「私も新婚旅行に一緒に行きたい」彼を溺愛する幼馴染がお願いしてきた。彼は喜ぶが二人は喧嘩になり別れを選択する。

佐藤 美奈

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第33話

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「この店の責任者出てこい!」

ハリーは扉を開けると大きな怒鳴り声を響かせた。隣に並んで立つエレナは甘い香水の香りを漂わせて、勝ち誇った笑みを浮かべる。

「どんなご用件でしょうか?エレナちゃんどうしたの?」

雇われマダムが姿を見せてなめらかな口調で尋ねる。あまり見かけないような美しい青年が、怒っている感じの不愉快そうな顔つきで立っていた。

隣にはエレナがいる。ママの印象では何度も問題行動を引き起こす、やや我儘で子供っぽい性格という感触であった。エレナの恋人かな?そんな思いを抱く。

「この店は僕の妻に不当な扱いをしているようだな。昨日、苦しんでいると話を聞かせてもらった」
「えっ……?」

妻?エレナが既婚者であるとは思わなかった。ママはぽかんとして頭の中が停止した顔になって、あまりにも意外な話に言葉を失う。

実はハリーとエレナは結婚していた。お互いに両親に絶縁されて城を追い出されてから、二人で暮らし始めて間もなく結婚の手続きをしたのだ。

だが次にエレナの夫だという青年が発した台詞を聞いて、さらに耳を疑うような内容に小首を傾げた。

「わざと知らない振りをするつもりか?」
「エレナちゃん少し話を聞かせてくれるかしら?」
「それ以上エレナに近づくな!」

ハリーにはママがとぼけているように見えるので、どうも納得出来なかった。昨日、自分にすがりつき泣いて悲しんだエレナの様子を思い出して意欲を燃やす。

この男の人は何か勘違いをしているのでは?そう感じたママがエレナに一歩近づいたとたん、前に立ちふさがって強い力で押し返された。

「きゃああ」

短く叫んだママは勢いで足を滑らせ転倒してしまい、腰を強打した。苦痛でたまらないのだろう。倒れて痛がる素振りを見せているママの顔が歪む。

「ママ!」
「何があったの?」
「大丈夫?」

声高く悲痛な叫びを放ったママの声が響き、大事なママが何らかの異変に巻き込まれたらしい?そう察知すると店の奥にいたホステス達が駆け寄ってきて、倒れてうめいていたママに目を向けて呼びかけた。

「エレナ?」
「その男は誰?」
「あなた達がママにひどいことをしたの?」
「エレナどういうこと?」

その場にはエレナと初めて見る男がいた。一瞬まぶしさを感じるほどの美青年に、女性たちは胸のときめきを覚えて、ハリーを見ながら互いに喜ぶ様子などが見られる。

エレナの隣にいる男は誰なんだろう?疑惑が脳裏に咲いて当然の疑問を投げかける者もいる。それよりどうしてママがこんな事になってるのか?

二人の仕業であると推測した女性たちは、許せない気持ちが湧き起こって責任を追及する声が高まり始めたのだった。
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