されていたとハクトにエリーは復縁を迫られるが……。

【完結】そんなに好きならもっと早く言って下さい! 今更、遅いです! と口にした後、婚約者から逃げてみまして

Rohdea
恋愛
──婚約者の王太子殿下に暴言?を吐いた後、彼から逃げ出す事にしたのですが。 公爵令嬢のリスティは、幼い頃からこの国の王子、ルフェルウス殿下の婚約者となるに違いない。 周囲にそう期待されて育って来た。 だけど、当のリスティは王族に関するとある不満からそんなのは嫌だ! と常々思っていた。 そんなある日、 殿下の婚約者候補となる令嬢達を集めたお茶会で初めてルフェルウス殿下と出会うリスティ。 決して良い出会いでは無かったのに、リスティはそのまま婚約者に選ばれてしまう── 婚約後、殿下から向けられる態度や行動の意味が分からず困惑する日々を送っていたリスティは、どうにか殿下と婚約破棄は出来ないかと模索するも、気づけば婚約して1年が経っていた。 しかし、ちょうどその頃に入学した学園で、ピンク色の髪の毛が特徴の男爵令嬢が現れた事で、 リスティの気持ちも運命も大きく変わる事に…… ※先日、完結した、 『そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして』 に出て来た王太子殿下と、その婚約者のお話です。

お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです

・めぐめぐ・
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。 さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。 しかしナディアは全く気にしていなかった。 何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから―― 偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。 ※頭からっぽで ※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。 ※夫婦仲は良いです ※私がイメージするサバ女子です(笑) ※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。

【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?

星野真弓
恋愛
 十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。  だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。  そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。  しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

気づいたときには遅かったんだ。

水瀬瑠奈
恋愛
 「大好き」が永遠だと、なぜ信じていたのだろう。

処理中です...