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第13話
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「ニーナ」
彼の声には、確かな決意が込められていた。
「俺は、君を失って初めて、自分がどれだけ愚かだったかを知った。君がいない世界は、色を失ったようで、息をするのさえ苦しく感じた。君が言った通りだ。俺は、君の不安から目を逸らし、キャンディの想いからも目を逸らして、ただ自分が傷つかないように、優柔不断な態度を取っていただけだった」
彼の言葉が一つ一つ、私の心の奥深くに染み込んでいくのがわかる。
「もう二度と、君を一人にしたりしない。不安にさせたりもしない。俺の世界の中心は、君だけだ。他の誰でもない。だから……」
アンドレは震える手で、私の手をそっと取った。
「もう一度だけ、チャンスをくれないか。もう一度、俺を信じてくれないか、ニーナ」
花火の光が、彼の瞳に潤んだ光を映し出す。その必死な想いが痛いほどに伝わってくる。私の頬を、一筋の涙が静かに伝った。ロッドの優しさと誠実さ、その全てを裏切ることになるかもしれない。けれど、それでも、私の心は、目の前のこの不器用で愚かで、誰よりも愛した人を求めていた。
「……馬鹿ね」
震える声で、なんとかその一言を言うのがやっとだった。
「わかっているわ。あなたはずっと、馬鹿で、どうしようもない人よ。でも……」
私は、彼の手をそっと握り返した。
「でも、そんなあなたを、私は……」
信じたいと。心の中で叫びながら、言葉が続かなかった。その一言を、どうしても口にする勇気が出なかった。けれど、胸の中では強く、確かな気持ちが湧き上がってきていた。
その頃、少し離れた噴水のそばで、キャンディは一人で寂しく花火を見上げていた。すると、ロッドがその光景に気づき声をかけた。
「見事なものだな」
「……ロッド殿下」
キャンディは驚いたように振り返ると、その瞳に一瞬の戸惑いが浮かんだ。しかし、すぐに彼女の目はアンドレとニーナの姿を見つめ、諦めの色が深く滲んでいることにロッドは気づいた。
「いつまで、彼の影を追いかけているつもりだ?」
ロッドの言葉は、単刀直入だった。
「あなたに何がわかるっていうの!? 勝手なこと言わないで!」
キャンディは、まるでハリネズミのように全身の棘を逆立てて反発した。その態度は失礼であったが、ロッドは心が広く寛容な性格をしているため、こんな程度のことで腹を立てることはなかった。
「小さい頃からずっと愛した人に裏切られた気持ちなんて、恵まれた王子様のあなたにわかるわけがないわ!」
彼女の険しい口論にも、ロッドは一切表情を変えることなく、ただ静かに夜空を見上げていた。彼はそのまま、何気なく呟いた。
「わかるさ。私も、手に入らない人を想っているからね」
「……え?」
「私が愛した人は、私ではなく他の男を愛している。どれだけ尽くしても、彼女の心は決して私には向かなかった。その痛み、君と同じように、私もよく理解しているつもりだ」
キャンディは、言葉を失った。美しい容姿に、全てが完璧に見える王太子が、自分と同じように報われない恋の痛みを抱えていることを知り、その事実が彼女を深く揺さぶった。
彼の声には、確かな決意が込められていた。
「俺は、君を失って初めて、自分がどれだけ愚かだったかを知った。君がいない世界は、色を失ったようで、息をするのさえ苦しく感じた。君が言った通りだ。俺は、君の不安から目を逸らし、キャンディの想いからも目を逸らして、ただ自分が傷つかないように、優柔不断な態度を取っていただけだった」
彼の言葉が一つ一つ、私の心の奥深くに染み込んでいくのがわかる。
「もう二度と、君を一人にしたりしない。不安にさせたりもしない。俺の世界の中心は、君だけだ。他の誰でもない。だから……」
アンドレは震える手で、私の手をそっと取った。
「もう一度だけ、チャンスをくれないか。もう一度、俺を信じてくれないか、ニーナ」
花火の光が、彼の瞳に潤んだ光を映し出す。その必死な想いが痛いほどに伝わってくる。私の頬を、一筋の涙が静かに伝った。ロッドの優しさと誠実さ、その全てを裏切ることになるかもしれない。けれど、それでも、私の心は、目の前のこの不器用で愚かで、誰よりも愛した人を求めていた。
「……馬鹿ね」
震える声で、なんとかその一言を言うのがやっとだった。
「わかっているわ。あなたはずっと、馬鹿で、どうしようもない人よ。でも……」
私は、彼の手をそっと握り返した。
「でも、そんなあなたを、私は……」
信じたいと。心の中で叫びながら、言葉が続かなかった。その一言を、どうしても口にする勇気が出なかった。けれど、胸の中では強く、確かな気持ちが湧き上がってきていた。
その頃、少し離れた噴水のそばで、キャンディは一人で寂しく花火を見上げていた。すると、ロッドがその光景に気づき声をかけた。
「見事なものだな」
「……ロッド殿下」
キャンディは驚いたように振り返ると、その瞳に一瞬の戸惑いが浮かんだ。しかし、すぐに彼女の目はアンドレとニーナの姿を見つめ、諦めの色が深く滲んでいることにロッドは気づいた。
「いつまで、彼の影を追いかけているつもりだ?」
ロッドの言葉は、単刀直入だった。
「あなたに何がわかるっていうの!? 勝手なこと言わないで!」
キャンディは、まるでハリネズミのように全身の棘を逆立てて反発した。その態度は失礼であったが、ロッドは心が広く寛容な性格をしているため、こんな程度のことで腹を立てることはなかった。
「小さい頃からずっと愛した人に裏切られた気持ちなんて、恵まれた王子様のあなたにわかるわけがないわ!」
彼女の険しい口論にも、ロッドは一切表情を変えることなく、ただ静かに夜空を見上げていた。彼はそのまま、何気なく呟いた。
「わかるさ。私も、手に入らない人を想っているからね」
「……え?」
「私が愛した人は、私ではなく他の男を愛している。どれだけ尽くしても、彼女の心は決して私には向かなかった。その痛み、君と同じように、私もよく理解しているつもりだ」
キャンディは、言葉を失った。美しい容姿に、全てが完璧に見える王太子が、自分と同じように報われない恋の痛みを抱えていることを知り、その事実が彼女を深く揺さぶった。
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